2025.10.1

定年後の再雇用|どんな制度?お金はどうなる?気になる疑問をまとめて解消!

「定年後もはたらかないと生活が不安……」「生涯現役で過ごしたい」そんな人にとって、大切な選択肢になるのが「定年後の再雇用」。この記事では、気になる定年後の再雇用について、制度の概要や関連情報を分かりやすく解説。知っておきたい老後に必要な資金や手取り額も、Job総研の調査結果を交えて紹介します。

数字で見る「定年後の不安の正体」

定年後の再雇用を考える背景には、漠然とした経済的不安があります。では、いったいどのくらいの人が老後の生活に不安を感じ、どのくらいの資金を必要と考えているのでしょうか。まずはJob総研の調査結果をもとに、「定年後の不安の正体」を紐解いていきましょう。

8割が「定年後の不安あり」|「生活費・医療費の不安」が最多

Job総研の調査によれば、定年後の生活に「不安がある」と答えた人は実に80.6%。内訳は「とても不安」26.1%、「不安がある」31.7%、「どちらかといえば不安がある」22.8%でした。

もっとも多いのは生活費や医療費に関する不安で、「病気や介護が重なったらどうするのか」「年金だけでは日常生活を維持できないのでは」という声が多数。

また、社会保障制度の先行きへの懸念や「家族に負担をかけたくない」という心理的不安も少なくありません。こうした背景から「定年後もはたらいて収入を確保する必要がある」と考える人が増えている状況です。

定年後に必要だと思うお金|平均は4,438万円

同調査で「定年後に必要だと思う資金額」を尋ねたところ、平均は4,437.8万円。中央値は3,000万円、最頻値も3,000万円でした。現実的に3,000万円を目安に考える人が多い一方で、十分に蓄えられない人も少なくない実態が明らかに。

「全く蓄えられない」14.3%、「蓄えられない」16.7%、「どちらかといえば蓄えられない」12.9%と、合計43.9%が資金準備に不安を抱えているのが現状です。

Job総研がおこなった「82%が老後資金に不安!?皆さんの不安有無や理由は?」とのアンケートには、次のような声も寄せられました。

ロストジェネレーションでまともな給料を貰えるようになるまでとても時間がかかりました。生涯年収が低い為老後に回す資金に乏しいです。

そもそも「再雇用」って何?|いまのルールを把握

定年後再雇用を理解するには、まず制度としてどう位置づけられているのかを押さえる必要があります。ここでは基本の定義と、65歳・70歳を節目にした法的ルールを確認します。

「再雇用」とは

再雇用とは、定年に達した後いったん退職し、改めて同じ会社と雇用契約を結んではたらき続ける仕組みのこと。雇用形態に制限はありませんが、実態としては嘱託社員や契約社員としての再雇用が大半です。

一度退職を経るため退職金が支給され、その後は給与や労働条件が見直されるのが一般的。定年前と比べて賃金が30〜50%下がるケースも少なくありません。

契約期間は1年ごとに更新され、業務内容や責任範囲が軽減されることも多いのが特徴。再雇用は「65歳までの雇用確保義務」に対応する代表的な手段であり、勤務延長や定年引上げ・廃止と並ぶ制度のひとつとして位置づけられています。

65歳までは「希望者全員」が大原則

高年齢者雇用安定法では、定年を65歳未満に定めている企業に対して以下の3つのうち、いずれかの措置を講じることを義務づけています。

  • 65歳までの定年の引上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年の廃止

継続雇用制度には勤務延長と再雇用があり、勤務延長は退職を挟まず労働条件も大きく変わらないのに対し、再雇用は一度退職したうえで改めて契約する点が異なります。※

いずれにしても、希望する人が65歳までははたらけるよう法律で保障されている状況。これは少子高齢化と労働力不足を背景にした、国の明確な方針です。

※勤務延長=定年を超えて同じ条件で勤務|再雇用=定年退職して再契約

70歳までは「努力義務」

2021年の法改正により、企業には70歳までの就業機会を確保する「努力義務」が課されました

これは65歳までの義務に続く新しい枠組みで、雇用の延長だけでなく、業務委託契約や他社での就業、さらには会社が出資する団体の社会貢献活動に従事するケースなど、雇用以外の方法も含まれます。

義務ではなく努力義務であるため企業ごとの対応に差がありますが、70歳までの就業機会をどう確保するかが企業に問われている現状。今後は定年後再雇用を超えて、幅広いはたらき方の選択肢が広がる可能性があります。

再雇用で「手取り」はどう変わる?

