2026.02.17
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休みの日の仕事の連絡がストレス…知っておきたい「つながらない権利」と自分の守り方
せっかくの休日なのに、上司からのメッセージで気が休まらない。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。休みの日の仕事の連絡は、多くの人がストレスを感じています。この記事では、そんなストレスに注目し、「つながらない権利」と自分を守るための具体的な方法をお伝えします。
せっかくの休日なのに……仕事の連絡で「休めない」と感じていませんか?
日曜の午後、スマホに届く上司からのメッセージ。
無視するわけにもいかず確認すると、案の定「あの件どうなってる?」と緊急性のない業務連絡。思わずため息が出てしまいます。
せっかくの休日なのに、仕事のことを考えなければならない。外出中も「電話が鳴るかもしれない」と気になって、心から楽しめない。場合によっては飲酒も控えてしまう。
そんなことが度重なれば、「休みの日くらいゆっくりしたいのに……」そう感じてしまうのも無理はありません。
休日の仕事の連絡は、大半のビジネスパーソンにとってストレスの元。本来リフレッシュするはずの時間が、「待機状態」に変わってしまう。この違和感について、次章で紐解いていきます。
なぜ休日の仕事の連絡はこんなにストレスなのか?
休日の仕事の連絡が不快なのは、単に「休みを邪魔された」からではありません。ここでは、3つの視点からストレスの理由を解説します。
本当に休めない……「待機状態」が続くから
休日の仕事の連絡でもっともストレスを感じるのは、「いつ連絡が来るかわからない」という状態そのもの。実際に連絡が来ていなくても、「来るかもしれない」という予期不安が心を縛ります。
連絡が来ること、そしてそれに対応することが暗黙の了解になっているケースでは、休みの日でも常にスマホを気にせざるを得ません。
対応する内容によっては、遠出を控えたり、お酒を飲むのをためらったりすることも。友人との約束すら、「もし連絡が来たら……」と不安になり、心から楽しめません。
この「待機状態」が続くと、休日なのに気が休まらず、常に仕事のことが頭の片隅にある状態に。本来の休息にならず、疲れが取れないまま週明けを迎えることになります。
オン・オフの境界がなくなってしまうから
一度仕事の連絡を受けると、その後もずっと「仕事モード」から抜け出せなくなってしまいがち。
たとえ短いやり取りで終わったとしても、頭の中は仕事モードへ切り替わり、家でゆっくりしているつもりでも気持ちは職場にある状態になってしまいます。
オン・オフの切り替えができないまま休日が終わると、リフレッシュできずに月曜日を迎えることに。疲れを持ち越したまま新しい週が始まり、さらに疲労が蓄積していく悪循環に陥ります。
心身ともに回復する時間を失うことで、仕事のパフォーマンスにも悪影響が出てしまうのです。
心身に深刻な影響を与えることも

「たかが連絡」と思われがちですが、その影響は軽視できません。
休日に十分な休息が取れないことは、慢性的な疲労感や集中力の低下の原因になります。睡眠の質が下がり、常に体が重い感覚が続いてしまうことも。
Job総研の調査では、57.6%の人が「休み方についての悩みがある」と回答しました。具体的には「十分に疲労感が取れない」と感じている人が60.6%。「土日でリフレッシュできない」人は50.5%にのぼります。
半数以上の人が、休日に十分休めていないと感じている現実。休日の仕事の連絡は、この問題の一因となっている可能性があります。
「少しの連絡くらい」と軽く考えず、心身の健康を守るための対策が必要なのです。
実は「休みの日に連絡に応じる義務」はない
休日の仕事の連絡にストレスを感じつつも、「応じなければいけない」と思っていませんか?実は、法律上、休日に仕事の連絡に応じる義務は基本的にありません。ここでは、知っておきたい法律の話を、分かりやすく解説します。
労働基準法では休日の扱いはどうなっている?
