2025.08.28

Job総研調査から見る職場いじめの実態と事例。いじめが起きやすい職場の特徴と対策は?

職場いじめは、個人の心身を深く傷つける行為です。職場全体の雰囲気の悪化や生産性の低下にもつながるため、早急に解決すべき課題のひとつといえます。この記事では、職場いじめの定義や実態、よくある事例などを解説します。

職場いじめの定義

厚生労働省によると、職場いじめとは、立場の弱い人に対して人格や尊厳を傷つけ、精神的に追い詰める行為のことです。

これは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(パワハラ防止法)」でも定義されており、次の3つの条件をすべて満たすといじめと判断されます。

  1. 職場における地位や人間関係で優位な立場にある人からの言動である
  2. 業務上必要な範囲を明らかに超えている
  3. はたらく人の職場環境を悪化させている

たとえば、「あいさつを無視される」「陰で悪口を言われる」「無理な仕事を押しつけられ、周囲から孤立させられる」などが職場いじめに該当します。

出典:
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
厚生労働省|職場のいじめ・嫌がらせに関する定義の例
厚生労働省|職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告 概要

職場いじめの実態

職場いじめは、個人の心身に深刻なダメージを与えるだけでなく、職場全体の雰囲気や生産性の低下にもつながる社会的な問題です。はたらく人にとって安全で安心できる職場環境をつくるためには、まず現状を正しく理解することが大切です。

ここでは、厚生労働省による公的なデータと、Job総研の調査をもとに、職場いじめの実態を詳しく見ていきます。

職場トラブルでもっとも多いのが「いじめ」

厚生労働省は、はたらく人の悩みやトラブルを解決するために「総合労働相談コーナー」を設けています。

この窓口には、労働者と会社の間で起きるトラブルについて多くの相談が寄せられていますが、なかでももっとも多いのが「いじめ・嫌がらせ」に関するものです。

この傾向は13年連続で続いており、令和6年度には全国で5万4,987件もの相談がありました。このことからも、職場いじめが深刻な問題になっていることがわかります。

出典:厚生労働省|「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します

職場いじめに関する調査結果

次に、Job総研が実施した「2023年 職場イジメの実態調査」から、職場いじめの実態を見てみましょう。

まず、「職場でいじめを目撃したり、相談を受けたりしたことがありますか」という質問に対して、約6割の人が「ある」と回答しました。これは、職場いじめが多くの人にとって身近な問題であることを示しています

では、いじめを目撃・相談された人たちはその後どうしたのでしょうか?

調査では、半数以上が「とくに何もしなかった」と答えています。「自分がターゲットにされるのが怖い」「関わりたくない」「どう対応すればいいかわからない」などの理由があるのかもしれません。

次に、「実際に行なったことのある職場いじめ」を、以下のようなレベル別に質問しました。

  • レベル1:1対1の比較的軽度な言葉によるからかい(いじり)
  • レベル2:数名による比較的軽度なからかい(いじり)
  • レベル3:レベル2の継続、エスカレート(本人が傷つくいじり)
  • レベル4:イジメと認識しながらレベル3を継続、意図的な仲間外れ
  • レベル5:個別・集団問わずモラルのない人格否定を浴びせ続ける

「いじめをしたことがない」という回答がもっとも多かった一方で、意図的な仲間外れや人格否定など、悪質ないじめをした経験がある人も一定数いることがわかりました。

一方、「職場でいじめを受けたことがあるか」という問いに対しては、「ない」と答えた人は3割ほどにとどまりました。つまり、レベルの差はあれど、7割近くの人がなんらかの職場いじめを経験していることになります

さらに、「誰からいじめを受けたか」という質問では、上司や先輩など、自分よりも立場が上の人からいじめを受けたという回答が多く見られました。

これって職場いじめ?よくある5つの事例

Job総研の「2023年 職場イジメの実態調査」において、嫌がらせ・いじめだと思うものを尋ねたところ、以下のような結果が得られました。

実際にはどのような職場いじめが起きているのでしょうか?ここでは職場いじめの事例を5つ紹介します。

  • 暴力・暴言を浴びせられる
  • 無視される・仲間外れにされる
  • 無理な仕事を強いられる
  • 仕事を与えられない
  • プライベートに干渉される

ひとつずつ確認していきましょう。

暴力・暴言を浴びせられる

職場いじめの中でも、暴力や暴言はもっとも深刻な例のひとつです。Job総研の調査でも多くの人が職場いじめと認識している行為です。

厚生労働省の報告書でも、受けたパワハラの内容として「暴行・傷害(身体的な攻撃)」が5.8%、「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」が48.5%となっており、多く発生していることがわかります。

