2025.08.21
共働きの家事分担を収入で決めるのはアリ?Job総研調査から見る「男女平等」の理想と現実
夫婦がいる世帯のうち約7割が共働き世帯となったいま、家庭内での男女の役割分担はどう変わりつつあるのでしょうか。気になる夫婦の格差や男女平等の現実について、Job総研が実施した『2025年 共働き意識調査』をもとに解説します。
家事育児の分担は収入で決める!アリ?ナシ?
共働き夫婦が生活する上で、避けては通れないのが「家事育児の分担」。この分担の割合をお互いの収入差で決めるのはアリなのでしょうか?それともナシなのでしょうか?男女のホンネが調査から明らかになりました。
「アリ派」が60.2%

Job総研の調査によると、回答者の60.2%が「収入差で家事育児の負担を変える」ことについて「アリ」と回答しました。
内訳を見ると、もっとも多かったのは「どちらかといえば賛成」(37.6%)。以下、「賛成」(14.0%)、「とても賛成」(8.6%)と続きます。
大多数は積極的に賛成しているわけではないものの、現実問題として「収入は家事育児の分担割合を決める基準として妥当」と判断していることがわかります。
男女で分かれる賛否

「アリ派」を男女別で見ると、男性が64.9%、女性が51.6%と、男女で10ポイント以上の差が出る結果に。一方「ナシ派」の男女別の割合は、女性が男性の約1.3倍にのぼります。
この結果からうかがえるのは、「夫が大黒柱としてはたらき、妻は家庭を守る」という従来型の家庭モデルがいまだ存在すること。そして、そのモデルに対する(主に)妻側の不満の高まりです。
「アリ派」「ナシ派」それぞれの理由

「収入差で家事育児の負担を変える」ことに「アリ」と回答した266人にその理由を聞いたところ、「稼ぐ方が仕事に集中した方がいい」(47.7%)が最多となり、次いで「効率よく家庭を回せる」(31.2%)、「時間、体力の差での分担が合理的」(29.7%)となりました。

また「ナシ」と回答した176人にその理由を聞くと、最多は「責任は収入関係なく共有」(49.4%)で、「収入差での分担は不満が出る」(44.9%)、「両者が両立意識を持つべき」(43.8%)と続きます。
また、同テーマについてJobQ Townで意見を募ったところ、以下のようなコメントが寄せられました。
- 単純な収入差ではなく、家事に使える時間も考慮して欲しい。フルタイムで平日22時帰宅、6時出社しているサラリーマンと、自営業で実働3時間の人の夫婦の場合に、同じような家事の負担を求められたらやってられません。労働時間と収入は正比例の関係が多いと思いますので、この質問の回答としては収入差で負担割合に差がつくのは合理的と回答しました。
- お互いが納得していれば。
- はたらいていることに変わりはないので、ナシ。収入低いのに、残業ばかりで、会食ばかりで育児協力もほぼ無いなら、別ですが。。。どのみち小さいときはママ優勢。
- 家事はそれぞれ自分のことでもあるのに何故誰かの負担が高いのか?意味不明です。仕事とは完全に別でしょう。それに家事育児の無償労働してたら給料下がるので稼ぎで決めたら不平等。
「より稼げるほうが仕事に集中し、もう一方が家事育児を多く担う」という考えは、一見とても合理的です。
しかしこの意見には、双方の労働時間や業務上の負荷は考慮されていません。ここには、目には見えない大きな格差が存在しています。
共働き夫婦の「見えざる格差」とは
共働き夫婦の「見えない格差」。ここでその実態をひも解いていきましょう。
約8割が「見えにくい格差がある」と回答

Job総研が、回答者全体の442人に「共働きにおいて見えざる格差(負担や期待の違いなど)があるかどうか」を尋ねたところ、実に83.1%の人が「あると思う派」の回答をしました。
内訳を見ると、「あると思う」(33.5%)と「どちらかといえばあると思う」(33.3%)が僅差で並び、「とてもあると思う」(16.3%)が続きます。
共働き家庭において、見えない格差は「存在することは分かっているものの、どうしようもない現実」なのかもしれません。
”見えにくい負担や偏り”最多は「やって当然の空気感」

では、「見えない格差」はどのような原因で起きているのでしょうか。
Job総研が「”見えにくい負担や偏り”が起きそう/起きていると感じる項目」について尋ねたところ、もっとも多かったのは「やって当然の空気感」(43.2%)でした。
次いで多かったのが「一方が無意識に家事を担う」(41.4%)。さらに「一方が諸々の調整を引受ける」(32.6%)が続きます。
「稼いで当然」「家事育児をやって当然」という無意識の思いが暗黙の了解としての役割分担を生み、不本意ながらも強化されていく現状がうかがえる結果となりました。
家事育児は女性の役割?根強い固定観念
近年、共働き世帯の増加にともない、男性に対し家事育児への参加が求められるようになりました。
では実際のところ、男女それぞれの意識はどの程度変化しているのでしょうか。Job総研の調査からは、根深く残る固定観念の実態が明らかになりました。
”家事育児の分担”「男性が多い=違和感」「女性が多い=仕方ない」

