2026.04.1
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育休後の退職はずるい?調査データから見る世間のホンネと円満退職のポイント
育休後の退職を考えるとき、「ずるいと思われないか」という不安がよぎる人は少なくないはずです。この記事では、Job総研の調査データをもとに世間のリアルな声を整理しながら、育休後退職の理由や円満退職のポイントをわかりやすく解説します。
育休後に退職すると「ずるい」と感じる人がいるのはなぜ?

育休後の退職をめぐっては、世間の見方が大きく分かれています。Job総研の調査では、育休・休職明けの退職に「賛成」と回答した人が56.5%、「反対」と回答した人は43.5%でした。
「反対」と回答した人がすべて「ずるい」と感じているわけではありませんが、賛否ほぼ半々という状況のなかで、「ずるい」という感情はどこから生まれるのでしょうか。主な理由を整理します。
育休は「復帰を前提とした制度」という認識があるから
育児休業制度は、出産・育児と仕事を両立するために設けられた制度。
そのため、「育休=復帰前提」という認識が職場では根強く、復帰せずに退職する場合、「最初から辞めるつもりだったのでは」「給付金だけもらい逃げではないか」と疑問を持たれることがあります。
実際には法律上、育休後の退職は労働者の権利として認められています。制度の「建前」と法律上の「実態」のあいだにはギャップがあり、職場の多くの人はそのギャップを知りません。
「ずるい」という感情は、こうした情報のズレが生み出している側面が大きいのです。
休んでいる間の業務を周囲がカバーしているから
従業員が育休を取得する場合、同僚がその人の業務を分担・引き継ぐのが一般的。
「復帰を前提にサポートしてきた」という状況で退職となれば、「あの頑張りはなんだったのか」「最初からやめてくれていたら代わりの人が入ったはずなのに」といった気持ちになってしまう人も出てきます。
「ずるい」という感情が生まれる背景には、多くの場合、こうした負担感の積み重ねや行き場のない「やるせなさ」があります。
退職する当事者にとってはやむを得ない切実な事情があったとしても、周囲には伝わりにくいもの。見えないすれ違いが、感情のもつれを生んでしまうのです。
会社側の「バックアップ体制」が不十分なことも一因
一方で、職場に攻撃的な空気が生まれる原因は、個人だけにあるわけではありません。
一人が抜けただけで現場がまわらなくなるほどギリギリの人員配置、代替人員の未補充、残った社員への手当のなさ……。こうした会社側の体制の不備こそが、周囲の不満をじわじわと膨らませている大きな要因です。
「ずるい」という感情の裏にあるのは、組織の余裕のなさ。社員一人ひとりがいっぱいいっぱいな状況のなか、蓄積していたネガティブな感情の矛先になりやすいのが育休後の退職なのかもしれません。
そもそも「妊娠・出産による退職」はどう思われている?世間の意見

妊娠や出産をきっかけに退職することについて、世間はどのように見ているのでしょうか。ここでは、Job総研の調査データをもとに、賛成・反対それぞれのリアルな意見を整理します。
妊娠・出産による退職に「賛成」する人の意見
妊娠・出産を理由とした退職や転職への賛否を問うJob総研の調査では、「とても賛成」「賛成」「どちらかといえば賛成」を合計すると約8割が肯定的な回答を示しました。
賛成の理由としてもっとも多かったのは、「家族や個人の幸せを最優先すべき」で71.1%。次いで「無理に続けるより環境を変えた方がよい」が57.8%、「転職で育児と仕事の両立がしやすくなる」が43.6%と続きます。
はたらき方の多様化が進むなか、個人のライフステージに合わせたキャリアの選択を尊重する意識が社会全体に広まってきていることがわかります。
自分の人生を自分でデザインすることへの理解が、着実に深まっているといえるでしょう。
妊娠・出産による退職に「反対」する人の意見
反対意見を持つ人の声にも耳を傾けてみましょう。
Job総研の調査では、反対理由として「職場に制度があるのに退職するのはもったいない」が47.8%で最多。次いで「キャリア形成において大きな損になる」が45.7%、「一度退職すると市場価値が下がる」が43.5%と続きます。
こうした意見の背景には、退職する本人を責めているというよりも、「せっかく築いたキャリアを手放してほしくない」という惜しむ気持ちがある場合も少なくありません。
「ずるい」という批判とはまた別の文脈で、当事者の将来を心配する声も上がっているのが実情です。
実際に「妊娠・出産をきっかけに退職する人」はどれくらいいる?