定年後再雇用を検討するにあたり、「手取り収入がどう変わるか」が気になる人は多いもの。ここでは再雇用後の手取りについて、在職老齢年金、高年齢雇用継続給付、社会保険の3つの視点から整理していきましょう。

「在職老齢年金」のキホン|2025年度は「51万円」

65〜69歳の人は、老齢厚生年金(月額換算の基本月額)と賃金(月相当額=給与を月換算したもの)の合計が基準額を超えると年金が減額される「在職老齢年金」の仕組みに該当します。これは、一定以上の収入がある高齢者は、年金を支える側に回ってもらうとの考え方のもと整備された制度です。

2025年度の基準は51万円で、これを上回ると超過分に応じて年金の一部が支給停止となる仕組み。さらに2026年4月からは基準額が62万円へと引き上げられる予定です。

この改正により、65歳以上で就労を続ける人が年金を減額されにくくなるため、より自由度の高いはたらき方が可能になります。

「高年齢雇用継続給付」は「原則10%上限」

60〜65歳の間に賃金が下がった場合、雇用保険から支給されるのが「高年齢雇用継続給付」

これまでは支給率の上限が15%でしたが、2025年4月1日以降に60歳に達した人からは上限が10%に引き下げられました。

この給付は、60歳時点の賃金と比較して賃金が75%未満に低下した場合に受給可能ですが、支給対象外となる条件もあります。そのため「思ったより受け取れなかった」という声も。

給付率は賃金低下率に応じて段階的に変わり、賃金が大幅に下がるほど支給率が高くなります。

制度に該当する場合は受給の可否を事前に確認し、在職老齢年金との調整も考慮することが大切。特に60歳直後に賃金が大きく下がる場合は、この給付の受給が家計の安定に大きく影響する可能性があります。

65〜69歳と70歳以上で「社会保険」はこう変わる

65歳以降もはたらく場合、大切なポイントとなるのが社会保険の扱い。

70歳になると原則として厚生年金の被保険者資格を喪失し、保険料の支払いは終了します。ただし、老齢年金の受給資格期間を満たしていないなどの条件を満たす人は、65歳以上70歳未満までの間「高齢任意加入制度」を利用して厚生年金の加入を延長することが可能。

健康保険は70歳以降も加入が続く場合がありますが、就労先の規模や条件によって加入対象から外れ、地域の国民健康保険に移行するケースもあります。

さらに75歳になると、健康保険は自動的に後期高齢者医療制度に切り替わり、保険証や保険料の計算方式・負担割合が変わることに。

保険料は所得に応じて決まり、通常の健康保険とは異なる仕組みになるため、収入や支出の見通しを立てる上で大きな転機となります。 これら社会保険の切替時期を理解しておくことは、収入と支出のバランスを把握するうえで重要です。

再雇用で条件が下がるのは仕方ない?|処遇ルールとトラブル回避のコツ

定年後再雇用になると「給与が減るのは当たり前」と思われがち。しかし、法律上は一律の減額は認められておらず、処遇差には合理的な理由が求められます。ここでは厚労省のガイドラインをもとに、どのような差が不合理とされ、納得できる再雇用条件をどう見極めるかを整理します。

「同一労働同一賃金ガイドライン」のポイント|不合理な待遇差はNG

厚労省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、雇用形態の違いによる不合理な待遇差を禁止しています。

再雇用者(有期雇用)と正社員の間で問題化しやすいのは、基本給だけでなく手当・福利厚生・教育研修の扱い。たとえば「通勤手当」「食事手当」「慶弔休暇」などは職務内容に関わらず支給が必要とされる一方、「役職手当」や「住宅手当」は職務や責任の有無に応じた差が認められます。

裁判例でも「嘱託だから一律で下げる」といった説明は不合理とされるケースが多く、企業側には処遇差の合理性を説明する義務がある状況。はたらく側も、待遇差が職務や責任の違いに基づくものかを確認する視点が欠かせません。

下がるなら理由を|「合理的な差」のチェックポイント

すでに触れたように、同一労働同一賃金ガイドラインでは、雇用形態による不合理な待遇差が禁止されています。

納得できる処遇差を見極めるにあたり、チェックしたいのは以下の3点。

  • 手当の趣旨と対象範囲
  • 定年前と比べた役割の変化
  • 説明内容の記録

面談では「この手当はどんな役割に対するものか」「定年前との違いは何か」を質問し、曖昧な回答しか得られない場合はメモに残しておくことが大切。将来的に条件を見直す場面でも、記録を残すことで交渉しやすくなります。

