2026.01.21
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【Job川柳】物価高・AI・出社回帰…社会人の本音で振り返る2025年のリアル
パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、「はたらく社会人の2025の世相と2026への期待」をテーマに「第4回Job川柳」を実施。全209作品から、最優秀賞を含む受賞作品を「経済部門」「社会部門」に分けて決定しました。
物価高の長期化、AIの急速な浸透、出社回帰と働き方の揺り戻しが同時に進んだ2025年。川柳を通じて、調査データでは見えてこない社会人の本音が浮き彫りに。
受賞作品と応募作品から、2025年の世相を振り返ります。
| 【概要】 応募対象者:現在職を持つ JobQ Town(ジョブキュータウン)登録者 応募条件 :全国/男女/20~50 代 応募期間 :2025年12月22日〜12月24日 有効作品数:209作品 |
最優秀賞|「物価より 心が上がる 春よ来い」

物価高と手取り減が続いた2025年を象徴する一句として、最優秀賞に選ばれました。「賃金」や「制度」といった具体的な改善策ではなく、「心」に焦点を当てている点が特徴の作品です。
実際、応募作品には「賽銭も 投げる金なく 不敬罪(不経済)」「給料日 税は見ないで 開きたい」など、生活の余裕のなさを詠んだ句が多数寄せられました。
経済的な苦しさを訴える声が大半を占める中、選出会議では「春よ来い」という響きの美しさと前向きさ、春の足音が聞こえるような感じが評価され、全員一致で決定。
先行き不透明な時代だからこそ、心が上がる春を願うこの一句が、社会人の本音を代弁する作品として選ばれました。
経済部門|物価・投資・税・老後ににじむ生活不安

経済部門では、物価高が日常生活に与えた影響を詠んだ作品が多数を占めました。賃上げ実感の乏しさ、投資への関心の高まり、老後や税負担といった中長期的な生活不安が、川柳のテーマとして浮き彫りになっています。
物価
賃上げが話題になった2025年。一方で、実感として「手取りが減っている」と感じる人も少なくありませんで。
金賞作品「手取り減 上がるは株価と 物価のみ」が示すのは、株価は上がっても自分の生活は良くならないという現実。経済指標と生活実感とのズレが、多くの社会人に共有されていたことがわかります。
銅賞「物価高・オレの血圧・急上昇」は、物価高が心身の健康にまで影響している様子をユーモラスに表現した作品。応募作品にも「米卵 価格あがれど 給料は」という声が寄せられており、日常の食卓を支える基本的な食材の値上がりが、生活を直撃していることを物語っています。
物価高は一過性の出来事ではなく、2025年を通して続いた生活実感でした。
投資
かつて、へそくりは引き出しに隠しておくものでした。しかし、銀賞「へそくりは 昔引き出し 今投資」が表すように、今やそれは投資に回される時代。
この変化は、単なるお金の置き場所の問題ではありません。将来不安への備えとして、投資が現実的な選択肢になっているということです。
「新NISA 年金代わり 期待大」という声からは、年金だけでは老後が不安という認識の広がりが見て取れます。また「ボーナスは 物を買わずに 株を買う」という作品も、消費ではなく資産形成を優先せざるを得ない現実を映し出したもの。
投資は「余裕のある人のもの」から「将来のために必要なもの」へ。物価高で日々の生活が圧迫される一方で、老後への不安も高まっている。そんな板挟みの状況がこれらの句から読み取れます。
税/老後
老後や税負担といった中長期的な不安も、多くの川柳に表れていました。
「税負担 下がる夢見て 初詣」は、新年の願掛けで税のことを考えざるを得ない状況を詠んだ作品。本来であれば健康や幸せを願う希望に満ちた場面でも、税負担の重さが意識されている。そんな現実が表現されています。
「給料日 税は見ないで 開きたい」という声からは、給与明細を見るたびに感じる複雑な気持ちが伝わってきます。さらに「定年が 延長しても 給与減」という作品も。
定年延長は一見良いニュースに見えますが、実態は給与が減額されるケースが多く見られます。詠まれたのは、長く働いても生活が楽にならないという世知辛い現実。
応募作品全体を通して、「今が苦しい」だけでなく「将来も不安」という二重の重圧が、2025年の社会人を覆っていたことが見えてきます。
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社会部門|AI・はたらき方・上司部下に表れた職場のリアル

