2025.08.26

静かな退職とは?陥る原因とメリット・デメリットについて解説

「静かな退職」という言葉を耳にして、自分のはたらき方について考えはじめた人もいるのではないでしょうか。

本記事では、静かな退職の定義や原因、メリット・デメリットについて解説します。静かな退職について知ることで、これからのキャリアやはたらき方について考える判断材料にしてみてください。

静かな退職とは

静かな退職とは、必要最低限の仕事だけをこなし、それ以上の努力や貢献をしないはたらき方のことを指します。

静かな退職は、会社を退職することと勘違いされがちですが、実際には仕事への熱意や貢献意欲を意図的に抑えてはたらいている状態です。具体的には、必要以上の残業を断ったり業務時間外のメールチェックをやめたりして、昇進を望まないはたらき方のことをいいます。

静かな退職を選択する背景には、過度な労働による心身の疲弊や、努力が評価されない職場環境への不満があります。以降では、静かな退職が広まっている背景や類似概念との違いについてみていきましょう。

静かな退職が広まっている背景

「静かな退職」という言葉が注目されるようになったのは、2022年にアメリカのキャリアコーチ、ブライアン・クリーリー氏がソーシャルメディアでこの考え方を発信したためといわれています。

当初は、若手労働者を中心に、昼夜を問わず仕事に邁進する「ハッスルカルチャー」への反対意見として広まりました。しかし、この現象はコロナ禍以降のリモートワーク普及により、多くの社員が自らのキャリアやはたらき方を見つめ直す機会となりました。

結果、努力や貢献が正当な評価・報酬に結びつかない職場環境への不満が顕在化しはじめたのです。

その後、長時間労働やストレスが健康を害するリスクであると広く認識されるようになったことも影響して、自身の健康や幸福を優先する新しいはたらき方として、静かな退職が広く注目されるようになりました。

静かな退職とサイレント退職の違い

「静かな退職」と「サイレント退職」は似たような言葉に見えますが、行動や意味合いには違いがあります。

静かな退職とは、退職するわけではなく、現在の職場に在籍し続けるはたらき方を指します。仕事に対する過度な情熱や貢献意欲を抑え、契約上定められた職務の範囲内で、必要最低限の業務のみをこなす姿勢が特徴です。

一方、サイレント退職は最終的に退職という選択に至る行動です。上司や同僚に事前の相談や不満の兆候を一切見せることなく、ある日突然、退職を申し出る現象を指します。

実際に職場を辞めるか辞めないかという点が静かな退職とサイレント退職の違いです。

静かな退職を選択する原因5選

静かな退職を選択する背景には、はたらく人々の価値観や企業環境の変化があります。 はたらく人が最低限の業務だけを行うはたらき方を選ぶ理由として、以下の5つが挙げられます。

  • はたらく意識の変化
  • 報われない評価制度による出世欲の欠如
  • キャリア不透明感による将来の不安
  • 社内政治の圧力による企業に対する不信感
  • 就業の時短化によるはたらき方の変化

静かな退職を選ぶ原因を深く知ることで、今後のはたらき方について考えていきましょう。

はたらく意識の変化

静かな退職を選択する原因のひとつに、はたらく意識の変化があります。

かつては「仕事第一」で生きることが当たり前とされていましたが、近年では「自分の時間」や「家族との時間」を重視する人が増えています。

たとえば、終業後や休日に職場からの連絡があることにストレスを感じ、あえて昇進を望まない人もいるでしょう。

この変化は、自分自身の人生を豊かにするための健全な動きとも考えられます。このような意識の変化は、仕事の質を保ちつつも、無理なくはたらき続ける選択として静かな退職を後押ししています。

報われない評価制度による出世欲の欠如

報われない評価制度は、出世を目指す意欲の低下を招き、静かな退職につながる要因のひとつです。努力や成果が正しく評価されない職場では、モチベーションを保つことが難しくなります。 

たとえば、熱心にプロジェクトを進めて成功させたにもかかわらず、それが評価されず、年功序列で給与が上がっていくような状況では、努力することに意味を見いだせなくなるでしょう。

結果として、必要以上の仕事をせず、言われたことだけをこなすようになり、静かな退職状態に陥っていくのです。

キャリア不透明感による将来の不安

キャリアに対する不透明感も、静かな退職の選択を後押しする要因のひとつです。自分の将来のキャリアパスが描けない職場では、「このままこの会社にいて成長できるのだろうか」という不安を抱きやすくなり、仕事に対するモチベーションが低下してしまう可能性が高くなります。

