2025.10.31

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正社員の副業はどこまでOK?はたらき方の変化とリアルを解説

「副業を始めてみたいけれど、会社に許可は必要?」「そもそも正社員が副業をするのは問題ないの?」はたらき方が多様化する中、副業への関心はますます高まっています。一方で、ルールや実態が分からず一歩を踏み出せずにいる人も。そこでこの記事では、Job総研の調査結果を中心に、法制度から企業の対応、実際に副業をしている人の割合まで、正社員の副業にまつわるリアルを解説します。

正社員の副業は「原則OK」法制度と会社ルールの関係

正社員の副業を取り巻く環境は、法律と会社のルール、そして社会の変化が複雑に絡み合っています。まずは、副業に関する基本的な考え方と、企業の対応状況について見ていきましょう。

副業禁止は法律違反ではない

厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」内で示した「モデル就業規則」では、労働者の自発的な副業・兼業を原則認める方向が示されています。

また、副業・兼業に関する裁判例でも、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由とされています。

とはいえ、企業が副業を禁止すること自体は法律違反ではありません。企業側には就業規則で「許可制」や「届出制」を採用する自由があり、実際に多くの企業が事前承認を必要としているのが現状です。

つまり、「法律上は副業OK」だとしても、会社のルールで制限される場合があるということ。副業を検討する際は、まず自社の就業規則を確認することが欠かせません。

副業容認企業は年々増加

企業の副業に対する姿勢は、確実に変化しつつあります。

Job総研の「2023年 副業・兼業の実態調査vol.2」(2023年10月公開)では、「副業は会社で許されていますか」との問いに対し、「許されている派」が68.5%と過半数を占めました。内訳は「条件なし」が29.6%、「条件あり」が38.9%と、条件ありが多数派の結果に。一方、「許されていない派」は31.5%でした。

制度として明文化している企業も徐々に増えており、正社員の副業はもはや「例外」ではなくなりつつあります。

とはいえ、約3割の企業では依然として副業が認められていないのもまた事実。副業を検討するにあたっては、自社の規定を忘れずに確認することが大切です。

副業をしている正社員はどれくらい?実態をデータでチェック

正社員の副業は、もはや特別なはたらき方ではなくなりつつあります。では、実際に副業をしている正社員の割合とはいったいどの程度なのでしょうか?ここでは、正社員の副業の実態をJob総研の調査からひも解きます。

副業をしている正社員は約4割、今後「始めたい」層は6割超に

Job総研の「2025年 副業・兼業の実態調査」(2025年7月公開)によると、回答者357人のうち「副業・兼業の経験あり」と答えた人は39.2%でした。内訳は「現在している」21.6%、「過去にしていた」17.6%で、約4割が副業経験を持っているという結果に。

さらに「今後の副業・兼業意向」について尋ねたところ、「今後も続けたい」「今後始めたいと思う」「今後始めたいが事情によりできていない」など、「意向あり」の層は合計66.7%に達しています。

この結果からわかるのは、副業を前向きに捉える人が多数派の現状。副業が一時的なブームではなく、はたらき方の選択肢として定着しつつあることが明らかとなりました。

女性正社員の副業意欲は全体を上回る水準に

Job総研の「2023年 女性の副業実態調査」(2023年9月公開)によると、女性回答者263人のうち「副業の経験あり」と答えた割合は30.0%、「経験なし」は70.0%でした。

また、副業に興味がある女性161人に今後の意向を尋ねると、「副業をしたいと思う派」が96.3%に達し、非常に高い意欲が示されています。この背景には、家庭や育児と両立しながらも自分の可能性を広げたいという、女性ならではのはたらき方志向の存在がうかがえます。

副業への関心は広がる一方で、不安や課題も残る

Job総研の「2025年 副業・兼業の実態調査」で、「副業への不安や懸念」を尋ねたところ、「収入に見合わない労力になる」「プライベートが犠牲になる」などが上位に挙げられました。

副業は、収入増やスキルアップといったメリットがある反面、時間的・体力的な負担も伴うもの。副業を検討する際は、得られるメリットだけでなく、時間・負担・成果のバランスを考慮することが大切です。

正社員におすすめの副業とは?始めやすく続けやすい選択肢

「副業を始めてみたいけど、そもそもどんな種類があるか分からない」という人は少なくありません。ここでは、正社員が始めやすく続けやすい副業について、3つのジャンルに分けて解説します。

スキルを活かす副業(専門性を活かせるタイプ)

正社員におすすめの副業として、まず挙げられるのが、本業で培った専門スキルを活かせる副業です。具体的には次のようなジャンルです。

  • ライティング
  • デザイン
  • プログラミング など

これらの副業は、業務委託契約ではたらけるため自己裁量が高く、自分のペースで進めやすいのが特徴。本業の知識を応用できるのでスキルアップにもつながります。

一方で、納期や品質の管理は自己責任。クライアントとのやり取りや成果物の責任も自分で負う必要があります。

フリーランスサイトやクラウドソーシングを利用すれば、案件探しから契約、報酬受け取りまでスムーズに進められます。

時間に柔軟な副業(スキマ時間を活かすタイプ)

定時勤務後や休日はもちろん、ちょっとしたスキマ時間を活かせる副業は、参入ハードルの低さで人気を集めています。

  • データ入力
  • オンライン講師
  • アンケートモニター など

これらの副業は、特別なスキルが不要で始めやすく、短時間から取り組めるのがメリット。本業が忙しい時期は休み、余裕がある時に稼働するといった柔軟なはたらき方も可能です。

