2025.08.28

その優しさ、ホワイトハラスメントかも?原因と防止策を解説

よかれと思って部下に配慮をしていても、実はホワイトハラスメントになっているかもしれません。この記事では部下への優しさが逆効果になるホワイトハラスメントについて、具体例とともに解説します。

ホワイトハラスメントとは?

近年、職場における新たな課題として、ホワイトハラスメント(ホワハラ)が注目されています。ホワイトハラスメントとは、過剰な配慮や保護によって部下や後輩の成長機会を奪い、結果として精神的な苦痛やストレスを与える行為を指す、比較的新しい言葉です。

ホワイトハラスメントは行為者に悪意がないため、問題として認識されにくく、無自覚のうちにハラスメントになっているケースも珍しくないため、自分自身の言動や行動を一度振り返る必要があります。

ホワイトハラスメントの誕生の背景

ホワイトハラスメントという言葉が注目されるようになった背景には、2つの社会的要因が考えられます。

1つ目は、法改正によるハラスメントへの意識の高まりです。

2020年6月から、パワハラ防止対策が企業の義務となり、職場全体でパワハラに対して厳しい目が向けられるようになりました。ハラスメントへの意識の高まりにより、過剰に配慮する傾向が強まったと考えられています。

2つ目は、メディアによる影響です。ホワイトハラスメントは、2024年に放送されたテレビドラマをきっかけにSNSなどで拡散され、自身の職場の言動を振り返る人が増えました。

近年、さまざまな「〇〇ハラ」という言葉が生まれています。Job総研の「2024年 ハラスメントの境界線調査」によると、ハラスメントが増加している時代に賛成している人は69.5%と、過半数を大きく上回っていることがわかります

以上の背景から、ホワイトハラスメントは現代のはたらき方における新たな課題として、広く認識されるようになりました。

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パワーハラスメントとの関係性

ホワイトハラスメントは、パワーハラスメントの一種に当たる可能性があります。厚生労働省が定義する職場におけるパワーハラスメントには6つの類型があり、ホワイトハラスメントは「過小な要求」に含まれる行為です。

過小な要求とは、労働者の能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことを指します。

たとえば、上司が「まだ難しいだろうから」「失敗しないように」と配慮して、簡単な作業しか任せなかったり、責任のある仕事の機会を与えなかったりするケースが一例です。

過剰な配慮から行われる行為は、部下の成長機会を奪い、仕事へのモチベーションを著しく低下させる可能性があります。部下はキャリア形成への不安や、期待されていないという疎外感から、精神的な苦痛を感じてしまいかねません。

攻撃的な言動がなくても、善意の配慮が「過小な要求」となり、相手のはたらく権利を侵害し得るという点を理解しておきましょう。

出典:厚生労働省|パワーハラスメントの定義

ホワイトハラスメントの具体例

具体的にどのような行為がホワイトハラスメントに該当するのでしょうか。無意識のうちに、日々の言動が部下の成長機会を奪っているかもしれません。ホワイトハラスメントに該当するケースを3つ紹介します。

  • 過保護・過干渉により成長機会がなくなる
  • 仕事の割り振りを減らす
  • 部下に適切にフィードバックをしない

自身の行動と照らし合わせながら、無意識のハラスメントにつながっていないか、一度振り返ってみてください。

過保護・過干渉により成長機会がなくなる

部下に失敗してほしくないという上司の考えは、過保護・過干渉という形のホワイトハラスメントにつながります。

本来は部下自身が行うべき仕事に対して上司が過剰に干渉すると、結果として部下の成長機会を奪ってしまう場合があります。

部下は成長機会を奪われ続けると、挑戦する意欲や自分で考える主体性を失い、指示がなければ動けない指示待ちの状態に陥りやすくなるでしょう。

よかれと思ってのサポートが、部下の貴重な学びの機会を奪い、長期的なキャリア形成に深刻な影響を与えてしまうことを理解し、部下に任せる勇気を持つことが重要です。失敗も含めて経験させることが、部下に対する真の配慮となるでしょう。