労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して、少なくとも毎週1回の休日、または4週間で4日以上の休日を与えることが定められています(2026年の労働基準法の改正により変更の可能性あり)。
ここでいう「休日」とは、その日に労働義務が課されていない日のこと。つまり、本来は仕事から完全に解放され、心身を休めるために確保されるべき時間なのです。
会社が法定休日に労働させる場合、36協定(時間外・休日労働に関する協定)を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。この協定なしで休日に業務対応を求めれば、違法となり得ます。
重要なのは、短時間の対応でも「労働時間」と見なされる可能性があること。たとえば休日に1時間だけメールや電話に対応した場合でも、労働基準法第37条により休日労働の割増賃金(35%以上)の支払い義務が発生する可能性が大。
時給1,000円なら1,350円。「ちょっとだけ」の対応であっても、きちんと対価が支払われるべきであることを心に留めておきましょう。
参考:
e-Gov 法令検索|労働基準法|第三十五条|第三十七条
労働時間・休日 |厚生労働省
パワハラになる可能性も
休日の頻繁な連絡や、即座の返信を強要する行為は、パワーハラスメントに該当する可能性があります。
厚生労働省は、以下の3つの要素すべてを満たす行為を「パワハラ」と定義しています。
- 優越的な関係を背景とした言動であって、
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- 労働者の就業環境が害されるもの
上司という立場を利用して、休日に何度も連絡したり「すぐ返信しろ」と強要したりすることは、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」に該当しやすいのです。
さらに、返信しないことを理由に叱責するような行為も、同様にパワハラと見なされる可能性があります。
労働義務のない休日。そこに一方的に連絡を強要し、応じないことを咎める行為は、立派なハラスメント。「上司だから」「会社のため」という理由で我慢する必要はありません。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント|厚生労働省
世界では「つながらない権利」が広がっている
勤務時間外の連絡を拒否できる「つながらない権利」は、世界的な潮流として広がりを見せています。
フランスでは2016年に労働者が勤務時間外の業務連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」を法制化。オーストラリアでも2024年に「つながらない権利(連絡遮断権)」を定めた法律が制定されました。
日本でも、厚生労働省がテレワークガイドラインを改定し、勤務時間外の連絡抑制を推奨しています。2026年の労働基準法の改正においても、つながらない権利が明文化されるかが注目されています。
時代の流れは確実に「休日は休む」方向へ。休日にゆっくり休みたいという気持ちは、当然の権利として尊重されつつあるのです。
「でも、無視するのは気まずい…」そんな時の対処法
法律上は休日に仕事の連絡に応じる義務がないとわかっても、現実的には完全に無視するのは難しいもの。特に職場の人間関係を考えると、角を立てずに対応したいというのが本音ではないでしょうか。
では、自分を守りながら、できるだけストレスを減らすための具体的な方法をお伝えします。
物理的に連絡を遮断する
休日に仕事の連絡を受けないようにする方法として、もっとも効果的なのが「物理的に連絡を受け取らない環境をつくること」。
社用携帯があるなら、休日は電源を切る、または家に置いて外出する。プライベートの携帯でも仕事の連絡が来るのなら、通知をオフにしたりマナーモードに設定したりするだけでも心理的な負担は大きく軽減されます。
「つながらないキャラ」を演じるのも一つの方法。「休日は連絡がつきにくいです」「休日はスマホを見ない主義なんです」とあらかじめ伝えておくことで、仮に連絡がきても対応する・しないを自由に選べます。
返信は「休み明けに」と決めておく
休日に連絡が来ても、すぐに返信する必要はありません。「翌営業日に対応します」という自動返信を設定しておくのも効果的。メールなら不在通知機能、チャットツールならステータスメッセージを活用しましょう。
もし内容を確認してしまった場合も、慌てて返信する必要はありません。簡潔に「○日(休み明け)に確認します」と返すだけで十分。詳細な対応は営業日に行うというスタンスを明確にすることが大切です。
対応したなら、きちんと記録を残す
