2025.08.26
共働きの現状と課題|家事分担やお金管理などの悩み解決策も4つ紹介
仕事と家庭を両立する共働き生活は、やりがいや充実感がある一方で、家事・育児の分担やパートナーとの関係に悩みを抱えることも少なくありません。
この記事では、多くの共働き夫婦が直面する悩みと、その解決に役立つ具体的な方法を解説します。
共働きの現状
共働きが一般的になりつつある今、その実態を知ることで、自分たちのはたらき方や生活のヒントが見つかるかもしれません。
ここでは、以下の2点に注目して、共働きの現状を解説します。
- 共働き世帯の数
- 共働き世帯の年収
まずは共働きの現状について、データをもとに確認していきましょう。
共働き世帯の数はどれくらい?
独立行政法人労働政策研究・研修機構のデータによると、2024年における共働き世帯数は1,300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯とのことです。1980年には1,100万世帯以上あった専業主婦世帯ですが、1990年代前半に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、その差は年々拡大しています。
現代の日本において、共働き世帯は特別ではなく、社会のスタンダードになりつつあるといえるでしょう。
出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)|図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計
共働き世帯の年収はいくら?
総務省が公表している2024年の「家計調査」データを参考にすると、共働き世帯(勤労者世帯)の平均月収は約71万円でした。年収に換算すると約850万円と考えられます。
一方、専業主婦世帯の平均月収は約57万円で、年収では約680万円と推測されます。このように、共働き世帯は専業主婦世帯の約1.25倍の収入であることがわかります。
出典:総務省|家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表
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共働きを選ぶ理由は?
夫婦揃ってはたらくのは大変であるにもかかわらず、なぜ多くの家庭が共働きというスタイルを選んでいるのでしょうか。
ここでは、共働きを選ぶ主な3つの理由を紹介します。ひとつずつ確認していきましょう。
経済的な安定を得るため
共働きを選択する理由のひとつが、経済的な安定の確保です。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によれば、「生活が苦しい」と回答した世帯は全体で59.6%、子どものいる世帯では65.0%にのぼります。こうした状況では、大黒柱となる収入が一方に偏っていると、将来への不安が大きくなりやすいでしょう。
また、Job総研が行った「2024年 日本経済の意識調査〜少子化編〜」でも、子どもを持つ場合に「経済的な不安がある」と回答した割合が85.6%にのぼりました。

夫婦の一方が病気やケガなどではたらけなくなった場合でも、もう一方の収入があれば生活の急激な悪化を防げる点も、共働きの大きなメリットです。
2つの収入源があることで、現在の生活水準を保ちながら、将来起こり得るリスクへの備えにもなります。
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社会とのつながりを持ちたいから
仕事を通じて社会とのつながりを持ちたいという思いも、共働きを選ぶ理由のひとつです。
家事や子育てもやりがいのある役割ですが、時に社会から孤立しているような感覚に陥ることがあります。「自分のスキルを活かして誰かの役に立つ実感を得たい」「同僚とのコミュニケーションを通じて、個としての自分を再確認したい」との思いから共働きを選択する人もいるようです。
実際に、Job総研が実施した「2022年 女性のワークライフ実態調査」によれば、7割以上の女性が結婚や出産後もはたらき続けたいと回答しています。はたらき続けたいという意欲の高さからも、仕事が生活の一部として根付いている様子がうかがえます。

近年ははたらき方の多様化が進み、リモートワークや柔軟な勤務形態により、家庭の状況に合わせたはたらき方が可能になっています。こうした環境も、社会とのつながりを求めてはたらき続ける人を後押ししているといえるでしょう。