仕事の割り振りを減らす

仕事の割り振りを減らしたり、能力に見合わない簡単な仕事ばかりを与えたりすることも、ホワイトハラスメントの一例です。人は自分の能力を少し越えるような挑戦的な仕事に取り組むことで、新たなスキルを身につけ成長します。

責任ある仕事を任されなければ、部下はいつまでも経験を積めません。また、周囲の同僚がやりがいのある仕事に取り組む中で、自分だけが簡単な作業ばかりを割り振られていると、仕事へのモチベーションが低下してしまうでしょう。

仕事の割り振りを減らす行為は、仕事量が多すぎるとブラック企業といわれてしまうことを不安に思ったり、部下のはたらきやすさを考えたりする配慮から生まれます。

しかし、行き過ぎた配慮は部下のキャリアを停滞させ、はたらく意欲を削いでしまう事態を招きます。本人の意欲やキャリアプランを確認しながら、適切な挑戦の機会を提供することは、上司の重要な役割です。

部下に適切にフィードバックをしない

フィードバック行為がパワハラと受け取られることに不安を感じ、仕事に対する適切なフィードバックを避ける行為も、ホワイトハラスメントにつながります。

部下の仕事に対して具体的な評価や改善点を伝えず、実質的に放置状態にすることは、部下の成長機会を奪ってしまう行為です。

たとえば、部下が作成した資料に改善点があったとしても、具体的な修正指示をしないまま上司自身がこっそり直してしまうケースが該当します。

フィードバックがなされなければ、部下は何がよくて何が悪かったのかを学べません。結果として、同じようなミスを繰り返してしまったり、自身の課題に気づかないまま成長が止まってしまったりします。

相手の成長を考えるのであれば、具体的な事実を誠実に伝えることが、上司の責任といえるでしょう。

ホワイトハラスメントが発生する原因

無意識に相手を悩ませるホワイトハラスメントにつながってしまう主な原因は、以下の3つです。

  • 部下とのコミュニケーション不足
  • 過剰なパワハラ回避の意識
  • 上司のフィードバック不足

原因を理解することは、ハラスメントを防ぐために重要です。順番に見ていきましょう。

部下とのコミュニケーション不足

ホワイトハラスメントが起こる原因として、上司と部下の間のコミュニケーション不足が挙げられます。上司は善意で配慮や気遣いをしているつもりでも、部下にとっては過小な評価だと感じてしまうケースが少なくありません。

上司と部下の認識のズレは、お互いのコミュニケーションが不足しているために起こる現象です。上司は善意の憶測にもとづいて行動し、意図せず部下の成長機会を奪うハラスメント行為をしてしまいます。

上司と部下のすれ違いを防ぐには、業務連絡だけでなく、日々部下とのコミュニケーションを積極的に行うことが不可欠です。

過剰なパワハラ回避の意識

社会全体でパワーハラスメントへの意識が高まったことによる副作用として、一部で過剰なパワハラ回避意識が生まれています。パワハラ回避の意識は、ときとしてホワイトハラスメントの新たな原因となります。

パワハラと認定されることをおそれるあまり、部下への接し方を極端に変えてしまうケースも珍しくありません。パワハラを回避する意識が強すぎると、本来行うべき指導や注意を一切やめてしまい、部下との接し方が極端に変わってしまいます。

常に当たり障りのない対応をされることで、部下は疎外感を抱き、モチベーションが低下してしまうでしょう。

上司に求められることは、指導の放棄ではありません。相手への敬意にもとづいた適切な指導方法を学ぶことが、ホワイトハラスメントの回避につながります。

上司のフィードバック不足

上司自身のフィードバックに対する知識やスキルの不足も、ホワイトハラスメントを引き起こす原因のひとつです。たとえば、フィードバックすべき場面で上司が業務を抱え込んでしまうケースが挙げられます。

本来であれば、どこがどうよくないのかを具体的に伝え、部下自身に修正させるのが育成の基本です。しかし、部下の負担を考えすぎたり、「自分がやった方が早い」という効率を重視したりするあまり、上司が黙って自分で修正してしまうケースが該当します。