妊娠・出産などのライフイベントをきっかけに、退職や転職を経験した人は実際どれくらいいるのでしょうか。

Job総研の調査によると、「ある」と回答した人のうち、「自身の意思で退職した」と答えた人は21.8%。「職場環境や周囲の反応により継続が難しく退職した」「ライフイベント後すぐに別会社へ転職した」という人も一定数存在しており、これらを合わせると約3割がキャリアの転換を経験していることがわかります。
一方、「ない(現在も同じ職場ではたらいている)」と回答したのは65.8%でした。
数字だけを見ると、育休後に退職を選ぶ人は少数派。とはいえ、その決断に至る過程には、一人ひとりの迷いや葛藤があるのです。
育休後の退職|リアルな理由
育休後に退職を選ぶ人の多くは、「制度を利用して辞めたい」と考えていたわけではありません。ここでは、Job総研の調査をもとに、「育休後の退職」のリアルな理由を整理します。
家族や自分の時間を優先したいから
退職・転職を決めた理由を尋ねたJob総研の調査では、「家族・個人のための時間を確保するため」が40.9%で最多の回答となりました。
子どもが生まれたことで、これまで以上に家族と過ごす時間を大切にしたいと考えるのは自然なこと。育休期間中に子どもの成長を間近で見ることで、「仕事より家庭を優先したい」という気持ちが育まれるケースも少なくありません。
職場復帰後のキャリアも大切ですが、今しかない子どもとの時間を選ぶこともまた、立派なライフプランのひとつなのです。
仕事と育児の両立が想像以上に難しかったから
復職してから初めて実感する、仕事と育児の両立の壁。
Job総研の調査では、退職・転職を決めた理由のひとつとして「勤務先での仕事と育児の両立が難しかった」ことを挙げた人が18.2%いました。
育休中は「復帰したら頑張ろう」と前向きに考えていても、実際に職場に戻ると、保育園への送り迎えや子どもの急な体調不良への対応が想定以上に多く、戸惑う人も少なくありません。
残業への対応が難しくなったり、以前のようなペースで仕事を進められなかったりすることへの焦りや申し訳なさが積み重なり、退職を考え始めるケースも。育休前と後とでは、同じ職場でも見える景色がまったく変わることがあるのです。
はたらき方や職場環境が合わなくなったから
育休をきっかけに、それまで当たり前だったはたらき方が合わなくなると感じる人も少なくありません。
Job総研の調査では、退職・転職を決めた理由として「残業や突発対応のない環境への転換」を挙げた人が20.5%、「リモートワークなど柔軟なはたらき方のできる環境への転換」を挙げた人が22.7%にのぼりました。
子どもを持つ前は問題なくこなせていた残業対応や、時間の融通が利かないはたらき方が、育児との両立においては大きな壁になるケースがあります。
これは職場が悪いというよりも、ライフステージの変化によって自分に合うはたらき方が変わってきた結果。環境との「ミスマッチ」は、誰にでも起こりうることです。
育休後の退職は法律的に問題ない?
「育休後に退職するのは法律的に問題があるのでは」と不安を感じる人もいるかもしれません。感情的な議論とは切り離したうえで、制度や法律の観点から事実を整理しておくことも大切です。
育休後に退職すること自体は法律で禁止されていない
育児休業制度は、「育児・介護休業法」によって労働者の権利として定められたもの。育休を取得したあとに退職すること自体は、法律で禁止されていません。
退職はあくまで労働者の自由な意思に基づく選択。仮に育休後の退職を選んだとしても、「制度を使ったのに復帰しないのは悪いことだ」と、過度に自分を責める必要はないのです。
ただし、会社の就業規則によっては退職の申し出期限が定められているケースがあるため、手続き上の確認は必要。法律上は問題がなくても、そして職場への影響を最小限に抑えるためにも、できるだけ早めに意思を伝えておくのが円満退職へのマナーです。
育児休業給付金は返還が必要?