性別による役割分担の意識が変化しているから
「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別による役割分担に、疑問を感じる人が増えていることも、共働きを後押しする要因です。
現代では、性別によってキャリアを限定するのではなく、個人の特性や意欲に応じて誰もが活躍できる社会へと価値観が大きく変化しています。
この変化は個人の意識だけでなく、社会全体の仕組みにも表れています。
国は「女性活躍推進法」などを通じて、女性がはたらきやすい環境の整備を進めています。企業でも育児休業制度の拡充や、女性管理職の登用目標設定など、女性の活躍を積極的に後押しする動きが活発です。
このような社会的な動きの中で、お互いのキャリアを尊重し合う夫婦も増えています。
出典:東京海上ディーアール株式会社|令和 5 年度 厚生労働省委託事業「女性の活躍推進及び両立支援に関する総合的情報提供事業」『女性活躍に関する調査』報告書
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共働き夫婦が抱える悩み4選
共働きには、経済的な安定や自己実現といった多くのメリットがあります。その一方で、仕事と家庭の両立を目指す中で、多くの夫婦が壁にぶつかっているのも事実です。
ここでは、共働き夫婦に多く見られる代表的な悩みを4つ紹介します。
家事・育児の分担がうまくいかない
Job総研が実施した「2022年 女性のワークライフ実態調査」では、回答者の約8割が「仕事と子育ての両立に不安がある」と答えています。

こうした不安の背景にあるのが、家事・育児の分担問題だと考えられます。家事・育児の分担は、共働き夫婦の間でストレスやケンカの原因になりやすい問題のひとつです。
たとえば、保育園の送迎や連絡事項の確認など、細かな家事や育児の負担が女性側に偏るケースも多く見られます。
分担がうまくいかないと、「自分の方が頑張っている」という気持ちが募り、感謝の言葉が減ってしまうこともあります。その結果、家庭内の雰囲気が悪化し、さらに協力しづらくなる悪循環に陥りやすいでしょう。
「共働きなのだから、家事も育児も協力して当たり前」という理想と、実際には分担できていない現実とのギャップが、多くの夫婦を悩ませる要因だと考えられます。
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自分の時間・子どもとの時間を確保できない
共働き夫婦の毎日は、朝から夜まで、息つく暇もないほどのタスクで埋め尽くされています。その結果、自分の趣味や休息にあてる時間はもちろん、子どもとゆっくり向き合う時間さえ確保できない状態に陥りがちです。
「子どもと一緒にいるのに、頭の中は次のタスクでいっぱい」「休日は溜まった家事をこなすだけで終わってしまう」という状況は、心身をすり減らします。「何のためにこんなに頑張っているのだろう」という焦りやむなしさを感じることもあるでしょう。
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経済的な不安が拭えない
「共働きなら経済的に余裕があるはず」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。特に子育てに関する出費は、家庭の大きな負担になりやすい傾向にあります。
Job総研が20~50代の男女を対象に調査した「2024年 日本経済の意識調査〜少子化編〜」によると、子どもの学費・教育費に不安を感じる人が84.6%にのぼりました。

さらに、子どもの成長に伴い、増え続ける教育費や自分たちの老後資金など、将来に向けた出費の見通しは厳しさを増しています。
このような状況で、現在の生活を維持しながら将来への備えを同時に進めていくことに、大きなプレッシャーを感じている家庭は少なくありません。
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パートナーとのコミュニケーションが少ない
日々の仕事や家事、育児に追われるあまり、夫婦の会話が事務連絡中心になってしまうケースもあります。
疲れがたまり、夜にゆっくり話す余裕がなくなると、「明日の保育園の送りはどっち?」「〇〇の支払い、お願い」といった必要最低限の連絡だけで終わってしまうことも少なくありません。
