2025.07.29

令和時代の”職場会議のあり方”を考える

 本記事では、日本経済新聞社×Job総研が実施したの「2025年 職場会議の実態調査」をもとに、現在のビジネス現場で進む「出社とリモートの最適解」を模索します。コロナ禍を経て急速にハイブリッドワークが普及していく中、会議の形式も対面からオンライン、ハイブリッドに進化しています。果たして、この変化は現場の生産性や満足度にどう影響を与えているのか、実際のビジネスパーソンの声をお届けします。

会議のあり方を問い直す時代に

 Job総研が日本経済新聞社と共同で実施した「2025年 職場会議の実態調査」(有効回答数476人)は、まさに「現場のリアル」を浮き彫りにしています。会議に対する不満や形式、手段の選択、さらには会議室の使い方まで、多面的な視点から職場の会議文化の現状と課題を明らかにしました。

 本稿ではこの調査結果をもとに、現代の日本企業が直面する会議の問題点と、これからの時代に求められる会議のあり方について深掘りしていきます。

“無駄な会議”もある──その正体は「決まらない会議」

「無駄な会議はありますか?」という問いに対し、最も多く挙がったのは

・決定事項がない/結論が出ない会議
という回答でした。他にも

・朝礼や夕礼など、進行が形式的で中身がない
・目的が不明確な“会議のための会議”
といった声が続きます。

 ここで見えてくるのは、会議の“存在理由”が曖昧なまま日常的に行われている実態です。 「とりあえず集まる」「前例があるから毎週やる」といった慣習に従った結果、誰にとっても価値の感じられない時間になってしまう——これは単なる運営のミスではなく、組織全体の“時間の使い方”に対する意識の低さを示す兆候とも言えるでしょう。

 しかし一方で、会議という場は参加者の能動性によって“意味ある時間”に変えることもできます。

  たとえば、発言の準備をして臨む、進行に対して自ら提案する、議論が停滞しているときに切り口を変える——そうした個々のアクションが、会議の価値を引き上げる可能性を秘めています。

つまり、“無駄な会議”の根本には、「会議の設計」と「参加者の姿勢」という2つの問題があります。主催者が目的やゴールを明示し、参加者が自ら関わる姿勢を持つ。この両者が噛み合ってはじめて、会議は“機能する場”となるのです。

若年層ほど「対面会議」を望む理由

 意外な結果かもしれませんが、 対面での会議を最も強く望んでいるのは若年層 でした。調査によると、「対面会議が望ましい」と答えた割合は20代が76.0%、30代が62.5%、40代が51.6%、50代が41.9%と、年代が下がるほど対面志向が強いという傾向が顕著で、「リアルな空気感の中で話すこと」の価値を強く認識している証とも言えます。社会人経験が浅いほど、自分の発言がどう受け止められているかを探る術が乏しく、オンライン上では相手のリアクションが読み取りにくいため、発言に不安が残るのです。

 また、調査ではオンライン会議に対する具体的な不満も数多く挙がりました。「オンライン参加者と対面参加者に温度差がある」「空気が読みにくく発言しづらい」「カメラオフの人の反応が分からない」「話し合いが表面的になりやすい」「集中力が続かない」など、テクノロジーの利便性だけでは補いきれない“感覚的な不自由さ”が、若い世代を中心に可視化されつつあります。

 ここには、組織側が気づきにくいギャップも存在します。上司世代が「オンラインでも業務は回せる」「生産性はむしろ高い」と評価している一方で、若手や現場の側は、「心理的安全性が得られない」「関係構築ができない」と感じています。つまり、“成果”としての生産性と、“つながり”としての生産性のズレが浮かび上がっているのです。

 リモートワークが広がり、通勤や移動といった“出社コスト”が再認識される中で、あえて対面会議を選ぶ理由。それは、 「ただ情報を共有する」以上の価値——人間関係の構築、空気の共有、リアルな雑談や学びの機会——を求めているからに他なりません。 

オンラインにも、対面にも“強み”がある

 今回の調査では、「対面会議が必要」と感じる人は76.6%、「オンライン会議が必要」と感じる人は87.2%と、いずれの形式にも高い支持が集まりました。これは、どちらか一方ではなく、それぞれが持つ強みを状況に応じて活用すべきだという、はたらき手たちの成熟した認識の表れとも言えます。

 オンライン会議は、はたらき方の多様化が進んだ2025年の職場環境において不可欠な手段です。リモート勤務が定着し、複数拠点をまたぐ連携が日常となった今、地理的・時間的制約を超えてつながれるオンラインの利便性は大きな強みです。資料共有のしやすさや、議事録などの記録性、チャットでの補足・意見交換が可能な点など、情報処理や業務の“効率化”には圧倒的な力を発揮します。

 一方で、対面会議は“非効率”とされがちな場面においてこそ、本来の力を発揮します。たとえば、表情や視線、間(ま)といったノンバーバルな情報が多く交差する場では、言葉にしきれないニュアンスの共有や、相手の意図を汲み取る力が求められます。これは、オンラインでは再現が難しい“空気感”であり、人間関係の土台となるものです。

 両者の強みを一言でまとめるなら、オンラインは「情報伝達」に長け、対面は「関係構築」と「感情共有」に優れる——重要なのは、会議の目的を明確にした上で、その性質に最も適した手段を選ぶことです。

それでも対面会議は必要。その必要性とは

 それでは、なぜこれだけオンラインが普及しながらも、対面会議の価値が未だに高く評価されているのでしょうか。

 第一に、人は“空気を読む”ことで会話の行間を補っています。日本のビジネス文化においては、発言そのものよりも、その背景にある温度や空気感を重視する傾向が根強く残っています。相手の呼吸や反応、うなずき方といった微細なサインを通して、共感や納得を積み上げていく——こうしたコミュニケーションは、オンラインではどうしても希薄になりがちです。

