2025.08.15
社内政治は出世に必要?出世や評価への影響と上手な付き合い方を解説
「なぜかあの人ばかり昇進していく」「自分の成果が正当に評価されていない気がする」そんな違和感の背景には、社内政治の存在があるのかもしれません。この記事では、社内政治の本質を理解し、出世や評価への影響、そして上手な付き合い方について詳しく解説します。
社内政治とは何か
「社内政治」と聞くと、「○○部長の派閥に入るべきか」「誰につくのが得策か」といった、派閥争いや駆け引きを想像する人も多いかもしれません。
しかし実際には、日常のちょっとした人間関係や立ち回りも社内政治の一部です。社内政治について考える前に、まずその定義や発生する理由を整理してみましょう。
調査で見えた社内政治の定義

社内政治とは「組織内で影響力や権力を獲得・維持するための行動」のことを指します。「派閥争い」「ごますり」など、ネガティブなイメージを持たれがちですが人も多いですが、実際の職場ではもっと広く、前向きな意味で捉えられることもあります。
Job総研の調査によると、社内政治力として最も多く挙げられたのは「根回しが上手い」で57.4%、次いで「周囲と良好な関係を築く」が54.9%でした。
このことからも、社内政治は必ずしも陰湿な駆け引きや権力争いだけを指すものではないことが分かります。
「根回し」という言葉に抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、事前に関係者と方向性をすり合わせておく重要なコミュニケーションです。特にチームワークを重視する日本の組織文化では、こうした調整の積み重ねが信頼関係を築き、スムーズな業務遂行につながっています。
なぜ社内政治が生まれるのか
会社で社員一人ひとりが自分の考えや立場を持っている以上、仕事を進める中で意見がぶつかったり、利害が対立したりするのは当然のことです。その調整をめぐるやり取りや駆け引きが、社内政治の正体です。
社内政治が生まれる背景には、以下のような要因があります。
- 予算や人員、昇進ポストをめぐる競争:限られたポストや資源を争う中で、「誰がチームリーダーになるか」などの駆け引きが起こりやすい
- 部署ごとの目標や利害の違い:「売上重視」や「品質優先」など、立場によって重視するものが異なる
- 経営層との距離感や不安要素:「リストラがあるかもしれない」「経営方針が見えにくい」など、先行きの不透明さから保身的な行動が生まれやすい
- 価値観や仕事観の違い:「効率重視派」と「丁寧さ重視派」など、価値観や仕事の進め方の食い違い
これらの要因は、どんな会社にも少なからず存在するものです。社内政治は、組織で人がはたらく以上、避けて通れない自然な現象といえるでしょう。
社内政治は組織にとって必要?

Job総研の調査によると、社内政治への賛否については「反対派」が58.3%で半数を超えました。一方で、社内政治の必要性については「必要だと思う派」が55.2%で過半数を占めるという興味深い結果が出ています。
この一見矛盾する結果は、多くの人が社内政治の必要性は理解しているものの、現実の社内政治に対してはネガティブな感情を抱いていることを示しています。
適切な社内政治が組織にとってもたらすメリットは以下の通りです。
- 多様な意見や立場を調整し、より良い意思決定につなげる
- 部門間の連携を促進し、組織全体の効率を向上させる
- 変化に対する抵抗を和らげ、スムーズな改革を可能にする
ただし、個人的な利益だけを優先したり、他者に不利益を与えたりする行動は、問題視されやすいでしょう。建設的な社内政治と破壊的な政治活動を見極める目を養うことが大切です。
出世と社内政治の関係
出世と社内政治は、密接に関係しています。実際のデータを見ながら、その関係性を探ってみましょう。
社内政治と出世の関係は大きい

Job総研の調査結果を見ると、社内政治がはたらきやすさに「関係すると思う派」が96.6%で大多数を占めています。この圧倒的な割合からも、多くの人が職場で社内政治の影響を実感していることがわかります。
実際の職場で社内政治の影響を感じやすい場面は、以下の通りです。
- 人事評価や昇進の決定プロセス
- プロジェクトのリーダー選出
- 新しい施策や提案の採用
- 部署異動や配置転換
これらの場面では、純粋な能力だけでなく、人間関係や組織内での立ち位置が結果に影響することがあります。だからこそ、多くの人が社内政治と出世の関係を意識せざるを得ない状況にあると考えられます。
出世に必要なのは「成果を出す力」or「社内政治力」?

