2026.03.1

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セクハラはどこから?知っておきたい判断基準と同意の誤解、おすすめの対処法も

「これってセクハラ?」「自分のあの発言はアウトだったかも」職場でそんな迷いや不安を感じたことはないでしょうか。この記事では、セクハラの法的な考え方とJob総研の調査データをもとに、気になるセクハラの判断基準や具体例をわかりやすくお届けします。

多くの人が「どこからがセクハラか」で迷っている

セクハラをめぐっては、「悪気はなかった」「そんなつもりじゃなかった」という声が後を絶ちません。一方で、被害を受けた側も「これはセクハラなのか、気にしすぎなのか」と判断に迷いやすいもの。

まずは、その「迷い」がいかに広く共有されているかについて、Job総研の調査データから紐解きます。

自分の言動がハラスメントか不安になる人は少なくない

Job総研が2025年に実施した『2025年 ハラスメント実態調査 〜加害編〜』によると、「自身の言動でハラスメントに当たると思い当たるものがある」と回答した人は42.7%にのぼりました。男性では51.6%、女性では22.6%と、特に男性で高い傾向が見られます。

「思い当たる」とは、実際にトラブルになったわけではなくても、「あの発言は大丈夫だったかな」「冗談のつもりだったけど、嫌な思いをさせてしまったかも」と自問したことがある、ということ。

半数近くの人がそうした不安を抱えているという事実は、セクハラの線引きが多くの人にとっていまだ曖昧で難しいことを表しています。

ハラスメントを受けても相談できない人も

被害を受けた側にも、深い悩みがあります。

Job総研が同年に実施した『2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜』では、職場ハラスメントの内容として「性的な言動または嫌がらせ(セクハラ)」を挙げた人が22.4%。さらに、被害を受けた際の対応として「誰にも相談していない」と回答した人は27.4%に達しました。

声を上げられない背景には、「上司や同僚との関係が壊れるかもしれない」「大げさだと思われるのでは」「証拠もないし……」といった心理的なハードルがあります。

「相談したい気持ちはあるけれど、できない」そうした状況にいる人は決して少なくないのです。

そもそも「セクハラ」とは?法律上の基本的な考え方

「どこからがセクハラか」を考えるには、法律上の定義を押さえることが不可欠。正確な知識を持つことが、判断に迷ったときの確かな手がかりになります。

法律で定義されているセクハラの考え方

職場におけるセクハラは、男女雇用機会均等法によって定義されています。厚生労働省は、職場でのセクハラを以下のように定義しています。

「職場におけるセクシャルハラスメント」とは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件につき不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることをいいます。

引用元|厚生労働省|(事業主向け)職場におけるセクシュアルハラスメント対策に取り組みましょう!

ポイントは「職場」「労働者」「性的な言動」の3つの要素。「職場」は会社のオフィスだけでなく、業務上の飲み会や出張先なども含まれます。また、「労働者」も正社員に限らず、パート・アルバイト・派遣社員も対象です。

よく聞く「対価型」「環境型」とは何が違う?

セクハラには、厚生労働省が定める2つの代表的な類型(対価型・環境型)があります。

対価型は、性的な言動に対して拒否や抵抗をした労働者が、解雇・降格・減給などの不利益を受けるケース。たとえば「交際を断ったら左遷された」「上司の誘いを断り続けたら評価が下がった」といった状況が該当します。

環境型は、性的な言動によって就業環境が不快なものとなり、業務に支障が生じるケース。「職場で性的な冗談を繰り返し言われる」「同僚の机に性的な画像が貼られている」なども、本人だけでなく周囲が不快に感じる状況であれば問題になり得ます。

どちらの類型も、加害者の「悪気がなかった」という事情は関係ありません。

セクハラはどこから?判断が難しいと言われる理由

セクハラの定義は法律で示されていますが、「では具体的にどこからがアウトなのか」となると、途端に判断が難しくなります。その理由を順番に見ていきましょう。

「相手が不快に感じたか」が重視される理由

セクハラの判断でまず重要なのは、発言や行動をした側の意図よりも、受け取った側がどう感じたかです。

「褒めたつもりだった」「冗談のつもりだった」「スキンシップのつもりだった」——こうした言い訳は、セクハラの成否には原則として関係ありません。

これは、セクハラが「相手の意に反する言動」を問題とする概念だから。良かれと思った言動であっても、受け手が不快・不安・苦痛を感じたのであれば、それはセクハラに該当し得るのです。

自分の感覚だけを基準にしていると、気づかないうちに相手を傷つけてしまうリスクがあることを念頭に置いておきましょう。

客観的な基準として使われる「平均的な労働者の感覚」

「相手が不快に感じたかどうか」が重要とはいえ、判断がすべて個人の感覚に委ねられているわけではありません。

厚生労働省は、『職場におけるハラスメント対策マニュアル』等のなかで、セクハラの判断基準を次のように示しています。

●一般的には意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回でも就業環境を害することとなり得る。

●継続性または繰り返しが要件となるものであっても、「明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態」または「心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合」 には、就業環境が害されていると判断し得る。