さらに、どちらかの帰宅時間が遅かったり、休日出勤が続いたりすると、家族全員で過ごす時間が減り、すれ違いはさらに加速します。
こうした状況では、小さな不満や気がかりを話し合う機会が減り、お互いにストレスを溜め込む悪循環に陥りがちです。その結果、夫婦でありながら同居人のような関係になり、家庭内で孤独を感じることもあります。
共働き夫婦がうまくいくために意識したい4つのこと
共働き夫婦が抱える悩みを解決するために大切なのは、精神論で乗り切ろうとするのではなく、仕組みを作ることです。
ここでは、明日から実践できる4つの具体的なアクションを紹介します。できることから取り入れてみてください。
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家事・育児の分担ルールを明確にしよう
共働き夫婦で生まれやすい「自分ばかりに負担が集中している」という不満は、「言わなくてもわかるはず」という期待に起因することが多いものです。この不満を減らす第一歩として、家事・育児のタスクを見える化してみましょう。
「掃除」「洗濯」といった大きな作業だけでなく、「洗剤の補充」「保育園バッグの準備回」など、細かい作業までリスト化し、全体像を共有します。
そのうえで、お互いの得意・不得意や生活リズムを考慮して、主担当を決めます。たとえば「朝型の夫がゴミ出しと朝食準備」「在宅勤務の妻が洗濯物を取り込む」など、具体的に役割を明確化しましょう。
ただし、一度決めたルールに縛られすぎるのは禁物です。状況に応じて定期的に見直し、必要な場合は役割を入れ替えるなど、柔軟性を持たせましょう。
ルールはあくまで円滑な家庭運営のための土台です。困ったときにはお互いに助け合う姿勢を忘れないようにしましょう。
時短家電・家事代行サービスなどを利用しよう
共働き夫婦の限られた時間を、自分たちでやらなくてもよい作業に費やすのは得策ではありません。機械や他人の力を借りることで、時間と心の余裕を生み出す視点を持ちましょう。
食洗機やロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機といった時短家電は、日々の家事負担を大きく軽減します。また、家事代行サービスを利用して水回りの掃除をお願いしたり、ミールキットで食事作りを簡略化したりするのも有効です。
最初は贅沢に感じるかもしれませんが、それによって生まれた時間を子どもとの関わりや夫婦の会話に充てられれば、その価値は費用をはるかに上回るでしょう。家族の時間を増やすための投資と捉え、積極的に活用してみましょう。
お金の管理は仕組み化しよう
お金の管理は、誰が担当しても迷わず運用できるように、ルールやフローをあらかじめ決めておくことが大切です。こうした「仕組み化」によって、金銭管理の負担やトラブルを防ぎやすくなります。
仕組み化の方法はさまざまですが、個人の自由なお金を確保しつつ、家族の共有資金を明確に管理できる方法がおすすめです。たとえば、夫婦別々の財布に加えて共通口座を用意し、次の手順で運用します。
- 家賃や水道光熱費、保育料、食費といった毎月の共通支出と、将来の貯蓄額を決める
- 決めた金額を分担し、各自の口座から共通口座へ自動振込設定を行う
- 共通口座から全ての共通支出を引き落とす
こうすれば、支払いの度に管理する必要がなくなります。さらに、家計簿アプリを共通で使うと、収支や貯蓄の進捗が一目でわかり、お金に関する情報共有もしやすいでしょう。
パートナーと積極的にコミュニケーションをとろう
共働き夫婦は、意識して時間をつくらないと、コミュニケーション不足に陥りやすくなります。
会話が減ると、ささいなことから誤解や不信感が生まれたり、相手への不満やストレスが溜まったりと、関係に悪影響を及ぼすことがあります。
こうした事態を避けるには、対話の時間をスケジュールに組み込むことが効果的です。週に15分だけでも時間を確保し、家事の分担や子どものこと、お互いの仕事の状況などを共有しましょう。
その際、単なる事務連絡で終わらせず、感謝の気持ちや労いの言葉を添えることが大切です。こうした小さな積み重ねが夫婦の絆を強め、共に困難を乗り越えるチームとしての土台を築きます。
まとめ
共働き夫婦は仕事や家事、育児に追われる中で、思い通りに時間が取れなかったり、家事・育児の負担やお金の管理に悩むことも少なくありません。そんな日常を少しでも楽にし、心地よく暮らしていくためには、仕組みを整えることが大切です。今回紹介した方法を参考に、無理のない範囲から取り入れてみてください。