Job総研の調査では、出世に必要なのは「成果を出す力派」が53.4%で半数を占めました。この結果は、多くの人が成果主義であることを示しています。
しかし現実には、成果だけでは説明できない昇進や人事があることも事実です。優秀な成果を上げているのに昇進できない人がいる一方で、目立った成果がなくても昇進する人がいるという経験を持つ人も多いでしょう。
この背景には、以下のような要因があると考えられます。
- 成果の測定や評価基準の曖昧さ
- 上司との相性や信頼関係の影響
- 組織全体への貢献度の判断基準の違い
- 将来的なポテンシャルへの期待
理想的には成果が適切に評価されるべきですが、現実の組織運営ではさまざまな要素が複合的に影響することを理解しておく必要があります。
20代・30代の世代別に見る社内政治観
社内政治に対する認識は、年齢や経験によって大きく変わります。
20代は、まだ仕事に慣れることや成果を出すことに必死で、社内の構造や人間関係にまで意識が向きにくい傾向にあります。20代の特徴は以下の通りです。
- 自分の業務に集中しがちで、組織全体への動向には関心が薄い
- 直属の上司との関係が最も重要と感じる
- 社内政治への理解や関心はまだ低い
一方、30代になると、仕事の幅が広がると同時に、組織内での立ち位置や評価を意識するようになります。その結果、以下のような変化が見られます。
- 部門間の関係性や利害の違いが見えてくる
- 昇進やキャリアパスについて、具体的に考え始める
- 組織の意思決定プロセスを理解し始める
こうした変化により、30代は社内政治の存在を強く認識する人が多くなります。どんな組織にも、程度の差はあれ社内政治的な要素はあるという前提を理解し、上手に付き合う方法を模索する時期といえるでしょう。
50代が最も重視するのは「成果を出す力」