●男女の認識の違いにより生じている 面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を 基準とすることが適当。

ここで注目したいのが、「平均的な感じ方」の概念です。

セクハラかどうかの判断では、同じ立場の「平均的な人」が不快と感じるかどうかが一つの基準になることが分かります。

一度でアウトなケースも

前述の「セクハラの判断基準」に示されているとおり、「合意なく体に触れる」などの身体的な被害によって強い精神的な苦痛を生じた場合、加害行為そのものは一度きりでもセクハラに認定される可能性があります。

一方で発言や噂、性的な話題など「身体接触を伴わない言動」の場合は、基本的に継続性の有無が問われます。

とはいえ、被害に対する抗議が無視されたり、被害の度合いが深刻だったりした場合には、回数のみが判断基準とはされません。

少ない回数だったとしても「就業環境が害されている」としてセクハラと認定される可能性があります。

具体例で考える「セクハラになる・ならない」の境界線

セクハラかどうかの判断は、言動の内容だけでなく、文脈や状況によっても変わります。ここでは、実際の職場で起きやすい場面をもとに、グレーゾーンの考え方を整理します。

発言がセクハラになるケース・ならないケース

言葉によるセクハラは、同じ話題でも表現ひとつで問題になるかどうかが変わります。

例1:容姿に関する発言

「髪を切ったんだね」という観察的なコメントは、雑談として許容される可能性が大。

しかし、「前よりモテそうだね」「異性ウケを狙ってる?」など、性的なニュアンスを含む表現になると、セクハラに該当する可能性が一気に高くなります。

「褒めたつもり」であっても、相手が不快に感じれば問題になり得る点に注意が必要です。

例2:恋愛・結婚に関する発言

「週末は何をしていたの?」という一般的な問いかけが問題になることは多くありません。

一方で、「週末はデートだったの?」「彼氏(彼女)はいるの?」「結婚しないの?」など、プライベートな事情に踏み込む発言は、相手が不快に感じればセクハラになり得ます。

親しみのつもりであっても、相手との関係性や文脈によっては不快感を与える結果に。

身体的な接触や距離感で注意すべきポイント

言葉以上に判断が難しいのが、身体への接触や物理的な距離感に関するケースです。

例1:業務中の身体接触

書類を指差す際に一時的に近づくことは、業務上必要な場面もあります。

しかし、肩や腕に触れる、必要以上に距離が近い状態が続く場合は、意に反する身体的接触としてセクハラになる可能性があります。本人に悪気がなくても、相手がどう感じるかが判断の基準です。

例2:声かけと同時の接触

「ありがとう」「助かりました」と言いながら背中や肩に触れる行為も、行為者に悪気がなければOKとはなりません。

前述のとおり、相手の精神的苦痛が大きい場合、一度きりであっても問題になることがあります。「スキンシップ」と「セクハラ」の境界線は、あくまで相手の感じ方にあることを忘れないようにしましょう。

リモートワーク・オンライン特有のセクハラ

近年は、リモートワークの普及により、オンライン上でのセクハラも新たな問題として注目されています。

例1:自宅環境への言及

「自宅から参加しているんですね」という事実確認は問題になりません。

しかし、「部屋きれいだね」「一人暮らし?」など、私生活に踏み込む発言は不快感を与えることがあります。画面越しであっても、相手のプライベート空間に無遠慮に立ち入ることは避けましょう。

例2:服装・見た目に関する発言

業務上必要な服装ルールの共有は問題になりません。一方で、「今日はラフだね」「その服、色っぽいね」といった発言は、オンラインであってもセクハラに該当する可能性があります。対面ではないからといって、言動の基準が変わるわけではありません

「知らなかった」では済まない”同意の誤解”

セクハラをめぐる誤解の中でも、特に根深いのが、「相手が嫌だと言わなかったから問題ない」という思い込み。ここでは、被害を受けた側の反応が「同意」を意味するわけではない、ということを改めて確認しておきましょう。

強く拒否できない被害者心理

セクハラを受けた際、はっきりと「やめてください」と言える人ばかりではありません。相手が上司や先輩であればなおのこと、拒絶することで評価が下がるかもしれない、職場に居づらくなるかもしれないといった不安が、声を上げることへのブレーキになります。

その結果、嫌だと感じながらも愛想笑いをしたり、話を合わせたりするケースは少なくありません。

こうした態度は、本人が望んでとっているものではなく、立場の弱さや人間関係への配慮から生まれるもの。「笑っていたから大丈夫だと思った」は、加害側の一方的な解釈に過ぎないのです。