具体的には、入社後の研修が不十分であったり、定期的な面談でキャリアプランについて相談する機会がなかったりする場合に、この問題は顕著になります。

将来の展望が見えない状況では、自身のスキルアップや自己成長を会社に期待しなくなり、現状維持を望むようになるため、静かな退職につながるのです。

社内政治の圧力による企業に対する不信感

社内政治の存在は、はたらく人の信頼を損ない、静かな退職を選ぶ理由のひとつです。

 Job総研が実施した「2024年 社内政治の実態調査」によると、調査対象の会社員446人のうち、55.2%の人が「社内政治は必要だと思う」と回答しています。

一方で、「社内政治は必要だと思わない」と回答している人の理由としては、以下のとおりです。

  • 適切な評価が行われなくなる:63.5%
  • 意識が分散し生産性が下がる:51.5%
  • ストレスや意欲に影響する:48.0%

常に上司の顔色を伺いながら仕事をするような上司との関係や派閥への所属によって評価・昇進が左右される環境下では、社内政治に積極的に加担する人がいる一方で、「やるだけ無駄だ」と感じ、次第に不信感を抱く人もいます。

不信感を抱いた人は、社内政治からは距離を置き、最低限の仕事だけをこなす静かな退職というはたらき方を選択することにつながるのです。

就業の時短化によるはたらき方の変化

働き方改革やライフスタイルの多様化により、就業時間の短縮が進んだことも静かな退職の一因です。

昨今、過度な長時間労働を前提としないはたらき方を、職場の制度や業務の実態として選択しやすくなりました。また、残業時間の削減や有給休暇の取得が進むにつれて、決められた時間内で業務を終わらせるよう意識する人が増えていったのです。

静かな退職を選ぶメリット3選

静かな退職には、否定的なイメージがある一方で、はたらく人にとってはメリットも存在します。 ここでは、静かな退職を選ぶ3つのメリットを紹介します。

  • ワークライフバランスを意識したはたらき方ができる
  • 心身の疲労が軽減される
  • 業務遂行のクオリティが安定する

上記の点を理解することで、静かな退職が個人の生活や健康を守るための積極的な選択肢であることが見えてくるはずです。

ワークライフバランスを意識したはたらき方ができる

静かな退職を選ぶことで、ワークライフバランスを意識したはたらき方ができるようになります。

仕事に対する過度な責任感やプレッシャーから解放されるため、プライベートに費やせる時間が増えます。結果として、就業以外の時間を趣味や家族との時間に充てられるため、生活の質の向上が期待できるでしょう。

たとえば、時間がなくて諦めていた趣味活動への参加や、将来のための資格取得や副業の勉強時間の確保、ボランティアや社会貢献など社会的な活動の幅を広げることも可能です。

静かな退職は、仕事に支配されることなく、自分らしい人生を送るための選択肢のひとつといえるでしょう。

心身の疲労が軽減される

静かな退職を選ぶことで、心身の疲労を軽減できるメリットがあります。

仕事への過度な貢献意欲や昇進意欲を手放すことで仕事のストレスが大幅に減少し、精神的な疲労だけでなく、長時間労働や過重労働による身体的な疲労も軽減されます。

ストレスが軽減されることで、日曜の夜や月曜の朝が憂鬱で仕方ないという状況が改善されたり、休日を心からリラックスして楽しめるようになったりします。

結果として、心身ともに健康な状態を保ちながら安定してはたらくことも可能です

業務遂行のクオリティが安定する

静かな退職を選ぶと、業務遂行のクオリティが安定する傾向があります。

新奇性の追求や新たなチャレンジこそ見られないものの、過度な負担やストレスから解放されることで、限られた時間内で集中して業務に取り組めます。その結果、注意散漫になったり、ミスをしたりするリスクが減り、業務の質の担保が可能です。

依頼された業務は、常に高い品質で期限内に遂行するため、むしろ周囲からの信頼が安定する可能性もあります。エンゲージメントは低くとも、プロとして責任を果たす姿勢は、無理なく持続可能なはたらき方を実現するひとつの戦略ともいえるでしょう。