ただし、取り組みやすいぶん単価は低めなので、まとまった収入を得るには時間がかかる場合も。目的を明確にし、「月に◯万円稼ぐ」といった具体的な目標を立てて続ける工夫が必要です。

将来のキャリアにつながる副業(学び直し・実践型)

「副業を将来のキャリアにつなげたい」という人におすすめなのが、新たに学びながら副収入を目指すリスキリングタイプの副業。具体的には、次のようなものが挙げられます。

  • SNS運用代行
  • Webマーケティング補助
  • 動画編集 など

これらの副業の特徴は、実践を通じてスキルを身につけられること。「収入+スキル獲得」の両立ができ、将来の転職や独立の準備にもなります。

現在の仕事とは異なる分野に挑戦することで、視野が広がり、本業にも良い影響を与える可能性も。学びながら稼げる副業として、キャリアの幅を広げたい人に適した選択肢です。

正社員が副業を始める前に確認すべきポイント

正社員が副業を始めるにあたっては、事前に必ず確認しておくべきことがあります。会社のルール違反や税務上のトラブルを避けるため、就業規則の確認と税金の仕組みについて理解しておきましょう。

就業規則と契約内容の確認は必須

会社によっては、業務時間外の副業でも禁止・制限が設けられています。特に注意したいのが、競業避止義務(同業他社での就業禁止)と守秘義務

労働契約法第3条第4項は、次のように定めています。

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

引用元:e-Gov 法令検索|労働契約法第3条第4項

就業規則で副業が「許可制」になっている場合は、必ず事前に申請を。無断で副業を始めると、規則違反として懲戒処分の対象になる可能性も。

自社の就業規則と労働契約の内容をしっかり確認することが、トラブルを避ける第一歩です。

バレるきっかけの多くは「住民税」

勤務先に隠れての副業がバレる理由として、大半を占めるのが「住民税」の徴収です。

通常、住民税は本業と副業を合算した金額を元に自治体から勤務先(基本的には金額が大きい方=本業の勤務先)に通知され、給与から天引きされます(特別徴収)。副業をしている場合、本来の住民税よりも天引き額が多くなるため、金額の誤差から会社にバレる可能性が否定できません。

このリスクを回避する方法として、自分自身で住民税の納付をおこなう「普通徴収」へ切り替える方法もありますが、運用には自治体ごとに異なるため、やはり会社の規定に従うのが基本。

なお、フリーランスや業務委託のような「雇われていない副業」の場合、基本が普通徴収です。本業の会社には通常の給与分の住民税しか通知されません。

副業の始め方と注意点|トラブルを防ぐために

副業を始める際は、あらかじめ心に留めておきたいいくつかの注意点があります。トラブルリスクを抑えるため、ここでチェックしておきましょう。

業務委託か雇用かで法律が異なる

副業が雇用契約の場合、労働基準法が適用され、本業と副業の労働時間が通算されます。つまり、両方の労働時間を合わせて1日8時間・週40時間を超える部分は時間外労働となり、企業側は割増賃金を支払う義務が生じることに。

一方、業務委託契約(フリーランス)であれば労働基準法の適用外。労働時間の通算は行われませんが、契約内容の確認は重要です。形式上は業務委託でも、実態として使用者の指揮命令下にあると判断されれば労働契約とみなされる可能性があるからです。

副業先と契約を結ぶ際は、雇用契約なのか業務委託契約なのかを明確にし、労働時間の管理方法や報酬の支払い条件についてもしっかり確認しておくことが大切です。

時間管理とメンタルの両立を意識する

複数の仕事を掛け持つ副業では、自由時間や休養が削られてしまいがち。短期的な収入増やスキル習得の一方で、疲労や集中力低下につながるケースが多く見られます。

こうした事態をふまえ、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、はたらきすぎによる健康リスクへの配慮が求められています。

心身の健康を維持したままで副業をするためには、業務時間や稼働量を可視化し、本業・副業・私生活のバランスを定期的に見直すことが大切。「今月は本業が忙しいから副業は控える」「月末は副業の納期があるから残業を減らす」など、柔軟な調整を心がけましょう。

体調やメンタルの不調を放置せず、無理のないペースで続ける姿勢が長期的なキャリア形成にもつながります。副業は「頑張りすぎないこと」も成功の鍵なのです。

副業は「自由なはたらき方」の選択肢

約7割の企業が副業を容認し、4割の正社員が副業を経験、そして7割近くが副業に前向きな意向を持っている。この数字が示すのは、「副業=特別なはたらき方」ではなく、現実的な選択肢になりつつある現状です。

とはいえ、副業を始めれば必ず成功するわけではありません。会社のルールを守ること、時間管理を徹底すること、健康を維持すること。これらを怠れば、本業にも悪影響を及ぼすことに。

大切なのは両立の仕方。自分のトータルキャリアを前提に、副業を「自由なはたらき方の選択肢」に加えてはいかがでしょうか。

参照:厚生労働省|副業・兼業の促進に関するガイドライン
参照:「2023年 副業・兼業の実態調査vol.2」を実施しました – Job総研プラス
参照:Job総研『2025年 副業・兼業の実態調査』を実施しました – Job総研プラス
参照:「2023年 女性の副業実態調査」を実施しました – Job総研プラス

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