2026.03.20
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心理的安全性の高い職場の特徴は?高めるための取り組みも解説
心理的安全性が高い職場では、チームのパフォーマンスが上がりやすくなります。本記事では、心理的安全性の意味から高い職場の特徴、上司・部下それぞれができる具体的な取り組みまで解説します。
職場における心理的安全性とは?
近年注目されている「心理的安全性」。単なる仲の良さとは異なる概念で、対人関係上で起こるリスクを防ぐ考え方です。
特に、職場における心理的安全性とは「職場やチーム内で自分の意見や考えを安心して発言できる状態」を指します。会議中に疑問を投げかけたり、新しいアイデアを提案したりする際に、周囲から否定されたり馬鹿にされたりする心配がないといった環境です。
この概念はハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。Google社の社内研究「プロジェクト・アリストテレス」では、高い成果を上げるチームに共通する重要な要素として心理的安全性が挙げられています。
心理的安全性が高い職場では、メンバーが失敗を恐れずに挑戦し、互いに協力し合うことでチーム全体のパフォーマンス向上が期待できます。
出典:Google re:Work – ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
心理的安全性が職場で重要視される背景
心理的安全性が職場において重視される理由は、変化の激しい経営環境において「現場の声が成果を左右する」という考えからです。
現代のビジネス環境は、変化が激しく予測が難しい時代といわれています。リモートワークや多様な価値観を持つ人材の増加により、従来の「察する」「空気を読む」マネジメントだけでは、組織が機能しにくくなっている側面があります。
企業が生き残るためには、社員一人ひとりが積極的に意見を出し、問題解決に貢献することで組織の成長や競争力を向上させるはたらきが必要です。
心理的安全性が高い職場では、多様な視点から意見が活発に交わされ、予期せぬ問題にも柔軟に対応しやすくなります。結果としてトラブルを未然に防ぎやすくなり、組織の判断力も高まりやすくなるでしょう。
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心理的安全性が低い職場で起こりやすい問題
心理的安全性が低い職場では、メンバーが「何かを言うと損をする」と無意識に感じはじめ、さまざまな問題が連鎖的に生じやすくなります。
これらは本人の性格の問題ではなく、職場の構造によって生まれます。
常に不安を抱えながらはたらくことになる
心理的安全性が低い職場では、「この発言は正しいか」「ミスをしたら怒られるのではないか」という不安が付き纏います。
たとえば、会議で疑問を感じても「場の空気を壊しそう」と黙ったり、上司への報告を「また叱られる」というおそれから先延ばしにしたりするケースが典型です。
こうした状態が続くと、メンバーは「なるべく目立たないように動く」という防衛的なスタンスをとるようになります。その結果、問題が早期に共有されず、小さなトラブルが大きな失敗に発展するリスクが高まるのです。
アイデアや意見を出しにくくなる
心理的安全性が低い環境では、「否定されるかも……」「的外れだと思われるかも……」という気持ちが先立ち、それぞれが自分の意見を出すことをためらうようになります。
実際に、Job総研の「2025年 上司に関する意識調査」の結果では、上司の性別によって「発言のしやすさや、職場の心理的安全性が変わる」といった回答が見られました。
この調査から「環境によって行動が左右される傾向」が読み取れます。発言する機会や行動するタイミングがあっても、安心感がなければ行動にはつながりません。

行動を控える雰囲気が当たり前になると、会議では一部の人だけが話し、それ以外の人は受け身になっていきます。結果、チームとしての視野が狭くなり、変化や改善のきっかけを手放す形になってしまいます。
ストレスを抱え込みやすくなる
心理的安全性が低い職場では、困りごとや悩みを相談するハードルが上がります。本音を隠して周囲に合わせようとする結果、早めに打ち明けるべき問題を1人で抱え込んでしまうのです。
たとえば、業務量がキャパシティを超えていても「弱音を吐けない」と無理して続けたり、人間関係のトラブルを誰にも言えず精神的に消耗したりするでしょう。
