2025.10.31
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「副業はおすすめしない」はホント?データで見る実態と成功の法則
「副業はおすすめしない」という声を耳にしたことはありませんか?実際、副業に興味を持ちつつも一歩を踏み出せずにいる人は少なくありません。そこでこの記事では、Job総研の調査をもとに、副業の実態と「おすすめしない」と言われる理由、おすすめの副業の始め方まで徹底解説します。
「副業はおすすめしない」と言われがちなのはなぜ?
働き方改革の一環として、政府が副業・兼業を推進するなか、副業に関心を持つ人は年々増加しています。しかし一方で、「副業はおすすめしない」という声も少なくありません。そう言われるのはなぜなのか、実際に副業をしている人・検討している人が抱える不安や懸念を見ていきましょう。

収入に見合わない労力になるから
副業で大きく稼げると期待して始めても、現実は厳しいもの。多くの場合、すぐに目標の収入を得ることは難しく、本業が終わった後の貴重な時間や休日を費やす必要があります。
特に経験の浅いジャンルを選んだ場合、スキルを身につけて実績を積み、収入につなげるまでには一定の時間がかかるのが一般的。
Job総研の「2025年 副業・兼業の実態調査」でも、副業への不安や懸念として「収入に見合わない労力になる」と回答した人が43.4%で最多となりました。時間をかけた割に稼げない、元が取れないと感じてしまい、途中で挫折してしまうケースが多いことが分かります。
プライベートが犠牲になるから
副業を始めると、多かれ少なかれプライベートの時間が犠牲になります。家族や友人と過ごす時間はもちろんのこと、趣味に費やす時間、ゆっくり休む時間もこれまでどおりとはいきません。
たとえまとまった収入が得られたとしても、そのぶん心身の疲労が蓄積し、人生の充実度が逆に下がってしまう可能性も。
同じくJob総研の調査では、副業への不安として「プライベートが犠牲になる」が34.5%で2番目に多い結果となりました。
大切な人との関係や自分自身の時間を犠牲にしてまで収入を増やす価値があるのか。この問いに明確な答えを持てないまま副業を始めると後悔することになりかねません。
目標の金額を稼げないから

副業で得たい理想の月収は平均10.8万円。しかし、実際に副業で得られた月収の平均は5.4万円と、理想のほぼ半分にとどまります。この大きなギャップが、「副業はおすすめしない」という声につながっています。
「月10万円稼げたら生活が楽になる」「年100万円の副収入があれば」と期待して副業を始めたものの、実際にはその半分程度しか稼げない。その結果、費やした時間や労力が割に合わないと感じてしまうことに。
理想と現実のギャップに直面してモチベーションを保てなくなることが、副業を続けられない大きな理由の一つとなっています。
「おすすめしない」と言われる副業の特徴は?失敗しやすいパターンを知ろう
副業そのものは、目標収入を達成するための効果的な手段です。問題なのは、失敗しやすい副業を選んでしまうこと。
ここでは、始める前に知っておくべき「おすすめできない副業の特徴」を紹介します。
見えない作業が多く「実質時給」が低い
副業を選ぶ際、多くの人は「1件あたり〇円」「時給〇円」という報酬額に目が行ってしまいがち。目に見えない作業時間を考慮せず、楽観的な収入予測を立ててしまうケースが少なくありません。
実際のところ、副業の過程では、膨大な目に見えない作業時間が発生するもの。案件を探す時間、クライアントとのやり取り、修正対応、学習時間、移動時間など、報酬が発生しない作業を含めると、実質的な時給は大きく下がります。
たとえば、1件5,000円の案件でも、案件探しに1時間、作業に5時間、修正に2時間かかれば、合計8時間で5,000円。実質時給は約625円です。
副業を検討する際は、表面的な報酬だけでなく、すべての作業時間を含めて時給換算して判断することが大切です。
初期費用や前払いが大きい
副業を始めるために、高額な講座や教材、専門的な道具、サブスクリプションサービスなどの初期費用が必要になるケースがあります。「すぐに回収できる」という言葉に乗せられ、見切り発車で費用をかけてしまうのは非常に危険。
初期費用をかける前に、まず回収の見込みを具体的に試算しましょう。月にどれだけの案件を獲得できるのか、1件あたりの単価はいくらか、何カ月で初期費用を回収できるのか。