育休中に受け取った育児休業給付金について、「退職したら返還しなければならないのでは」と心配する人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省によると、育児休業給付金は育休申請時に職場復帰の意思があり、制度を適正に利用していれば、結果的に退職した場合でも原則として返還義務はないとされています。
ただし、個別の事情によって判断が異なるケースもゼロではないため、不安を感じる場合はハローワークや会社の担当窓口に確認しておくのがおすすめ。「給付金をもらったから退職できない」と思い込んで自分を追い詰める必要はありません。
育休後の退職を円満に進めるためのポイント
育休後の退職について、制度上の問題はないとはいえ、職場との関係や人間関係が気になる人は多いはず。ここでは、できるだけ円満に退職を進めるために意識したい4つのポイントを紹介します。
まずは直属の上司に早めに相談する
退職の意思が固まったら、できるだけ早い段階で直属の上司に相談することが大切。
突然の退職申し出は職場に混乱をもたらすことがあるため、復帰後のはたらき方について話し合う機会などを活用しながら、段階的に意思を伝えていく流れが望ましいでしょう。
「いきなり退職届を出す」という形よりも、まずは相談ベースで話を切り出すほうが上司側も受け入れやすくなります。
相談するタイミングが早ければ早いほど、会社側が後任や業務体制を整える時間が生まれ、職場への影響も最小限に。誠実な姿勢を見せることが、円満退職の基本です。
会社への不満ではなく「家庭の事情」を軸に伝える
退職理由を伝える際は、職場への不満や愚痴を前面に出すのは避けましょう。「育児に専念したい」「家庭との両立が難しい状況になった」など、前向きで納得感のある理由を軸に説明するほうが、相手にも受け入れられやすくなります。
感情的になってしまった場合、その後の残り期間が気まずくなるだけでなく、退職後の関係にも影響が出かねません。
伝え方ひとつで、相手の受け止め方は大きく変わるもの。会社の制度や同僚への感謝を忘れずに、落ち着いたトーンで話すことが大切です。
引き継ぎや業務整理は丁寧に
退職が決まったら、業務の引き継ぎを丁寧に行いましょう。
これは職場への最大の配慮。担当業務の一覧や進捗状況をまとめたマニュアルを作成し、後任が迷わず対応できる状態を整えます。口頭での引き継ぎだけでは漏れが生じやすいため、業務内容を文書化し、後任の負担を軽減するのもおすすめ。
「育休をとっておいて退職するなんてずるい」という周囲の感情を和らげるうえでも、丁寧な引き継ぎの姿勢は大きな意味を持ちます。退職日が迫るほど時間が足りなくなるため、意思を伝えた直後から準備を始めましょう。
最後までプロとしての仕事を全うすることが、職場との関係を良好に保ちながら退職するためのポイントです。
感謝の気持ちをきちんと伝える
退職時には、育休制度を利用できた環境や、業務をカバーしてくれた同僚への感謝をきちんと言葉にすることも忘れずに。
「お世話になりました」という気持ちを言葉にすることで、退職後も良好な人間関係を保ちやすくなります。直接会って伝えることが難しい場合には、メッセージカードや個別の挨拶メールなどで誠意を示す方法も。
育休中のサポートへの感謝を示すことは、退職するとなっても大切なことです。退職はひとつの区切りであり、終わりではありません。感謝の姿勢をもって職場を去ることが、自分自身の気持ちをすっきりさせ、次のステージへ前向きに踏み出すことにもつながります。
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育休後の退職は「ずるい」だけでは語れない
育休後の退職をめぐっては、制度や職場環境、価値観などさまざまな要素が絡み合っています。周囲の人がモヤモヤを感じる理由も、当事者が深く悩む理由も、どちらにも正当性があるため、「ずるい」という言葉だけではその複雑さは到底語り切れません。
大切なのは、それぞれの事情を理解しながら自分にとって最善のはたらき方を考えていくこと。育休後の退職という選択が、あなた自身の人生においてどんな意味を持つのかを、ぜひ丁寧に見つめ直してみてください。
参照:Job総研『2026年 退職に関する意識調査』を実施しました – Job総研プラス
参照:Q&A~育児休業等給付~|Q51