静かな退職を選ぶことによるデメリット4選

静かな退職ははたらく人の心身を守る手段として一定の効果がありますが、その反面、職場や本人にとって以下のデメリットも存在します。

  • モチベーションが低下する
  • 周囲から評価されなくなる
  • 職場のコミュニケーションや人間関係に悪影響を及ぼす
  • 周囲の負担が増える

静かな退職が個人の選択である一方で、企業全体のパフォーマンスやチームワークに影響を与える可能性があることを理解しておくことも大切です。

モチベーションが低下する

静かな退職を選ぶデメリットは、仕事へのモチベーションが低下することです。

仕事の責任範囲を限定し、必要最低限のことだけをこなすようになると、仕事自体への興味を失い、日々の刺激が少なくなりモチベーション低下につながるおそれがあります。

たとえば、これまで積極的に新しい仕事に挑戦していた人が、簡単なルーティンワークばかりをこなすようになると、成長機会の損失につながります。結果として、仕事が単調でつまらないものに感じられ、マンネリ化して飽きてしまうでしょう。

仕事に対する熱意を失うことは、将来のキャリア形成にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

周囲から評価されなくなる

静かな退職を選ぶことは、周囲からの評価を失うことにつながります。与えられた業務のみをこなし、自ら進んで行動したり新しい提案をしたりすることがなくなると、周囲からは「意欲がない」「仕事に熱心ではない」と見なされるようになります。

なぜなら、多くの評価制度は職務範囲以上に積極的に組織へ貢献する人を高く評価するように設計されているためです。

具体的には、賞与の査定が伸び悩んだり、昇格候補者のリストから名前が外されたりする影響が考えられます。

目先の心理的負担を軽減することと引き換えに、長期的なキャリアアップの機会や昇進・昇給の機会を失うリスクがあることを認識したうえではたらき方を考えましょう。

職場のコミュニケーションや人間関係に悪影響を及ぼす

仕事への関与を意図的に減らす態度は、チーム内での孤立を招き、職場の円滑な人間関係に悪影響を及ぼすリスクがあります。

仕事に対する関心が薄れると、同僚や上司との会話も必要最低限になりがちです。これにより、チーム内の連携が希薄になったり、職場の雰囲気が悪化したりする可能性があります。いざ自分が困ったときに、周囲に助けを求めにくい、快く協力してもらえない、などの気まずい雰囲気になってしまうことも考えられます。

円滑な人間関係は、仕事の満足度を左右する重要な要素であるため、この点は静かな退職のデメリットといえるでしょう。

周囲の負担が増える

静かな退職を選んだ人の業務が限定されると、その分、周りの人への負担が大きくなるため注意が必要です。

たとえば、自発的な残業や突発的な対応を避ける人が多くなると、緊急時や繁忙期に対応できる人材が偏ってしまいます。その結果、特定のメンバーへの業務集中が起き、職場全体のバランスが崩れるおそれがあります。

このような状況が続くと、チーム全体の士気が低下するため、自分のはたらき方が意図せず他の誰かを苦しめていないか、という視点を持つことは重要です。静かな退職は、自分だけでなく、周囲にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。

まとめ

静かな退職とは、はたらく人が積極的な関与を控え、最低限の業務のみにとどめるはたらき方を指します。 この選択は、ワークライフバランスとの両立や心身の疲労軽減などのメリットがある一方で、成長機会の損失や評価の低下などのデメリットも伴います。

静かな退職は、自分自身のはたらき方を見つめ直すきっかけとなる選択肢です。メリットとデメリットの両方をよく理解したうえで、自分にとって最適なはたらき方であるかを慎重に判断しましょう。

「報われない」と感じるのはなぜ?あなたの仕事の満足度をチェック

静かな退職の原因には、「努力が評価されない」「将来のキャリアパスが見えない」など仕事への不満があります。

この働き方が本当に自分にとって最適なのか、あるいは価値観に合う別の職場を探すべきかを判断するために、まずはあなたの「仕事の価値観」と「現在の満足度」を客観的に見つめ直してみるのはいかがでしょうか。

dodaの「転職タイプ診断」では、静かな退職を選ぶ原因の自己分析に役立つ、客観的なデータが得られます。

  1. あなたの仕事の価値観: 仕事に求める譲れない要素が分かります。
  2. 仕事の満足度チャート: 給与、職場環境、仕事内容など、今の仕事で特に不満を感じているポイントが分かります。

「静かな退職」が最適解か、次のキャリアに進むべきかを判断する材料として、ぜひ活用してみてください。



出典:Job総研「2024年 社内政治の実態調査」

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