こうした積み重ねが、体調の悪化や離職につながることも少なくありません。ストレスを溜め込まず話せる職場かどうかが、長く働き続けられる環境かどうかに影響します。
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心理的安全性が低い環境では、知らず知らずのうちにストレスを溜め込み、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
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心理的安全性が高い職場の特徴3選
心理的安全性が高い職場には「なんとなく居心地がよい」という漠然とした雰囲気ではなく、日常の具体的なやり取りに違いがあらわれます。
上司や同僚との関係性がよい
心理的安全性の高い職場では、上司や同僚との間に強い信頼関係が築かれています。
たとえば「疑問があれば遠慮せず確認できる」「上司も自らの判断ミスを認められる」などの行動が見られるでしょう。それぞれがお互いを1人の人間として尊重し、弱みを見せてもいい安心感があるのです。
このような良好な人間関係があると、チームの結束力が高まり、困難な課題にも一丸となって取り組みやすくなります。互いに支え合うことで、個々の能力を最大限に引き出しやすくなるでしょう。
ミスを責めない風土がある
心理的安全性の高い職場では、ミスが発生しても個人を責めるのではなく、チーム全体の学びとして捉える文化が根付いています。失敗を恐れて隠すような状況を防ぎ、再発防止と改善につなげることを重視しているためです。
何か問題が起きた際には、「なぜそうなったのか」を冷静に分析し、仕組みやプロセスを見直すことで解決を図ります。失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる環境であれば、過度に萎縮することなく業務に取り組めるようになるでしょう。
発言・質問・相談がしやすい
心理的安全性が確保された職場では、些細なことでも気兼ねなく発言・質問・相談ができます。
「無知だと思われるのではないか」「馬鹿にされるのではないか」といった不安を感じることなく、自分の意見を表現できる環境が整っているためです。
誰かが疑問を口にすることで、同じ疑問を持っていた別の社員も気づきを得られ、チーム全体の理解も深まりやすくなります。活発なコミュニケーションは、誤解や思い込みによるミスを減らし、チーム全体の意思決定の質を高めてくれるでしょう。
職場の心理的安全性を高めるためにできる「上司」の取り組み
心理的安全性は自然に生まれるものではなく、日々の行動や習慣によって形成されていくものです。特に、チームをまとめる立場である上司の振る舞いは、職場の心理的安全性に大きな影響を与えます。
部下が「この上司になら何を言っても大丈夫」と感じられるような信頼関係を築くことが、心理的安全性の土台となります。
上司が率先して実践すべき具体的な行動を紹介します。部下との良好な関係を築き、チーム全体のパフォーマンス向上を目指しましょう。
部下の意見を最後まで聞く姿勢を持つ
部下が話している最中に口を挟まず、最後までじっくりと耳を傾けることは、心理的安全性を高めるために必要な行動です。
途中で意見を遮られたりすぐにアドバイスをされたりすると、部下は「自分の意見は尊重されていない」と感じて発言をためらうようになるためです。
たとえば、部下が話しかけてきた際には、忙しくても1度手を止めて相手の目を見て話を聞くように心がけましょう。相槌を打ちながら「なるほど、そう考えているんだね」と受け止めることで、部下は安心して自分の考えを伝えられるようになります。
ミスを責めるのではなく学びに変える
部下がミスをした際には、犯人探しをして個人を厳しく責めるのではなく、チーム全体の成長の機会として捉える姿勢が重要です。
ミスを過度に責めると、部下は叱責を恐れて報告をためらうようになり、結果として組織として改善できるチャンスを逃します。
たとえば、ミスが発生した際には、「なぜこのミスが起きたのか」を仕組みやプロセスに焦点を当てて一緒に考えることで、部下の安心や成長につながります。そのうえで、「次はどうすれば防げるか」という未来志向の対話を行うようにしましょう。
失敗を学びに変える姿勢を上司が示すことで、チーム全体に挑戦を恐れない文化が根付いていきます。
