2025.08.29

給料が上がらない…ならどうする?先が見えない時代にできること

「頑張っているのに給料が上がらない」「同僚と比べて昇給のペースが遅い」そんな悩みを抱えていませんか?給料の多い少ないは、生活水準に直結する深刻な問題です。この記事では、給料が上がらない現状について、Job総研の最新調査と各種公的データとを照らし合わせながら分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

給料が上がらないって本当?実態を解説

「給料が上がらない」という実感は、客観的に見て正しいのでしょうか。まずは実際のデータをもとに日本の給与事情を確認してみましょう。

日本人の平均年収は本当に上がっていない?

〔令和5年 年齢階層別の平均給与〕単位:万円

年齢平均給与
(男女計)
平均給与
(男性)
平均給与
(女性)
19以下11213393
20〜24歳267279253
25〜29歳394429353
30〜34歳431492345
35〜39歳466556336
40〜44歳501612343
45〜49歳521653343
50〜54歳540689343
55〜59歳545712330
60〜64歳445573278
65〜69歳354456222
70以上293368197
全体平均460569316
「令和5年分 民間給与実態統計調査」から「年齢階層別の平均給与」をもとに作成

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、令和5年の日本人の平均年収は460万円でした。前年の458万円と比較すると約2万円の増加となっており、数値上の給料は確実に上がっています

年代別に見ても、年齢とともに上昇する傾向に変わりはありません。

しかし、実際にはたらく人の実感は大きく異なります。

Job総研が実施した「2024年 日本経済に関する意識調査〜賃金・物価編〜」によると、全体の56.8%が「賃上げ実感なし」と回答。特に女性では67.0%が「実感がない」と答えています。

統計上は給料が上がっているにもかかわらず、多くの人はその恩恵を実感できていない。この背景にはいったい何があるのでしょうか。

名目賃金は上がっても実質賃金が下がるのはなぜ?

給料が上がっているのに生活が楽にならない理由は、「名目賃金」と「実質賃金」の違いにあります。

  • 名目賃金:実際に受け取る給料の金額
  • 実質賃金:名目賃金から物価変動の影響を除いた賃金。実際の購買力を示す指標

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 年度平均結果の推移 (令和6年度分結果確報)」によると、2024年の名目賃金は349,388円で、前年比3.0%増と4年連続で上昇しました。

一方で、消費者物価指数も3.5%上昇したため、実質賃金は前年比で0.5%減少しています。つまり、給料の数字は上がってもそれ以上に物価の上昇が進み、同じ商品を買うのにより多くのお金が必要になっている(=実質賃金が減っている)のです。

実質賃金がマイナスになるのは3年連続のこと。さらに、社会保険料などの負担増加により手取り額の伸びが抑制されていることも、実質賃金の改善につながらない要因となっています。

給料が上がらないのはなぜ?

数字上の給料が思うように上がらない場合、その原因は一つではありません。ここでは、「個人のはたらき方や能力」「勤務する会社の状況」「日本社会全体の構造」の3つの視点から、詳しい原因をひも解きます。

個人に原因がある場合

給料が上がらない原因が個人にある場合、その具体的な理由としては、主に以下の3つが挙げられます。

  • アピール不足
  • 必要なスキルが不足している
  • 会社の評価基準を理解していない

自分の貢献を給料へ反映するには、定期的な報告や成果の数値化、適切なタイミングでの相談など、積極的なアピールが必要。実績や成果があったとしても、それが上司や組織に伝わっていなければ評価にはつながりません。

また、そもそも必要なスキルが身についていない場合、会社への貢献度が低いため高い評価を得るのは困難です。

なお、十分な能力があるにもかかわらず給料が上がりにくい場合、会社の評価基準を理解していない可能性が大。成果だけでなく、リーダーシップや勤務態度、チームワークなど、多角的な評価項目があることを把握し、それに応じた行動を取ることが重要です。

【個人の原因】チェックリスト

以下に当てはまる項目が多いほど、個人側の改善で給料アップの可能性が高くなります。

☑️ 上司に成果や実績を定期的に報告していない、または報告の仕方がわからない
☑️ 同僚と比べて担当できる業務の種類や範囲が明らかに狭い
☑️ 会社の人事評価制度や昇進・昇格の基準を詳しく把握していない
☑️ 業務に関連する資格取得やスキルアップの計画を立てていない
☑️ 社内で新しい提案や改善案を積極的に出していない

会社に原因がある場合

給料が上がらない原因が会社側にある場合、考えられる背景は以下の三つです。

  • 会社の業績が悪化している
  • 業界全体の給与水準が低い
  • 利益が社員に還元されない仕組みになっている

会社の業績が悪化すると、売上や利益の減少により人件費の削減が避けられない状況に。個人やチームで優秀な成果を上げても、昇給が見送られることがあります。

業界全体の給与水準が低い場合も大幅な給料アップは望めません。給与水準は業界によって大きく変わるため、業種を超えての転職も選択肢になります。

企業によっては、利益が社員に還元されない仕組みになっているケースも。内部留保や設備投資、事業拡大への資金投入が優先される企業では、業績が向上しても給与に反映されるまでに時間がかかりがちです。