現実的なシミュレーションをせずに始めると、費用だけがかさんで収入が追いつかず、赤字のまま撤退することになりかねません。このリスクを防ぐには、低コストで小さく始められる副業を選ぶことが重要です。
特定のクライアントやプラットフォームに依存している
収入の入口が一つに偏ると、相手側の都合で収入が大きく変動するリスクがあります。
唯一のクライアントが契約を打ち切れば収入はゼロになりますし、事業が特定のプラットフォームに依存している場合には、手数料の引き上げや単価の見直し、アカウント停止などのリスクがあります。
こうしたリスクを分散するためには、特定のクライアントやプラットフォームへの依存を避け、発注元や集客先を複数持つことが大切。
問い合わせフォームや名刺、簡易サイトなどを用意して取引の間口を広げる。また、最低料金、追加費用、支払条件などを契約書で明文化し、外部の変化に左右されにくい仕組みを作ることも有効です。
副業する?しない?「今は見送るべき」ケース
副業に興味があっても、今すぐ始めるべきとは限りません。状況によっては、見送ったほうが賢明な場合も。ここでは、副業を始める前に確認すべき「見送るべきケース」を紹介します。
就業規則に触れる恐れがある
副業を始める前には、必ず勤務先の就業規則を確認しましょう。許可や届出が必要か、競業避止義務や守秘義務に触れないか、申告ルールはどうなっているか。曖昧なまま始めると、のちのちトラブルになる可能性があります。
厚生労働省のガイドラインでは、企業は就業規則で副業を「原則可」としつつ、競業や守秘、健康、業務支障などの合理的理由がある場合に例外的に禁止・制限できるとされています。
とはいえ、実際には企業ごとにルールが異なるため、不明点があれば人事や上司に事前に相談することが大切。無断で始めて懲戒処分を受けるリスクは避けましょう。
ワークライフバランスが維持できない

Job総研の「2023年 副業・兼業の実態調査」によると、副業・兼業をしている人の週あたり稼働時間は平均8.7時間です。あくまでも一つの目安ではありますが、今の生活でその時間を確保できない場合、無理に始めるのは危険かもしれません。
もともとの余暇が少ないにもかかわらず、睡眠時間を削る、家族との時間をなくす、趣味を諦めるといった形で時間を捻出すると、ワークライフバランスが大きく崩れます。場合によっては心身の健康を害し、本業のパフォーマンスにも悪影響が出る可能性も。
副業は収入を増やす手段ですが、健康を犠牲にしてまで続ける価値があるかは慎重に考える必要があります。
家族の同意がない
副業を始めることで影響を受けるのは、自分だけではありません。家族と過ごす時間が減る、家事や育児の分担が変わる、休日の予定が立てにくくなるなど、家族の生活にも大きな変化が生じます。
家族が副業に反対している場合、無理に始めると家庭内の不和につながることも。副業で収入が増えても、家族関係が悪化してしまっては本末転倒。まずは家族としっかり話し合い、理解と協力を得ることが大切です。
副業をする理由、どれくらいの時間を使うのか、家族との時間をどう確保するのかを明確に伝え、同意を得てから始めるのがおすすめです。
「おすすめしない」を回避!成功する副業の始め方
失敗しやすい副業の特徴や見送るべきケースを理解したら、次に知りたいのは成功するための具体的な方法。ここでは、リスクを抑えながら副業を軌道に乗せるための4つのポイントを紹介します。
小さくはじめる
副業を始めるとき、いきなり大きな投資をしたり、高すぎる目標を掲げたりするのはNG。最初は低コストで着手し、短納期で完結する小さな案件から始めることが成功の鍵です。
小さく始めることの最大のメリットは、撤退コストを低く抑えられること。もし自分に合わないと感じたり、思うような結果が出なかったりしても、大きな損失を出さずに方向転換できます。
また、小さな案件を繰り返すことで、自分の作業ペースや得意・不得意が見えてくるメリットも。
経験を積みながら徐々にステップアップしていく方が、結果的に長く続けられます。最初から完璧を目指すのではなく、試行錯誤しながら進めていきましょう。
本業のカレンダーに合わせる
副業を無理なく続けるために重要なのが、本業のスケジュールを最優先に考えること。本業の繁忙期に副業の納期を詰め込んでしまうと、どちらも中途半端になり、心身ともに疲弊してしまいます。
こうした事態を避けるためには、本業の繁忙期はあらかじめ把握しておき、その期間は副業を控えめにする、もしくは納期を分散させる工夫が必要。また、「火曜と木曜の夜2時間」「土曜の午前中」のように、週の中で副業をする曜日や時間帯を固定すると生活リズムが整いやすくなります。