 第二に、アイデア出しなどの創造的な場では、 対面の“雑談”が重要な役割を果たします。机を囲んだちょっとした笑いや、何気ないひと言がアイデアの種になり得るのです。 

 

 こうした偶発的なひらめきや共感は、形式張ったオンライン会議の枠組みでは生まれにくいという実感が、若手層を中心に再評価されつつあります。

 さらに、対面コミュニケーションには、「組織への帰属感」や「仲間意識」を生む心理的な効果もあります。 自分が“見られている”“受け入れられている”という実感は、日々のモチベーションやチーム連携に直結します。これは単に会話をすることではなく、一緒に空間を共有することの意味に他なりません。
 対面会議・オンライン会議、それぞれの実施形態による”不要さ”も理解した上での設計が求められています。

会議をデザインするのは“上司”

 調査では、会議の開催形式について「内容によって柔軟に決まる」という回答が多かった一方で、一定数は「上司の意向で決まる」と答えています。これはつまり、会議の“設計権”は現場よりも、マネジメント層が持っているということを意味しています。

 そのため、上司が「とりあえず全員出社」「情報共有だけなのに対面」など、目的と手段のバランスを欠いた判断をしてしまえば、部下にとっては“ムダな会議”の象徴になりかねません。逆に言えば、会議という場を意味ある時間に変える鍵は、設計者としての上司の力量にかかっているとも言えるでしょう。

  この“会議を設計する”という視点こそが、今求められているマネジメントスキルの一つです。誰を呼ぶべきか、どの形式が適切か、事前に何を準備すべきか。会議の設計とは、単なる段取りではなく、目的を達成するための戦略立案に近い行為です。

内容によって設計を

 調査では、会議の形式選択に関して、参加者がどのような条件で対面かオンラインかを選びたいと思っているのかが明らかになりました。

 対面参加を望む場面としては、「アイデア出しや議論が活発に求められる会議」が最も多く挙げられています。加えて、「戦略の決定など重要度が高い内容」「誤解を避けたい慎重な話し合い」「初対面のメンバーが多い場合」も対面のメリットが活かしやすいでしょう。

さらに、「雑談や合間のコミュニケーションを重視したい」「会議後に別の対面予定が続く場合」も、対面参加の動機として挙げられています。これらはいずれも、リアルな場ならではの「相互理解の深まり」や「自然な交流」の価値が重視されていることを示しています。

 一方、オンライン参加が選ばれやすいのは、「一方的な情報共有がメインの会議」「参加者が多く発言の機会が限られている場合」「30分以内の短時間の会議」「議論やアイデア出しがあまり求められない定例ミーティングや進捗報告」といった内容です。「その場での対話の優先度が低い」「他の業務や別の会議が詰まっている場合」もオンラインの利便性が重視される傾向があります。

 この結果は、会議の内容や目的によって、最適な開催方法が異なることを示しています。つまり、一律にオンラインか対面かを決めるのではなく、「何を議論したいのか」「どのような成果を得たいのか」を踏まえて柔軟に設計することが、これからの会議のあり方に求められているのです。

変わる「会議室」の役割と使い方

 かつて、会議室は「対面で話し合うための空間」として、組織の中心に存在していました。重厚な扉、プロジェクター、ホワイトボード、時計——会議室には“仕事感”が詰まっていました。しかし2025年現在、その象徴性には変化が表れています。

 今回の調査では、「会議室を“会議以外”の目的で使っている」と答えた人が39.3%に上りました。具体的には、「プライバシーが必要な業務(労務・人事)」「資料作成など集中したい時」「電話やWeb会議の対応」「ちょっとした雑談や休憩」など、個別作業や一時避難的な用途が目立つ結果です。

これは、「会議室」という名前の持つ象徴性が薄れ、“対話空間”よりも“個室スペース”としてのニーズが高まっているという、職場の構造的な変化を映し出しています。固定席が減り、オープンスペース化が進んだオフィスでは、むしろ「一人でこもれる場所」が足りないのです。

 また、会議室の利用状況は、“出社の質”にも関わる問題です。せっかく対面会議のために出社しても、会議室が確保できない、もしくは機材トラブルで円滑に進まない——そのような“場の設計ミス”が、会議そのものの価値を下げてしまうこともあります。

 加えて、「会議室」という名称そのものが、現代の多用途ニーズとズレてきているのかもしれません。もしそこが「集中ブース」「プライベートルーム」「共有個室」などの呼称であったなら、より柔軟に使える場所として再評価される可能性もあるでしょう。

 これからのオフィスに必要なのは、「会議室=対面の場」という固定観念を超えた空間設計のリデザインです。会議の質を高めるには、空間もまた“設計”されるべき対象なのです。

まとめ:会議は“設計”で生まれ変わる

 本調査で浮かび上がったのは、 はたらく人々が「無駄な会議」をただ嘆いているのではなく、より意味のある時間に変えたいと真剣に考えているという事実です。 

 2025年の今、AIの台頭やリモート技術の進化により、「会う理由」「集まる意味」が改めて問われています 。これからの会議に求められるのは、“つなぐ手段”ではなく“価値を生む場”としての再設計です。

 そのためには、開催形式や時間だけでなく、参加者の心理的安全性や、組織文化との整合性まで考え抜かれた“設計”が必要です。効率と感情、情報と関係性。その両方を見極めながら、目的に応じて会議をデザインする力こそ、これからのビジネスパーソンに求められるものなのかもしれません。

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