【会社の原因】チェックリスト

以下に当てはまる項目が多いほど、個人の努力だけでの給料アップは難しいといえます。

☑️ 会社の売上や利益が前年比で減少傾向にある、または業績が不透明
☑️ 同業他社や業界平均と比べて明らかに給与水準が低い
☑️ 会社が好業績を上げても数年間昇給が実施されていない
☑️ 離職率が高く、優秀な人材が他社に転職するケースが目立つ
☑️ 人件費削減や固定費圧縮が頻繁に行われている

その他|社会構造に潜む原因もチェック

給料が上がらない背景には、次に挙げるような日本特有の構造的な問題も存在します。

  • 終身雇用制度の弊害
  • 労働市場の流動性の低さ
  • 給与交渉文化の欠如
  • 物価高の影響
  • グローバル競争の激化

終身雇用制度のもとでは、解雇が困難なぶん企業は賃上げに慎重になります。従業員側も転職リスクを避けるため、賃金交渉力が弱くなってしまいがち。労働市場の流動性も低く、賃上げ圧力がはたらきにくい構造もあります。

また、近年の物価高の影響により、賃上げに対する企業の慎重姿勢はより強固なものに。原材料費や光熱費の上昇で企業の利益率が圧迫される現状では、人件費の見直しが後回しになるのも無理はありません。

さらにグローバル競争の激化も無視できないポイントの一つ。海外の低コスト国との価格競争によって、人件費に対する圧縮圧力が強まっています。

給料が上がらないままでいるとどうなる?4つのリスク

給料が上がらないままでいた場合、考えられるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。特に深刻な4つのリスクについて解説します。

生活水準の維持が難しくなる

物価上昇が続くなかで給料が据え置かれると、生活水準の低下は避けられません。同じ給料で購入できる商品やサービスが減少するため、これまでと同じ生活を維持することは困難に。

予期しない出費への対応も大きな課題です。冠婚葬祭や病気、事故など、突発的な支出に対する備えが不十分になり、生活の安定性が損なわれるリスクが高まります。

貯蓄への影響も深刻で、長期的な資産形成ができません。これは次に述べるライフイベントや老後資金の問題へと直結していきます。

結婚・出産・住宅購入が難しくなる

経済的な不安は人生の重要な決断に大きな影響を与えます。

Job総研の「2024年 日本経済に関する意識調査〜賃金・物価編〜」によると、景気不安による結婚への影響について「影響する」と回答した人が93.7%、出産意欲への影響については実に94.4%に上ります。

給料が上がらない状況は、これらのライフイベントを先送りする要因に。

出産・子育てに関しては、より深刻な問題があります。

Job総研の調査によると、「子育てに必要な最低限の年収」について尋ねたところ、平均値が855万2,000円、ゆとりを持って子育てができる年収の平均値が1,037万6,000円との結果が出ました。

民間給与実態統計調査による平均年収460万円との差は深刻で、子育てへの経済的ハードルが高くなっていることが分かります。

住宅購入についても同様で、頭金の準備、住宅ローンの審査、月々の返済能力などは、すべて現在の収入と将来の収入見込みに左右されるもの。給料の上昇が見込めない状況では、住宅購入の計画を立てにくいのが実情です。

老後の資金が不足する

老後資金の問題は、現役時代の収入と直結しています。Job総研の「2024年上半期 賃金・物価高 動向レポート」によると、老後資金への不安を抱える人は88.2%に上り、前回調査から5.9%増加しました。

現在の年金制度は、現役時代の平均収入によって将来の年金受給額が決まる仕組み。給料が上がらない状況が続けば、将来受け取る年金額も低く抑えられることになります。

また、企業年金や退職金制度も勤続年数や給与水準に連動するため、現役時代の昇給状況が老後の生活水準を大きく左右することに。

さらに、給料が上がらないことで貯蓄余力が減少すれば、個人年金保険や投資による資産形成も不十分になります。いわゆる「老後2,000万円問題」の解決がより困難になる可能性も。

現在の生活費でも厳しい状況が続く中、将来の物価水準で老後生活を維持するために必要な資金はさらに増加することが予想されます。

精神的ストレスが増大する

経済的な不安は精神面にも深刻な影響を与えます。

Job総研の調査では、現在の景気に不安を感じる人が91.2%に達し、その不安の第1位は「物価が上昇しても賃金が追いつかないこと」(73.8%)でした。

給料が上がらない状況は、将来への漠然とした不安を生む原因にも。「この先も生活は良くならないのではないか」「老後は大丈夫だろうか」といった心配が常に心の片隅にあることで、日常生活における幸福感や満足度が低下してしまいます。

同僚との給与格差への不満、昇進への焦り、転職への迷いなどが原因で職場でのストレスも増加。これらのストレスは仕事のパフォーマンスにも影響し、さらなる悪循環を生む可能性も。

精神的に安心感が得られないことによるQOLの低下は、無視できない深刻な問題です。

給料を上げるにはどうする?