迎合的な態度があってもセクハラは成立する

「嫌だと言わなかった=問題ない」とは限りません。セクハラの判断は、被害者がどう反応したかではなく、言動そのものが「相手の意に反するものであったかどうか」を軸に行われるからです。

愛想笑いや話の受け流しは、必ずしも同意を意味するわけではありません。立場や人間関係への配慮から、その場をやり過ごすために迎合的な態度を見せるケースがあることは広く知られています。

つまり、被害を受けた側が「はっきり断れなかった自分が悪かったのでは」と自分を責める必要はないということ。大切なのは、相手がその言動を不快に感じていたかどうかという事実です。

「セクハラかも」と思ったらどうする?おすすめの対処法

「これはセクハラかもしれない」と感じたとき、どう動けばいいのか迷う人は多いものです。ここでは、被害を受けた際におすすめの対処法を紹介します。

意思表示をして距離をとる

「セクハラを受けたかもしれない」と感じたとき、まず大切なのは、可能な範囲で「不快である」という意思を示すこと。

たとえば、真顔で「それは困ります」「やめてください」と伝えるだけでも相手への牽制になります。

強く言い返すことが難しければ、その場を離れる、席を変えるなど、物理的に距離をとることも有効な対処のひとつ。

「角を立てたくない」という気持ちは自然なものですが、とはいえ、反応しないことが「容認のサイン」と受け取られてしまうリスクもゼロではありません。

できる範囲で意思表示をすることが、最終的に自分自身を守ります。

記録・証拠を残す

セクハラの相談や申告をする際、記録があるとないとでは状況が大きく変わります。いざというときに備え、被害を受けたと感じたらできるだけ早くメモに残しましょう。

残しておきたい情報は、いつ・どこで・誰が・何をしたかという基本的な事実。加えて、その場にいた第三者の名前、自分がどのように感じたかも含めると、のちのちの説明がスムーズになります。

「まだ相談するかどうか分からない」という段階でも、記録を残しておくことで将来の選択肢が広がります。「大げさかな」と思わず、まずは記録することを優先してください。

社内外の相談先を活用する

一人で抱え込まず、相談窓口を活用することも大切な選択肢のひとつです。

社内にハラスメント相談窓口や人事部門がある場合はまずそちらへ。社内での解決が難しいと感じる場合や、そもそも相談できる環境がない場合は、外部機関への相談も視野に入れましょう。

労働局が設置する「総合労働相談コーナー」では、労働問題全般について無料で相談できます。全国の労働局や労働基準監督署内に設置されており、予約不要で利用可能。「相談するほどのことではないかも」と自分の気持ちを後回しにせず、まずは話してみることが、状況を変える最初の一歩になります。

心機一転!環境を変えることも一つの選択肢

セクハラへの対処法として、相談や意思表示と並んで考えてほしいのが「環境を変える」という選択肢。我慢し続けることだけが正解ではありません。

職場環境や社風はすぐには変わらない

セクハラが起きやすい職場には、往々にして「そういう文化」が根づいていることがあります。

セクハラは個人の言動の問題ですが、一方で、それを許容・放置してきた職場環境の問題でもあります。相談窓口に申し出たり、意思表示をしたりしても、組織全体の空気や上下関係の構造はそう簡単には変わらないのが現実。

「自分さえ我慢すれば」というのは、心身への負担を蓄積させるだけでなく、問題の本質を見えにくくする考え方。セクハラが繰り返される環境にいること自体が大きなリスクです。

理想の職場環境やはたらき方を整理しよう

環境を変えることを検討するにあたって、まず大切なのは「自分がどんな職場ではたらきたいのか」を整理すること。

今の職場の何が嫌なのか、次の職場に何を求めるのかを言語化しないまま動き出すと、転職先でも同じ悩みを繰り返してしまいがち。

セクハラが嫌なのは前提として、ではどんな会社なら自分は楽しくはたらけるのか」をクリアにすることで、次の一歩を踏み出しやすくなります。

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〜加害者にも被害者にもならないために〜「どこからセクハラか」の基準を見直そう

セクハラの線引きは、残念ながら一言で「ここから」と断言できるものではありません。受け手の感じ方や言動の文脈によって判断が変わるからこそ、グレーゾーンが生まれやすいのがセクハラだからです。

大切なのは、「自分の感覚だけを基準にしない」という意識を持つこと。

「悪気がなくても成立し得る」また「笑って流しても同意にはならない」と知っておくことが、誰も傷つけず、結果として自分を守ることにもつながることを忘れずにいましょう。

参照:Job総研『2025年 ハラスメント実態調査 〜加害編〜』を実施しました – Job総研プラス
参照:Job総研『2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜』を実施しました – Job総研プラス
参照:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)|厚生労働省
参照:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

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