上司にとっては優しさや配慮のつもりかもしれませんが、部下にとってはなぜ修正されたのか、どうすればもっとよくなるのかを学ぶ機会が奪われたことになります。

フィードバック不足が繰り返されると、部下はいつまで経っても同じレベルから成長できず、結果としてハラスメントと感じてしまうでしょう。

長期的な視点で部下の成長を捉え、手間や時間を惜しまずにフィードバックを行うことが、上司の重要な責務といえるでしょう。

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優しさが裏目に出る原因は?あなたの「指導スタイル」を診断

部下への「優しさ」がホワイトハラスメントになるのは、あなたの指導スタイルが、部下の成長意欲や価値観とズレているサインかもしれません。

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たった数分で、部下の成長を促す適切な距離感を見つけましょう。



ホワイトハラスメントの防止策

ホワイトハラスメントを避けるためには、具体的な防止策を把握しておく必要があります。ホワイトハラスメントの主な防止策は、以下の通りです。

  • 部下とのコミュニケーションを大切にする
  • 部下に成長機会を与える
  • 部下と向き合う意識を持つ

部下の成長を促し、信頼関係を築くために役立ててください。

部下とのコミュニケーションを大切にする

ホワイトハラスメントの多くは、上司と部下のコミュニケーション不足から生じます。そのため、基本的かつ重要な対策として、日頃から質の高いコミュニケーションを心がけることが重要です。

Job総研の「2024年 価値観変化の実態調査」によると、「ハラスメントを意識せずに話したい」と感じている人は、66.9%にも上るというデータがあります

調査によると、部下もオープンなコミュニケーションを望んでいる可能性が高いことがわかります。遠慮して距離を置くと互いの間に壁が生まれ、思い込みからハラスメントにつながりかねません。

コミュニケーションをするうえで重要なのは、業務連絡だけでなく、1on1ミーティングなど、個人の価値観や意欲に焦点を当てた対話の機会を持つことです。相手を深く知ろうとする姿勢こそが信頼関係の土台となり、すれ違いを防ぐ確実な方法といえるでしょう。

部下に成長機会を与える

上司の過剰な配慮によって部下の成長機会を奪ってしまうことは、ホワイトハラスメントの典型的なパターンです。困難な課題を自分の力で乗り越えた時にこそ、仕事への達成感や自己効力感を得られます。

成長の機会が与えられずに簡単な仕事ばかりをこなしていては、やりがいを失い、ホワイトハラスメントを受けていると感じてしまうでしょう。

部下に成長機会を与えるには、部下の業務に対して過度な手助けや配慮をしすぎず、適度なチャレンジや責任のある仕事を任せることが重要です。

失敗をおそれずに挑戦できる環境を整え、部下が自らの力で成長していくプロセスを信じて見守り、サポートすることで部下の育成を達成できるでしょう。

部下と向き合う意識を持つ

上司が部下と真摯に向き合う意識を持つことが、ホワイトハラスメント防止の効力を発揮します。上司が行なっている配慮も、部下にとっては「過干渉だ」「信頼されていない」といった不要な優しさである可能性があります。

上司と部下の認識のギャップを埋めるためには、自分の価値観を一方的に押し付けるのではなく、部下一人ひとりと向き合い、何を求めているのかを理解することが重要です。

部下と向き合うこととは、ひとりの人間として尊重し、価値観やキャリア観に関心を持つことです。

部下の意見に真剣に耳を傾け、成功を心から願い、支援するパートナーとしての意識を持つことを意識しましょう。上司の姿勢こそが、すれ違いを防ぎ、ホワイトハラスメントを防止する有効な対策となります。

まとめ

ホワイトハラスメントは、よかれと思っての配慮が部下の成長機会を奪う、一見すると周囲からは見えにくいハラスメントです。しかし、原因と対策を正しく理解することで、防止できます。

一方的な思い込みを捨て、質の高い対話で部下を理解したり、過保護にならずに挑戦的な仕事を任せ、成長や可能性を信じたりすることが重要です。管理するのではなく、仕事のパートナーであるという意識を持ち、部下と向き合ってコミュニケーションを重ねていきましょう。

出典:
Job総研の「2024年 ハラスメントの境界線調査」
Job総研の「2024年 価値観変化の実態調査」

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