興味深いことに、Job総研の調査によると、50代では60.9%、部長クラス以上では76.9%が「成果を出す力」派でした。年代や役職が上がるほど、成果重視の傾向が強くなっています。
50代・管理職層の視点では、組織の責任を負う立場として結果を重視せざるを得ません。また長年の経験から、最終的に評価されるのは成果であることを実感しているのでしょう。
一方で、40代や主任クラスは社内政治力を重視する傾向にあります。これは、まだ大きな成果を出しにくい立場にあることや、昇進への不安から人間関係の重要性を感じていることが影響していると思われます。
この世代間の認識の違いを理解することで、より効果的なキャリア戦略を立てることができるでしょう。
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社内政治力を身につける方法
社内政治力と聞くと身構えてしまう人もいるかもしれません。しかしここまで述べてきたように、社内政治とは本質的には組織内でのコミュニケーション力や調整力に近いものです。
ここでは、社内でスムーズに立ち回るために必要な社内政治力を、具体的にどのように身につければよいのかを紹介します。
根回し上手になるための3つのポイント
「根回し」というと、裏でコソコソ動くようなネガティブな印象を受けることもありますが、本来は周囲との丁寧な調整という意味合いが強い行動です。提案や方針を進める前に。事前に関係者へ説明・相談しておくことで、スムーズな合意形成や反対意見の抑制につながります。
関係者に事前に説明しておく
何か新しい提案や方針を進める際には、いきなり会議で発表するのではなく、あらかじめ関係者に話を通しておくことが重要です。
たとえば、業務効率化を目的とした新しいシステムを導入したいと考えた場合、以下のような対応が効果的です。
- 「こんなツールがあるのですが、どう思いますか?」と軽く相談してみる
- 「導入コストはこのくらいで、年間でこれだけの削減効果が見込めます」と事前に共有しておく
こうした社内調整を重ねることで、会議での反発を防ぎ、スムーズな合意形成に進みやすくなります。
上司と良好な関係を築いておく
組織ではたらく以上、上司との関係は成果やはたらきやすさに大きく影響します。大切なのは媚びることではなく、「信頼される部下」として接する姿勢です。
上司が何を重視しているのか、どんな情報を求めているのかを理解し、適切なタイミングで報告・相談を行うよう意識しましょう。
具体的には、以下のような行動が効果的です。
- 上司が欲しがる情報を先回りして伝える
- 「来週の会議で発表予定ですが、確認いただけますか?」と事前に共有する
- 決定事項を自分なりに要約し、上司の判断を補助する発言を心がける
こうした日々の積み重ねが、上司からの信頼獲得につながります。
社外にも人脈をつくる
社内政治というと、社内での関係構築に偏りがちですが、視野を広げる意味でも社外での人脈は有効です。
業界のセミナーに参加したり、他社の同じ職種の人と情報交換したりすることで、「他社ではこんな取り組みをしているようです」「業界のトレンドとしては〜」といった説得力のある情報を提供できるようになります。
このような外部とのつながりがあることで、社内での発言にも深みが出て、評価を得られる可能性が高まります。
「周囲と良好な関係を築く」具体的なアクション
良好な人間関係は、社内で協力を得やすくなるだけでなく、信頼や発言のしやすさにもつながる重要な基盤です。
たとえば、朝エレベーターで一緒になった人に「昨日の資料、拝見しました。とても参考になりました」と一言添えるだけでも、相手への敬意や関心が伝わり、関係構築の第一歩となります。
また、相手の立場に配慮した伝え方を心がけることも重要です。「月末までに新しい報告書を提出してください」と依頼する場合でも、「締切は翌月5日でいかがでしょうか?」と、相手の事情を考慮した提案をすると、印象が大きく変わります。
さらに、約束を守るという基本的な姿勢も信頼に直結します。「来週までに資料をお送りします」と言ったら、必ず期限内に送る。もし遅れそうになときは、事前に連絡を入れる。こうした小さな積み重ねが、「あの人は信頼できる」という評価につながります。
こうした日々の行動こそが、良好な関係を築き、社内での信頼や協力を得る土台になります。
社内政治力の基盤を築く
これまで見てきたとおり、社内政治力は成果を出すために必要な要素です。では、どうすればその基盤を築けるのでしょうか。
まずは、信頼関係の構築から始めましょう。困っている同僚がいたら手を差し伸べる。チーム全体の利益を考えた発言をする。こうした毎日の小さな行動の積み重ねが、やがて大きな信頼となって返ってきます。
加えて、社内の動きを把握するための情報収集も欠かせません。ここでいう情報とは、単なる噂話ではなく、「なぜこの方針が取られたのか」「今後どんな変化がありそうか」といった背景を理解することです。そうした視点をもとに発言や提案をすれば、説得力や納得感が高まり、評価にもつながります。
また、コミュニケーション力も重要です。相手の関心に合わせて伝える内容や順番を調整するだけでも、提案の受け止められ方は大きく変わります。
社内政治に巻き込まれず中立を保つ方法
社内政治は良い面もあるものの、「派閥争い」や「出世競争」に発展することもあります。そうした勢力争いを面倒に感じ、できるだけ巻き込まれたくないと考える人も多いでしょう。
ここでは、社内政治に巻き込まれず、中立的な立場を保つための考え方や行動のコツを解説します。
社内政治との適切な距離の取り方
派閥争いや力関係に巻き込まれる場面は、どんな職場でも避けて通れないものです。とはいえ、どちらかに肩入れすることなく、中立的な立場を保つことはできます。
重要なのは、社内政治を「組織内の調整活動」として捉え直すこと。たとえば、営業部と開発部の意見が対立しているように見えても、実際は「売上拡大」と「品質維持」という異なる視点がぶつかっているだけで、どちらも組織にとって重要です。
こうした場面では、どちらにも偏らず、「自分の立場を明確にしつつ、客観的に発言すること」がポイントになります。「この件については、データを見ると○○の方が効果的かと思います」など、事実や数字に基づく表現を使えば、特定の派閥に属していなくても説得力を持てます。
感情に流されず、冷静かつ公正な立場を貫くことで、社内で「信頼できる人」という評価を得ることができるでしょう。
派閥に属さず中立を保つための具体的なコツ
派閥に属さずにはたらくには、最初から「距離感を大切にする」という姿勢を明確にすることが大切です。
たとえば、特定のグループからランチや会話に誘われた際、たまに参加して、たまに断るといった関係性が理想です。参加するときは聞き役に回り、特定の人や部署の批判には加わらないと、自然に「この人は中立的だな」という印象を与えられます。
また、特定の人から「一緒に○○をやりませんか?」と打診された場合でも、「まだ状況を把握しきれていないので、もう少し様子を見させてください」と、自分の立場をやんわりと明示するのが効果的です。
重要なのは、誰に対しても同じような距離感で接することです。A派・B派に関係なく、丁寧な対応を心がけることで、「どこにも属さないけれど信頼できる人」として評価を得やすくなります。
社内政治を避けながらも評価される仕事の進め方
社内政治を避けたいからといって、目の前の仕事だけに没頭するのはリスクが伴います。評価されるには、周囲との連携を意識した進め方が必要です。
たとえば、プロジェクトの進捗や意見を関係者と早めに共有することで、「オープンで信頼できる人」という印象を与えることができます。
また、チームワークを重視することも重要です。自分の成果を主張するときも、「チームで成し遂げた成果」として説明したり、他のメンバーを立てる姿勢を見せたりすると、協調性のある人として周囲から信頼されます。
そして何より大切なのは、建設的な提案を続けることです。問題をただ指摘するだけでなく、「現状はこうですが、こういった改善策はいかがでしょうか?」と代案を添えて発言することで、「前向きで頼りになる人」として周囲から認識されるはずです。
これからの時代に必要なバランス力を身につけよう
現代の職場環境は急速に変化しており、従来の社内政治の在り方も変わりつつあります。今後は、「関わりすぎず、避けすぎず」といった、ちょうどよい距離感の関係を築ける人が、組織の中で信頼される存在となっていくでしょう。
社内政治は決して悪ではありません。むしろ、組織ではたらく上で欠かせない、「人間関係の調整力」といえます。重要なのは、適切な距離感を保つことです。成果を出すと同時に良好な人間関係を築いていくことが、あなたのキャリアをよりよい方向へ導いてくれるはずです。