職場の心理的安全性を高めるためにできる「部下」の取り組み
心理的安全性は、上司だけが努力して高まるものではありません。メンバーそれぞれの日常的な言動も、チームの空気を左右する要因になります。「自分にできることはない」と思わず、以下の意識からはじめてみましょう。
他者の意見を否定しない姿勢を持つ
誰かが発言したときに即座に否定する言葉が飛ぶような環境では、次第に誰も発言しなくなります。部下の立場であっても、同僚の意見を受け止める姿勢はチームの空気をつくる重要な要素のひとつです。
否定しないことは、すべてに同意することではなく、相手の発言を頭ごなしに遮らないということです。意見に賛同できない場合でも、「そういう見方もあるんですね」「なるほど、自分は少し違う考えで……」と、一度受け取ってから自分の見解を伝えるだけで印象は変わります。
小さな積み重ねが、意見を言いやすいチームをつくります。
困ったときには早めに相談する
「自分で解決できるはず」「こんなことを聞いたら迷惑だ」と思い、1人で抱え込む時間が長くなるほど、問題は大きくなりやすくなります。早めに相談することは、自分を楽にするだけでなく、チーム全体のリスクを減らすことにもつながるでしょう。
たとえば、業務の進め方に迷ったとき、上司に早い段階で声をかけるだけで修正の手間や時間を大幅に減らせることがあります。
「相手の時間を奪ってしまうのでは」「頼りないと思われるのでは」といった思い込みを手放し、適切なタイミングで助けを求める行動が、心理的安全性の高いチームの文化を醸成します。
愚痴や不満よりポジティブな言葉を意識する
職場での何気ない会話も、チームの雰囲気を形成する要素のひとつです。「あの人の仕事が遅い」「どうせ変わらない」といったネガティブな言葉が日常的に飛び交う環境では、メンバーは徐々に疲弊し、前向きな発言をしにくくなります。
もちろん、不満や不安を感じること自体は自然なことです。ただ、愚痴を言いたくなる場面で「どのようにすれば改善できるか」という視点の言葉に変えるだけで、会話の質は変わります。
たとえば「〇〇の部分が難しいので、このようにしたらいいと思うのですが」と伝えるだけで、批判ではなく提案になります。言葉の選び方1つで、チームの空気が少しずつ変わっていくでしょう。
心理的安全性のある職場づくりを進める際の注意点
職場の心理的安全性を高める取り組みをはじめるときには、進め方を誤らないことが重要です。
短期間で成果を求めすぎない
職場における心理的安全性は、研修を1回実施したり、上司が少し話し方を変えたりするだけですぐに高まるものではありません。チームの文化や人間関係は長い時間をかけて形成されるため、変化も時間がかかります。
たとえば、取り組み開始から数週間で発言数が増えないからといって、施策を頻繁に変更すると、現場は方針に振り回されます。「また新しい取り組みがはじまった」という受け止め方が広がれば、信頼は損なわれるでしょう。
短期間での目に見える変化を追うよりも、「会議で発言する人が増えた」「相談し合う雰囲気が出てきた」といった小さな変化を丁寧に拾うことが重要です。継続することで、長い目で見て職場の空気を改善につながります。
「何でもOK」であると勘違いしない
心理的安全性が高い職場は、何を言っても許される場ということではありません。この点を誤解すると、無責任な発言や低い基準が容認され、チームのコミュニケーションの質が下がる逆効果になります。
心理的安全性が目指すのは、「率直に意見を言える環境」と「高い質の仕事の基準」が両立している状態です。
たとえば、「失敗を責めない=手を抜いてよい」ではありません。「なぜ失敗したかを正直に話せる」ということです。
発言の自由と、互いへの敬意や責任感はセットで機能します。取り組みをはじめる前に、チーム内で認識をそろえておくことが、形骸化を防ぐ第一歩になるでしょう。
まとめ
職場における心理的安全性とは、意見や疑問、ミスを隠さず共有できる職場環境のことです。発言をためらう空気が広がると、問題の発見が遅れ、業務上の損失につながります。反対に、率直な対話が行われる職場では、課題が早期に共有され、改善も迅速に行われます。
職場の心理的安全性を高めるには、上司と部下がそれぞれ行動を見直し、継続的に改善を重ねることが効果的な方法です。
ただ、大きな変化を急ぐよりも、対話の質や信頼関係の変化に目を向ける姿勢が重要です。組織全体で取り組むことで、持続的な成長が期待できるでしょう。