Job総研では、回答者全体の442人に対し「共働き生活での家事育児分担割合への印象」を尋ねました。
すると、「男性」が多く担うのは「違和感がある派」(69.4%)が約7割を占めるのと同時に「女性」が多く担うのは「仕方ない派」(56.6%)も過半数を占めることに。
「男性が家事育児を多く担うのは違和感があるが、女性が多く担うのはしかたがない」それが日本の家事育児の分担における現状といえそうです。
家事育児を女性が多く担うことへのホンネ

家事育児の負担の多くを女性が担う現状について、一般的なビジネスパーソンはどのような意見を持っているのでしょうか。
Job総研が「共働き生活で家事や育児は女性が多く担う」という考えへの印象を尋ねたところ、「理想的でないが実際多い」が39.1%で最多となりました。
次いで「社会ではその傾向が強い」(35.5%)、「誰が担うかより納得感が大事」(31.4%)と続きます。「家事育児は女性の役割」という固定観念の根深さが改めて示される結果となりました。
なおこの設問では、「誰が多く担うかよりも、納得感や合意が大切」という声も多く見られました。家庭内の役割分担は、今まさに過渡期を迎えているのかもしれません。
共働きがキャリアへ与える影響
共働きというはたらき方は、夫婦のキャリアにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。Job総研の調査をもとに解説します。
「影響がある派」が67.2%

Job総研では、調査回答者全体の442人に対し、「共働きが前提になったことで、自身のキャリア選択に影響があるか」を尋ねました。
回答を見ると、「ある派」が67.2%と過半数を占める結果に。内訳は「どちらかといえばある」(33.3%)がもっとも多く、「ある」(21.0%)、「とてもある」(12.9%)と続きます。
なお「ある派」を男女別で見ると、男性が64.9%、女性が75.4%と、男女で10ポイント以上もの差がつきました。共働きが女性のキャリアにもたらす影響の大きさが現れる結果となっています。
”具体的な影響”最多は「はたらく場所や時間の制約」

「ある派」297人に具体的な影響を聞くと、もっとも多かったのが「場所や時間に制約を感じる」(46.5%)でした。次いで「転職、異動、昇進に慎重になる」(39.7%)、「相手のはたらき方を意識する」(35.0%)と続きます。
これらの回答からは、夫婦のどちらか(多くは妻)は、パートナーのキャリアを優先したキャリア設計をせざるを得ない現状が浮かび上がります。
家事や育児の負担割合が多い方が時短やキャリアダウンを選ばざるを得ないなどが代表例です。また、専業主婦が当たり前だった時代とは異なり、転勤の帯同・単身赴任が難しいという家庭も多いでしょう。
必然的に、転勤を伴う異動を断る、転勤のある企業への就職に対して慎重になる、リモートワーク可能なはたらき方を模索するなどのキャリアやはたらき方への影響が見られます。
キャリアの制約に悩んだら。あなたの市場価値をチェックしませんか?
共働きがキャリアに大きな影響を与え、特に「転職、異動、昇進に慎重になる」といった制約が生まれていることがわかりました。「納得」と「公平」なキャリアを築くためには、まずは自分の「市場価値」を正しく把握してみるのはいかがでしょうか。
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そもそも「共働き=男女平等」ですか?

共働きであれば、夫婦の立場は本来平等のはず。しかし調査結果を見る限り、実態は大きく異なります。
Job総研が、回答者全体の442人に「共働き=男女平等が進んでいるのか」を尋ねたところ、半数近い47.3%が「進んでいないと思う」と回答しました。
内訳は、「そう思わない」(16.3%)、「全くそう思わない」(16.1%)、「どちらかといえばそう思わない」(14.9%)と、それぞれ僅差となっています。
これらの回答からは、女性の社会進出が進み、共働きで家計に貢献していても思うような評価はされず、それどころかパートナーのキャリアを優先したキャリア設計しかかなわない──そんな現代女性の現実が見えてきます。
共働きに必要なのは「平等」よりも「公平」と「対等」
Job総研の調査からは、収入差を基準にした家事育児の分担を「やむを得ない」とする声をはじめ、夫婦間の見えない格差が浮き彫りになりました。
キャリア選択においてジェンダーギャップが根深く残る今、一律の「平等」を実現するのは簡単なことではありません。
大切なのは、夫婦の歩み寄りの結果として得られる「納得」と「公平」。お互いの抱えるプレッシャーや理不尽さから目をそらさず、2人だけの唯一無二の関係を築いていきましょう。
【調査概要】
調査名 :2025年 共働き意識調査
調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件 :全国/男女/20~50代
調査期間 :2025年8月1日~8月7日
有効回答数:442人
調査方法 :インターネット調査