発生状況を男女別に見ると、以下のようになっています。

  • 暴行・傷害(身体的な攻撃):男性7.4%、女性4.0%
  • 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃):男性51.5%、女性45.2%

いずれも男性のほうが多い傾向があるようです。

具体的には以下のような行為が該当します。

  • 蹴られる
  • 胸ぐらをつかまれる
  • ものを投げられる
  • 人前で大声で叱責される
  • 「バカ」「給料泥棒」など、人格を否定するようなことを言われる

このような行為は、場合によっては暴行罪や名誉毀損罪といった刑事事件に該当する可能性があります。

出典:厚生労働省|令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

無視される・仲間外れにされる

Job総研の調査で多くの人がいじめとして認識している、無視や仲間外れも職場いじめの代表的な例です。厚生労働省の報告書でも「隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)」を受けた割合は27.8%となっています。

発生状況を男女別に見ると男性23.8%、女性32.3%となっており、男性より女性の方が多い傾向があることがわかりました。

具体的には以下のような行為が該当します。

  • あいさつをしても返されない
  • 部署の食事会に呼ばれない
  • 業務連絡のチャットから外される

このような行為が続くと、精神的にじわじわと追い詰められてしまうでしょう。

出典:厚生労働省|令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

無理な仕事を強いられる

無理な仕事を強いられるのも職場いじめのひとつです。厚生労働省の報告書によると、令和5年度の調査で2番目に多かったのが「業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)」です。

発生状況を男女別に見ると男性42.5%、女性34.7%となっており、とくに男性に多く見られました。

具体的には以下のような行為が該当します。

  • 明らかに一人では期限内に終えられない量の業務を押しつけられる
  • 経験や能力を無視した無茶なノルマを課される
  • 業務時間外や休日にも仕事を強要される

わざと追い込んだうえで「仕事ができない」と評価を下げるケースもあるようです。

出典:厚生労働省|令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

仕事を与えられない

仕事を与えられないというのも、職場いじめに該当します。厚生労働省の報告書によると、「業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えない(過小な要求)」いじめを受けた割合は24.5%にのぼります。

発生状況を男女別に見ると男性25.4%、女性23.4%となっており、とくに男性に多く見られました。

具体的には以下のような行為が該当します。

  • スキルや意欲があるにもかかわらず、まったく仕事を与えられない
  • 誰にでもできる単調な作業ばかりを命じられる
  • 人との接触がほとんどない倉庫やバックヤードへ異動させられる

「あなたは必要ない」という無言の圧力をかけられることで、精神的に追い込まれてしまいます。

出典:厚生労働省|令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

プライベートに干渉される

プライベートに干渉されるのも、職場いじめに該当します。厚生労働省の報告書によると、「私的なことに過度に立ち入る(個の侵害)」いじめを受けた人は27.5%でした。

発生状況を男女別に見ると男性25.6%、女性29.6%となっており、とくに女性に多いことがわかります。

具体的には以下のような行為が該当します。

  • 恋人の有無や家庭の事情など、業務とはまったく関係のない私生活について執拗に尋ねられる
  • SNSアカウントを無理やり教えさせたり監視したりされる
  • 有給休暇の理由を細かく説明させられる

とくに結婚・出産・病歴・家庭環境といったデリケートな話題に土足で踏み込むケースは悪質です。加害者は「気遣いのつもりだった」と言うことがありますが、不快に感じた時点で明確な職場いじめです。

出典:厚生労働省|令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書

いじめが発生しやすい職場の特徴3選

Job総研の「2023年 職場イジメの実態調査」において、いじめが起きやすいと思う環境を尋ねたところ、「対面だと思う」と回答した人が8割以上にのぼり、「オンラインだと思う」と回答した割合を大きく上回りました。

対面の職場において、どのような環境だと職場いじめが起きやすいのでしょうか?

