2025.10.1
社会人の学び直し・リスキリングは本当に必要?調査で見えた本音と実践のポイント
はたらき方の多様化やAI・DXの進展により、社会人の「学び直し」への注目が高まっています。政府も最大56万円が支給される支援制度を整備し、リスキリングを強力に推進中。では、実際にはたらく人々は学び直しについてどう考えているのでしょうか?この記事では、Job総研の調査結果をもとに、学び直し・リスキリングの実態と本当に必要なスキル、継続のコツまで詳しく解説します。
いま「学び直し」が注目されているのはなぜ?
近年、はたらく人の「学び直し」や「リスキリング」「リカレント教育」といった言葉が広く聞かれるようになりました。この背景にはいったいなにがあるのでしょうか。まずは、「リスキリング」「リカレント教育」の基本とともに、学び直しが注目されているその理由について解説します。
学び直しが注目される背景
はたらき方が多様化し、DXも進展するなかで、「従来のスキルだけでは通用しない」との共通認識が広がっています。特にAI技術の急速な発達は、多くの業務を自動化し、はたらく人々に新たなスキル習得を迫っているのが現状です。
加えて「人生100年時代」の到来により、キャリアは一度選んだら終わりではなく、変化に対応する柔軟な力が必要に。政府が「人への投資」を掲げ、「リスキリング」や「リカレント教育」を推進していることもあり、社会全体で「学び直し」があたりまえのテーマとして注目されるようになりました。
終身雇用制度が揺らぐなか、自分自身のスキルを磨き続けることが安定したキャリアを築く鍵となっているのです。
「リスキリング」とは?
リスキリングとは、これからの業務やキャリアに必要な新しいスキルを身につける学び直しのこと。
新しい技術がめまぐるしく取り入れられている現代のビジネスシーンでは、新しい知識やスキルの習得が欠かせません。
扱う情報やスキルの多様化にともない、営業職にデータ分析スキルが求められたり、事務職でもITツールの活用が必須となったりといった例も。転職を検討するにあたっても新たな学びは必要不可欠です。
こうした現状をふまえ、時代のニーズに応じ、職業上で必要ながらも現在の職務の延長上では習得が難しいスキルを習得する、もしくはさせることを「リスキリング」といいます。
参照:転職をご検討の方 | リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
「リカレント教育」とは?
リカレント教育とは、人生を通じて繰り返し学び直しを行うことを指す広い概念です。1970年にOECD(経済協力開発機構)が提唱し、日本では文部科学省が推進してきた政策的用語として知られています。
リスキリングが特定のスキル習得に焦点を当てるのに対し、リカレント教育はより包括的。リスキリングのほか、現在の職務を遂行する上で求められる能力・スキルを追加的に身に付ける「アップスキリング」や、職業とは直接関係のない知識や教養の習得なども含む概念です。
はたらきながら夜間大学院に通ったり、休職して大学で学び直したりするのも、リカレント教育の一環。
社会の変化への対応や自己実現のための学び直し全般を「リカレント教育」といいます。
参照:厚生労働省|リカレント教育の推進に関する文部科学省の取組について
データで見る学び直し・リスキリングの実態
実際のところ、はたらく人々は学び直しについてどう感じているのでしょうか。ここでは、Job総研が実施した調査結果をもとに、社会人の学び直しに対する本音に迫ります。
キャリアの納得度と学び直しへの意欲

Job総研では、「転職とリスキリングの意識調査」で全国554人の社会人男女を対象に自身のキャリアの納得度について尋ねました。すると、「納得している」との回答が63%という結果に。過半数の人が現在のキャリアに一定の満足感を持っていることがわかる結果となりました。
一方で、JobQ Townで実施した「今後のキャリアに不安はありますか?学び直しは必要?」との調査に対して、次のような声も寄せられています。
今後のキャリアに不安がないと言ったら嘘になります。どんなことが起きるか分かりません。学び直しが必要かどうかは分かりませんが、世の中が絶えず変化し続けるわけですから、その変化に対応するためには、学び続けることは必要だと思います。
今キャリアには納得していても、将来への不安や成長意欲から学び直しの必要性を感じている。そんな人が増えているのかもしれません。
リスキリングを知っている人・知らない人
同じくJob総研が、リスキリングに関する調査のなかで「リスキリングの名前と内容を知っていますか?」と尋ねたところ、35.4%が「どちらも知っている」と回答しました。一方で26.2%が「どちらも知らない」と答えており、まだまだ情報が浸透していない現状が明らかになっています。
政府や企業が積極的に発信している「リスキリング」ですが、実際にはたらく人々への認知度はまちまち。特に中小企業や特定の業界では、まだ十分に浸透していないことがうかがえます。