何より大切なのは、完全に休む日を確保すること。休息なしでは長続きしないことを忘れずに。
成果を記録して次に生かす
副業で成長し、収入を増やしていくには、振り返りと改善が欠かせません。効率的に最適化を進めるためにも、作業時間や成果物、学んだこと、改善点などは丁寧に記録する習慣をつけましょう。
記録を残すことで、自分の成長が可視化されます。最初は8時間かかっていた作業が、慣れてくると5時間で終わるようになる。そんな変化を実感できると、モチベーション維持もしやすくなります。
また、記録は単価交渉や次の案件獲得の際の強力な材料にもなります。「前回より作業時間が短縮できた」「クライアントから高評価をもらった」といった実績を示すことで、より良い条件での契約もスムーズに。記録は未来への投資です。
将来につながる副業を選ぶ
副業を検討するにあたっては、自分の将来やキャリアにプラスになるものを選ぶことが重要です。時間を切り売りするだけの副業では、長期的な成長は望めません。
具体例としては、次のようなものが挙げられます。
- 本業で培ったスキルをさらに深める副業
- 新しい分野に挑戦してキャリアチェンジの足がかりにする副業
- 将来的な独立や起業につながる副業
これらの中から、自分の目指す方向性に合った選択をしましょう。
副業で得た経験やスキル、人脈や実績は、転職や独立の際の大きな武器になります。目先の収入だけでなく、長期的な視点で副業を選ぶことが成功への近道です。
「おすすめしない副業」チェックリスト
副業を始める前に、自分が検討している副業が「おすすめできない副業」に該当していないかチェックしましょう。当てはまる項目が多いほど、リスクが高い副業である可能性があります。
| □ 初期投資額が大きい|設備費、仕入れ、加盟金など高額な初期費用は、回収できないリスクが高い □ 本業の就業規則に違反している| 副業禁止規定や競業避止義務に触れる案件は、解雇リスクがある □ 需要や市場規模がわからない |「自分がやりたいこと」だけで選ぶと、収益化できずに終わる可能性が高い □ 撤退ラインや損切りルールを決めていない|「いつまでに結果が出なければやめる」という基準がないと、ズルズル続けてしまいがち □ 時給換算すると最低賃金以下になる|作業量に見合わない報酬の案件は、貴重な時間を浪費することに □ 睡眠時間を大幅に削る必要がある|深夜作業が常態化する副業は、健康と本業パフォーマンスの両方を損なう原因に □ 法的にグレーゾーンまたは違法性がある|転売の一部手法や、無許可営業など法に触れる恐れがある案件はNG □ 契約内容や報酬体系が書面で明示されない|約束だけの取引は、トラブル時に証拠がなく泣き寝入りする可能性がある □ 個人情報や機密情報の取り扱いに関するルールがあいまい|本業で得た情報を使う、または情報管理が甘い案件は大きなリスクを伴う □ スキルアップや経験値が得られない|単純作業の繰り返しだけでは、将来的なキャリアにつながらない |
▼チェック結果の目安
- 【0個】おすすめできる:安心して始められる副業です。
- 【1〜2個】条件付きでおすすめ:リスクを理解し、対策を講じれば始めてもよい
- 【3〜4個】おすすめできない:失敗リスクが高いため、別の選択肢を探すべき
- 【5個以上】おすすめできない:手を出すべきではありません
【副業】結局は自分次第!情報に振り回されず、賢い選択を
「副業はおすすめしない」という声があるのは事実ですが、それはすべての副業に当てはまるわけではありません。大切なのは、避けるべきリスクを理解すること。「今は副業を見送る」というのも立派な選択です。
ネット上には「副業で月30万円稼げる」といった情報があふれていますが、すべてを鵜呑みにする必要はありません。自分の状況、本業とのバランス、家族の理解、そして何より自分が何を大切にしたいのかを考えて決断しましょう。
副業は、あくまでも人生を豊かにするための選択肢の一つ。情報に振り回されず、自分にとっての正解を見つけてください。
参照
副業・兼業|厚生労働省
Job総研『2025年 副業・兼業の実態調査』を実施しました – Job総研プラス
副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説
2023年 副業・兼業の実態調査を実施しました – Job総研プラス