ここからは職場いじめが起きやすい職場の特徴について、以下の3つを取り上げます。

  • いじめを見て見ぬふりをする雰囲気がある職場
  • 人事評価が不透明な職場
  • コミュニケーションが少ない職場

ひとつずつ掘り下げて見ていきましょう。

いじめを見て見ぬふりをする雰囲気がある職場

いじめの事実を知りながら、上司や管理職が無関心であったり、問題を黙認したりする職場は、職場いじめが蔓延しやすいです。とくに加害者側が高い成果を上げている場合、会社ぐるみで見て見ぬふりをしてしまうケースもあるようです。

こうした環境では、会社の相談窓口も形骸化している可能性があります。被害者が勇気を出して相談してもまともに取り合ってもらえず、かえって孤立感を深めてしまうこともあるでしょう。

問題なのは、会社がいじめを放置することで加害者に「何をしても許される」というメッセージを与えてしまうことです。その結果、いじめはさらにエスカレートし、最終的には企業風土として定着してしまう悪循環が生まれてしまうこともあるでしょう。

人事評価が不透明な職場

人事評価に明確な基準がなく、上司の好き嫌いやえこひいきで評価が決まる職場では、職場いじめが起こりやすくなります

このような環境では、社員同士で足の引っ張り合いや派閥争いが発生し、特定の人をターゲットにして評価を下げたり、悪い噂を流したりする陰湿な嫌がらせが生まれやすいです。

どんなに努力しても公正に評価されない職場では、社員のはたらく意欲が大きく削がれ、結果的に職場いじめにつながりやすくなってしまうのです。

コミュニケーションが少ない職場

社員同士の会話が少なく、人間関係が希薄な職場でも職場いじめが発生しやすくなります。

Job総研の「2023年 職場イジメの実態調査」において、「なぜいじめが起こると思うか」を尋ねたところ、「相手との価値観のズレ」が1位になりました。

コミュニケーションが少ないと、相手の考えや価値観を十分に理解できません。自分と少し価値観が異なるだけで、その違いを間違いと決めつけて攻撃したり、受け入れずに排除しようとしたりする職場いじめが起こる可能性があります。

もう我慢しなくていい!あなたの価値観に合う職場をデータから探そう

いじめが起きるような職場は、そもそもあなたの「働く価値観」と根本的に合っていないのかもしれません。

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職場いじめを受けた場合の対策3選

ここからは、職場いじめから自分自身を守るための具体的な対策について解説します。

  1. いじめの内容を記録する
  2. 社内の相談窓口に相談する
  3. 社外の相談機関を利用する

ひとつずつ行動することで、状況を好転させる道筋が見えてきます。順番に確認していきましょう。

いじめの内容を記録する

職場いじめを解決するためには、証拠を残しておくことが重要です。いつ、どのような出来事があったのかを時系列でまとめておくことで、あなたの話を第三者が客観的な事実として理解しやすくなります。

暴言や理不尽な指示はボイスレコーダーで録音し、メールやチャットでの嫌がらせはスクリーンショットで保存しましょう。

さらに、職場いじめの現場を目撃した同僚の証言も大きな力になります。証拠がないと「言った言わない」の争いになりがちですが、具体的な証拠があれば問題解決の糸口になります。些細なことでも記録しておきましょう。

社内の相談窓口に相談する

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(パワハラ防止法)の改正により、2022年4月から、すべての企業にパワーハラスメントに関する相談窓口の設置が義務付けられました。

職場いじめを受けている場合は、集めた証拠を持って社内の相談窓口に行ってみましょう。この際、感情的にならずに事実を伝えることが大切です。

社内の窓口に相談することで、「会社に正式に問題を報告して対応をお願いした」という記録を残せます。

もし会社がきちんと対応してくれなかった場合、その対応自体が、あとで外部の機関に相談する際に、会社が従業員を守る義務を怠った証拠として使える可能性があります。

出典:厚生労働省|職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!

社外の相談機関を利用する

社内の相談窓口に相談しても状況がよくならない場合や、相談すること自体が困難に感じる場合は、会社の外にある相談機関を利用しましょう。

具体的には以下のような相談機関があります。

相談機関特徴
総合労働相談コーナー労働局が無料で運営する基本の労働相談窓口
労働条件相談ほっとライン夜間や休日も相談可能な労働問題の電話窓口
みんなの人権110番人権侵害に特化した相談窓口
法テラス・労働問題に強い弁護士加害者への法的措置を検討している場合の相談先

ひとりで抱え込まず、状況を客観的に判断し、専門的な支援をしてくれる機関に相談することが大切です。

出典:

厚生労働省|総合労働相談コーナーのご案内
厚生労働省|労働条件相談「ほっとライン」(Working Hotline)
法務省|常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)
法テラス

まとめ

職場いじめは、被害者はもちろん、職場全体にも悪影響を与える深刻な問題であり、暴力や無視、無理な仕事を押しつけるなど、いろいろな形であらわれます。

いじめが起こりやすい職場には共通の特徴があります。これを知ることで、「危険なサイン」に気づきやすくなり、早めに対応や相談ができるようになるでしょう。

出典:Job総研「2023年 職場イジメの実態調査」

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