この認知度の差が、学び直しの機会格差につながる可能性も否定できません。情報を早くキャッチした人ほどスキルアップを図れる反面、情報に触れる機会が少ない人は取り残されるリスクも。
情報収集の重要性が改めて浮き彫りになっています。
参照:【Job総研/公式】リスキリングを知ってますか?利用したいと思う? | JobQ[ジョブキュー]
支援金制度を知る人はわずか
さらに同調査にて「リスキリングで支援金が最大56万円出ることを知っていますか?」と尋ねたところ、「知らない」が92.2%という結果に。
これは「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」と呼ばれる制度で、リスキリングに関連する講座の受講と転職を通じ最大56万円の補助金が支給されるというもの。講座修了で受講費用の50%相当額(上限40万円)、さらに転職・1年間継続就業で追加20%相当額(上限16万円)が支給される仕組みです。
政府が大々的に打ち出している支援制度ですが、ほとんどの人に知られていないのが実情。
情報格差が広がる中、積極的に情報収集をおこない、制度を活用することの重要性が増しています。
参照:【Job総研/公式】リスキリングを知ってますか?利用したいと思う? | JobQ[ジョブキュー]
転職をご検討の方 | リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
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世代別にみる学び直しのリアル
学び直しに対する考え方や取り組み方は、年代によって大きく異なります。ここでは、世代ごとの学び直しの実態について解説します。
20代・30代|キャリアチェンジに挑む世代
20代・30代は、学び直しを通じたキャリアチェンジに積極的な世代。Job総研の調査には、こんな声も寄せられています。
学びなおしが必要なのは30代前半までであろう。それ以降は以前の仕事で作った成果を活かし新しい会社で大きな仕事をしていくことかと思う。望まれているものが年齢ごとに違う。そこを理解して転職活動、学びなおしをすることが大切だと思う。
今後のキャリアに不安はない。直近で学び直し・キャリアチェンジをした。資格をとって32歳で未経験業界・職種にチャレンジし、前職から給与が2倍になった。現在の収入・仕事に満足している気持ちもあるが、もっと上を目指したいという気持ちもある
この世代の最大の武器は、新しい知識への柔軟性。未経験の分野でも積極的にスキル習得に取り組む人が多く見られます。
また、オンライン学習サービスを活用し、はたらきながら効率的にスキルを身につける工夫も。時間的・体力的に余裕がある世代だからこそ、大胆なキャリアチェンジに挑戦する人が少なくありません。
参照:【Job総研/公式】今後のキャリアに不安はありますか?学び直しは必要? | JobQ[ジョブキュー]
40代以降|経験を活かして学び直す世代
40代以降の世代は、これまでの経験を活かしつつ、新しいスキルを身につける「経験×学び直し」のスタイルが主流。
私は看護職で専門学校卒でしたが、通信で学び50歳で学士を取得、転職の際に大卒の条件を挙げているところも意外に多く、良かったのと、何よりも自分の自信に繋がりました。
このコメントからは、40代以降でも学び直しが確実にキャリアアップにつながることがわかります。
この世代の学び直しは、完全なキャリアチェンジというよりは、現在の仕事に活かせるスキルの補強や資格取得が中心。
管理職としてのマネジメントスキルや業界の最新動向に関する知識など、経験にプラスαする形での学習が効果的とされています。学び直しが自信回復や新たな挑戦への原動力となるケースも。
参照:【Job総研/公式】リスキリングを知ってますか?利用したいと思う? | JobQ[ジョブキュー]
どんなスキルが人気?学び直し・リスキリングの分野
実際に学び直しを検討している人は、転職前にどのようなスキルを身につけたいと考えているのでしょうか。Job総研の調査から、現在最も注目されている学習分野を紹介します。

参照:Job総研 「2023年 転職とリスキリングの意識調査」 | JobQ[ジョブキュー]
英語
Job総研の調査によると、転職前に身につけたいスキルの第1位は「英語」でした。
英語が人気の理由として、まず挙げられるのが汎用性の高さ。営業、マーケティング、エンジニア、事務職などあらゆる職種で活用できるため、転職時の選択肢を大幅に広げることができます。
また外資系企業や海外展開している企業では、「TOEIC○○○点以上」など、一定水準の英語力が採用や昇進の必須条件となっているケースも。基準が数値化されているため具体的な目標設定がしやすく、キャリアアップに直結するスキルとしても英語は人気を集めています。
オンライン英会話やアプリを活用した学習環境も整っており、はたらきながら継続しやすい点も大きな魅力です。
データ分析
転職前に身につけたいスキル第2位は「データ分析」です。
DX推進が叫ばれるなか、データに基づいた意思決定の重要性が認知されるとともに、データ分析人材の需要も年々高まっています。