給料が上がらない状況を改善するためには、現実的で実践可能な対策が必要です。ここでは、「今の職場での昇進・昇格」「より条件の良い企業への転職」「副業による収入増加」という3つのアプローチを具体的に紹介します。

昇進・昇格を目指す

現在の職場で確実に給料を上げるなら、狙うのは昇進・昇格を通じた基本給の向上。転職に比べてリスクが低く、これまで培った人間関係や業務知識を活かせるメリットがあります。

昇進・昇格を目指すために大切なのが、自社の人事評価制度を正確に把握することです。多くの企業では評価基準が明文化されているため、具体的な要件を再確認しましょう。

必要なスキルの習得も欠かせないポイント。上位職に求められる能力を分析し、資格取得や研修参加、OJTでの経験積み重ねを計画的に進めます。

給与交渉を成功させるには、タイミングと根拠の準備も重要です。人事評価のタイミングや上司との定期面談の機会を活用し、具体的な成果や貢献度を数値化して提示します。感情的な要求ではなく、客観的なデータに基づいた論理的な交渉を心がけましょう。

「適正年収」と「収入アップの可能性」を可視化する

状況を打破し、将来への不安を解消するためには、まずあなたが市場でどのくらいの価値があるのかを客観的なデータで把握することが不可欠です。

そんな時におすすめなのが、dodaの年収査定診断です。

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現状を把握することで、給料アップへの具体的な一歩を踏み出しやすくなるでしょう。

より待遇のよい企業へ転職する

現在の職場での昇給が見込めない場合、転職も有効な選択肢。給与水準の高い企業や業界への転職を狙うことで大幅な年収アップを実現することも可能です。

なお。厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和7年6月分結果確報」から、きまって支給する給与(ボーナス等を含まない)を産業別に見ると、もっとも支給額が多いのは「電気・ガス業」の501,588円でした。次いで「金融業・保険業」の448,265円、「情報通信業」の438,893円と続きます。

反対に、もっとも支給額が少ない順で見ると、「その他のサービス業」の309,075円、「飲食サービス業等」の313,850円、「生活関連サービス等」の324,200円の順でした。

平均支給額が多い産業の中でも企業によって水準が異なるため、売上高の推移、利益率、従業員数の変化なども考慮しつつ検討するのがおすすめ。

残業時間や福利厚生、休日休暇など、労働環境やはたらきやすさに注目することも忘れずに。

副業に挑戦する

働き方改革で国が副業解禁を推進するなか、副業を認める企業も増えています。本業の給料が上がらない今、副業を通じた収入アップを図るのも一つの方法です。

副業のメリットは、最小限のリスクで二本柱の収入を目指せること。特に現職の将来に不安を抱いている人の場合、副業を通じて本業とは別の安定した収入源ができることは大きなメリットです。

副業選びのポイントは、本業との両立可能性を最優先に考えること。時間的な制約や体力的な負担を考慮し、継続可能な範囲で取り組めるものを選びましょう。現在のスキルや経験を活かせる分野であれば、短期間で収益化しやすくなります。

実際に始めるにあたっては、就業規則の確認が必須です。まずは副業禁止規定がないか、申請手続きが必要かどうかを確認。税務処理についても、年間20万円を超える副業所得(収入ではないことに注意)がある場合は確定申告が必要になります。

複数の収入源を確保することで、リスクの分散と安定した副収入の実現が目指せます。

給料が上がらない今、できることから始めよう

この記事のポイントをおさらい

  • 統計上は給料が上がっているが、56.8%の人が「賃上げ実感なし」
  • 物価上昇により実質賃金は3年連続でマイナス、生活は実質的に厳しくなっている
  • 給料が上がらない原因は「個人」「会社」「社会構造」の3つ
  • 改善方法には「昇進・昇格」「転職」「副業」の3つのアプローチがある

「給料が上がらない」現状を変えるには、給料が上がらない原因の特定から始めるのが基本です。

転職や副業といった大きな変化を恐れすぎる必要はありませんが、かといって無謀なリスクを取る必要もありません。一人で悩まず、信頼できる人に相談したり、専門家の意見を聞いたりすることも大切です。

重要なのは、現状を正しく把握した上で、自分に合った現実的な対策を継続的に実行すること。「給料が上がらない」と感じやすい今だからこそ、できることから着実に始めていきましょう。

参照:『2024年 日本経済の意識調査〜賃金・物価編〜』を実施しました ーJob総研
参照:共働きの世帯年収は850万円!Job総研調査から考える安心できる金額は?ーJob総研
参照:Job総研「2024年上半期 賃金・物価高 動向レポート」ーJob総研
参照:民間給与実態統計調査|国税庁
参照:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)|厚生労働省

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