社会部門では、AI活用の加速、出社回帰による働き方の変化、ハラスメント意識の高まりによる上司・部下の関係性の変化といった、2025年の職場のリアルが浮き彫りになりました。効率化やDXといった言葉と、実際の職場環境との乖離も、多くの作品に表れています。
AI
金賞「AIの 脅威を相談 AIに」は、2025年のAI活用を象徴する一句。AIに仕事を奪われるかもしれないという不安を、AIに相談するしかないという皮肉が込められています。
便利なツールである一方で、自分の存在意義を脅かすかもしれない存在。AIに対するそんな複雑な感情が表現された作品です。
「AIの 笑顔溢れる 不気味資料」からは、AI生成資料への違和感も。完璧すぎる笑顔や均質化されたビジュアルに、人間味のなさを感じる声です。
「AI化 進める現場 拒む上」は、経営層と現場のズレを詠んだもの。効率化やDXの掛け声は華々しくても、実際に使う現場では戸惑いや抵抗感が広がっている現実。AI活用が進む一方で、不安と戸惑いも同時に広がった一年でした。
はたらき方
銅賞「リモートが 出社に変わり スーツ買う」は、出社回帰による働き方の変化を端的に表した作品。リモートワークが定着したかに見えた2025年でしたが、出社回帰の動きも進み、スーツを新調せざるを得なくなった現実を詠んだもの。はたらき方の揺り戻しに対する戸惑いが伝わってきます。
「残業を 減らせの指示に 打つ手なし」からは、効率化の掛け声と現場の実態とのズレも。業務量は変わらないのに残業だけ減らせと言われても……そんなジレンマが詠まれています。
一方で、銀賞「働いて 獲得するぞ 高い地位」は、若手世代からのまっすぐな意欲を表した作品。「高い地位・高市」という時事性も感じさせつつ、不安や皮肉が多い中で、前向きに地位を目指す姿勢が光ります。
上司部下
ハラスメント意識の高まりは、職場のコミュニケーションにも影響を与えています。
「パワハラを 気にして会話が なくなった」という作品が示すのは、何が問題になるかわからない不安から、上司が部下との会話を避けるようになった現場の実情。
「叱らない ○○ハラに ハラハラし」も同様で、指導すべき場面でも躊躇してしまう上司の心境が、軽快な言葉遊びで表現されています。
一方、部下側の本音が滲むのが、「上司には 残してほしい 定年制」の一句。世代間のコミュニケーションギャップや価値観の違いが、職場の人間関係を難しくしている様子が伝わってきます。
ハラスメント防止は重要な取り組みですが、それによってコミュニケーションが委縮してしまうという副作用も。2025年の職場では、適切な距離感を模索する動きが続いていました。
受賞作と応募作から見える|2025年の世相と共通感情
「第4回Job川柳」を振り返ると、経済部門では物価高や手取り減への圧迫感と焦りが、社会部門ではAI活用や働き方の変化に対する不安と戸惑いが多く見られました。
両部門に共通するのが、投資や老後といった将来への関心の高まり。個々の川柳が描く状況は異なっていても、「余裕がない」「先が見えない」という感情は共通しています。
物価高で日々の生活が苦しく、AIで仕事が変わるかもしれず、老後の不安もある。ひとつひとつは別々の問題に見えますが、すべてが「安心して生活できない」という根本的な不安につながっているのです。
これらの川柳は、単なる個人のつぶやきではありません。2025年を生きた社会人の集合的な声として読み解くことで、調査データだけでは見えてこない、はたらく人たちのリアルな心情が浮かび上がってきます。
まとめ|2026年に向けて、はたらく人が求めるもの
「第4回Job川柳」全体を通して見えたのは、経済的不安と気持ちの疲れ。そんな中で、最優秀賞が「物価より 心が上がる 春よ来い」だったことには意味があります。
制度や賃金だけでなく、心が上がる春を願う。それは、安心や余裕、そして前向きさを求める声の表れ。
2026年に向けて、多くの社会人が「心が上がる」ような変化を待ち望んでいることが伝わってくるJob川柳となりました。