データ分析が人気の理由は、その実践的価値の高さ。売上向上、コスト削減、業務効率化など、企業の課題解決に直結するスキルのため、学んだ知識をすぐに活かすことができます。
ExcelやGoogleスプレッドシートでの基本的な分析から、Python、R、SQLといった本格的なデータ分析ツールまで、レベルに応じた学習ができるのも魅力。
AI時代においてもデータを読み解き活用する人間の力は欠かせません。将来性の高いスキルとして注目を集めています。
ITリテラシー
第3位の「ITリテラシー」は、デジタル化が進む現代において重要なスキル。業界・職種を問わず需要が高まっています。
ITリテラシーが人気の理由は、まず業務効率化への直接的な効果。WordやExcelの関数やマクロといった機能活用、クラウドツールの使いこなし、業務システムの理解は、日常業務をスムーズに進めるうえで必要不可欠です。
また、テレワークやハイブリッドワークが浸透するなか、ITツールを適切に使いこなせるかどうかは、はたらき方の選択肢や生産性に大きく影響を与える重要な要素。
さらに、Zoom、Teams、Slack、Chatwork、Trelloなど、コミュニケーション・プロジェクト管理ツールの習得は、生産性やはたらき方の幅を大きく左右します。
ITリテラシーが高い人材は、システム導入時の橋渡し役や同僚へのサポート役としても重宝されるため、社内での存在価値も高まることに。
学び直しを続けるために必要なこと
学び直しを始めることそのものは比較的簡単ですが、継続することは意外と困難。多くの社会人が「時間」「費用」「継続力」の3つの壁にぶつかります。とはいえ、これらの課題はちょっとした工夫で克服できるもの。ここでは、成功するための実践的なアプローチを紹介します。
時間はどう確保する?
社会人にとって最大の課題は「忙しい毎日の中で勉強時間を作ること」。仕事、家事、育児に追われるなかで、まとまった学習時間を捻出するのは至難の業です。
無理なく学習習慣を身につけるなら、ぜひ実践したいのが通勤時間をはじめとする「すきま時間の活用」。電車での移動中にオンライン講座を視聴したり、昼休みの15分を英語学習に充てたりと、細切れの時間を積極的に活用しましょう。
現在はスマートフォンで手軽に学習できるアプリやサービスも充実しているため、場所を選ばずに学習を進められます。
また、朝の時間を活用する「朝活」も効果的。集中力が高い朝の時間帯に30分〜1時間程度の学習時間を設けることで、学習が継続しやすくなります。
重要なのは、完璧を求めすぎず、「今日は5分だけでも」という気持ちで取り組むこと。小さな積み重ねが、やがて大きな成果につながります。
費用はどう抑える?
高額スクールや教材費が負担になりがちな学び直しですが、国のリスキリング支援制度をはじめとする公的制度を活用すれば、費用負担は大幅に軽減できます。
先に述べたとおり、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」では、一定の条件を満たしたリスキリングと転職を通じて補助金を受給可能。また、資格取得奨励金制度や研修費用補助制度が整備されている企業では、会社のサポートを受けながら学習を進めることができます。
さらに、無料で利用できる学習リソースの活用もおすすめ。YouTube、Coursera、edX、Khan Academyなどのオンライン学習プラットフォームの活用で、コストを抑えながらも質の高い学習が可能です。
継続するには?
三日坊主で終わらせないためには「小さく始めて習慣化する」ことが大切。いきなり毎日2時間の学習を目標にするのではなく、「毎日10分」「週3回30分」など、現実的で継続しやすい目標設定から始めましょう。
学習仲間を作ることも効果的なモチベーション維持方法のひとつ。同じ目標を持つ仲間とオンライン勉強会を開いたり、SNSで学習記録を共有したりすることで、一人では挫折しがちな学習も楽しく継続できます。
「目に見える成長実感が欲しい」という人は、成果を可視化することも忘れずに。学習時間の記録、小テストの結果、習得したスキルの一覧など、自分の成長を客観的に把握できる仕組みを作りましょう。手帳やスマホアプリを活用して日々の小さな進歩を記録することで、達成感を得ながら学習を続けることができます。
なお、完璧主義を手放すことも重要なポイント。「今日は忙しくて勉強できなかった」という日があっても自分を責めず、翌日から再開する柔軟性を持つことが長期的な継続につながります。
学び直しでキャリアの可能性を広げよう
急速に変化する現代社会において、学び直しは世代を問わず「未来への投資」です。
最大56万円のリスキリング支援制度をはじめ、活用できる制度は数多くありますが、Job総研の調査からも明らかなように大半のビジネスパーソンは十分な情報を得られておらず、十分に活用できていません。
終身雇用が崩れ、個人のスキルが求められる時代。学び直しを通じたスキル向上はキャリアを考えるうえで最大の武器になります。ぜひこのタイミングで一歩踏み出して、キャリアの可能性を大きく広げましょう。