やむを得ず休日に業務対応をした場合は必ず記録を残しましょう。対応した日時、所要時間、内容をメモやスクリーンショットで保存します。メールやチャットのやり取りも、あとから見返せるように保管しておくことが重要。
これらの記録は、後日残業代を請求する際の証拠になります。「少しの時間だから」と諦める必要はありません。
また、頻繁に休日対応を求められる場合、記録があれば労働基準監督署や弁護士に相談する際の重要な資料にも。自分を守るためにも、「ただばたらき」にしないためにも、記録する習慣をつけておきましょう。
「これは変だ」と思ったら相談する
休日の連絡が常態化していたり、対応しないことで叱責されたりする場合、その環境には明らかに問題があります。一人で抱え込まず、信頼できる上司や人事部門に相談してみましょう。会社として改善に動いてくれる可能性があります。
社内での解決が難しい場合は、労働基準監督署への相談も選択肢のひとつ。匿名での相談も可能で、労働基準法違反があれば会社に指導が入ることもあります。悪質なケースでは、弁護士に相談して法的措置を検討することも。
考えられる手を講じた上で、職場環境が改善されないのなら、転職も視野に入れましょう。自分の心身の健康を守ることが最優先。「この環境はおかしい」と感じたら、環境を変える勇気も必要なのです。
休日のスマホが怖いと思ったら…転職タイプ診断
「休日くらい仕事のことは忘れたい」と思うのは、当然の権利です。もし今の職場でその願いが叶わないなら、それはあなたの働くスタイルと会社の文化が根本的にズレているのかも。
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職場全体で「休日は休む」文化をつくるために
個人でできる対策も大切ですが、根本的な解決には組織全体の意識改革が不可欠。休日の連絡を減らすために、職場全体でできる取り組みを見ていきましょう。
そもそも「緊急」かどうかを見極める
「これは本当に今日中に対応すべきことだろうか?」「明日ではダメなのか?」。冷静に考えると、本当に緊急の案件は実はそれほど多くありません。
「念のため」「一応」といった理由での連絡は、連絡する側は軽い気持ちでも、受け取る側にとっては大きなストレス。この温度差が、問題を大きくする原因に。
おすすめは、「顧客からのクレーム対応」「システムトラブル」など、本当に休日対応が必要な事態を定義しておき、それ以外は原則として営業日に対応する方法です。緊急度で判断する仕組みをつくるだけでも休日の連絡は減らせます。
ルールを明文化する
近年、休日連絡に関するガイドラインを設けている企業も増えてきました。どんな場合に連絡してよいのか、連絡手段は何を使うのか、対応時間の目安はどれくらいか。これらが明文化されていれば、連絡する側もされる側も迷わずに済みます。
プライベートのLINEではなく、業務用のコミュニケーションツールを使うなど、個人の連絡先と仕事用を分け、オン・オフの区別をつけるのも効果的。
また、「休暇取得者には原則として連絡しない」「どうしても必要な場合は事前に本人の了承を得る」といったルールを設け、徹底するのもおすすめ。ルールがあることで、誰もが安心して休めるようになります。
管理職自らが「休日は連絡しない」姿勢を示す
組織として意識改革を行うには、トップダウンで明確に方針を示すことが大切。管理職が休日に仕事の連絡をしない姿勢を貫けば、部下も安心して休めるようになります。
ワークライフバランスに関する研修を管理職向けに実施するのもひとつの方法。「休日に連絡することの影響」「部下の健康管理の重要性」を学ぶ機会を設け、管理職の意識が変われば、組織風土も変わります。
なお、忘れずに行いたいのが「業務の効率化」。そもそも休日に連絡が必要になるのは、平日の業務が回っていない証拠かもしれません。
業務プロセスを見直し、引き継ぎ体制を整えることで、休日連絡の必要性そのものを減らせます。組織として、持続可能なはたらき方を目指しましょう。
休日は休むもの。自分を守る選択をしよう
休日の仕事の連絡にストレスを感じるのは、決しておかしなことではありません。休日は本来自分の自由に使える時間。法律でも休む権利は守られています。
現状を変えたい気持ちがあるのなら、物理的に連絡を遮断する、返信を休み明けにする、記録を残すなど、自分に合った方法からできることから始めてみるのがおすすめ。もし職場の文化が変わらないなら、環境を変える選択肢もあります。
「休日は休む」。それは当たり前の権利。自分の心と身体を守る選択をしてくださいね。
参照:
Job総研『2025年 休み方実態調査〜悩み編〜』を実施 6割が休息に課題 「5月なのに夏バテ」暑さ疲れで業務に支障 | パーソルキャリア株式会社のプレスリリース