「再雇用」|会社と話す前に整理しておきたいこと

定年後再雇用は会社との面談で条件が決まるため、事前準備が欠かせません。ここでは面談前に整理すべき3つのポイントを紹介します。

「できること・できないこと」を整理する

まずは、自分が無理なくはたらき続けられる条件を言語化しておきましょう。

仕事内容や責任範囲、勤務日数や時間帯、残業の可否、勤務地や通勤距離、在宅勤務の比率などを具体的に考えることが大切。さらに、体力や通院スケジュール、家族の介護負担、家庭との両立の有無も判断材料になります。

「週3日勤務なら可能」「責任あるポジションは体力的に難しい」といった優先順位トップ3を決めておくと、面談での交渉がスムーズ。

「できること・できないこと」を整理することで、自分の意志を相手に伝えやすくなり、条件のミスマッチを防ぐことができます。

「必要なお金」も再確認

再雇用ではたらく目的の多くは生活費の確保です。そのために重要なのは、細かな家計簿レベルの計算ではなく「制度の節目」を理解しておくこと

具体的には、ねんきんネットで確認できる年金の見込額を押さえ、65歳以降に在職老齢年金が減額対象となるかを把握しておきましょう。

また、60〜65歳は高年齢雇用継続給付の対象になる可能性があります。70歳になると厚生年金の被保険者資格が原則喪失し、75歳には医療保険が後期高齢者医療制度に切り替わる仕組み。

これらの節目を知っておけば、再雇用後に「必要なお金を稼げるかどうか」を現実的に判断でき、安心してはたらき方を選べます。

会社に確認したいポイントを書き出す

再雇用で定年前とまったく同じ条件ではたらけるのはレアケース。多くの場合、業務内容や待遇が変わります。

だからこそ、面談では「何が同じで、何が変わるのか」を具体的に確認することが重要。たとえば、業務内容や責任範囲、基本給や各種手当の基準、契約の更新回数や上限、評価や昇給の仕組みなどは必ず質問すべきポイントです。

また、就業規則や賃金規程といった根拠資料を提示してもらえるかどうかもチェックしておきましょう。事前に質問リストを作っておけば、面談の場で聞き漏らしがなくなり、条件を明確に理解したうえで合意できます。

納得感のある再雇用につなげるためには、この準備が欠かせません。

自分の市場価値を客観的にチェックする

再雇用で賃金が下がることはありますが、あなたの長年の経験とスキルに見合った適正な年収水準を知っておくことは非常に重要です。

会社が提示する再雇用後の条件が、同一労働同一賃金のガイドラインに照らして合理的かを判断するためにも、まずはあなたの市場価値を確認してみましょう。

dodaの「年収査定診断」であれば無料で市場価値を可視化することができます。

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市場価値をチェックし、納得のいく再雇用条件を獲得するためにも、「年収査定診断」を活用してみてはいかがでしょうか。

もし「再雇用以外」を選ぶなら?

定年後のはたらき方は、再雇用だけに限りません。ここではより自分に合ったはたらき方を選ぶヒントとして、再雇用以外の主なはたらき方を紹介します。

別の会社ではたらく

定年後は再雇用だけでなく、別の会社でパートや契約社員としてはたらく道もあります。

求人の幅が広がるため、家から近い勤務先や、短時間勤務などライフスタイルに合ったはたらき方を選びやすいのがメリット。ただし募集には季節性があり、人気の条件は競争率が高い傾向にあります。

また、体力面や通勤負担も考慮が必要。求人票では「週所定労働時間」「社会保険加入条件」「残業の有無」を必ず確認し、面談時にはシフトの固定や変動の有無も聞いておくと安心です。

柔軟にはたらきたい人や新しい職場環境に挑戦したい人におすすめの選択肢です。

「請負」ではたらく

会社に雇われるのではなく、顧問やフリーランスとして請け負うはたらき方もあります。

請け負いのメリットは、自分の経験や専門知識を活かし、時間やはたらき方に裁量を持てること。一方で、責任の範囲が広がるため契約内容の確認が欠かせません。期間、守秘義務、競合禁止、報酬の支払い条件などは文書で明確にする必要があります。

社会保険や税金は自己管理が基本。確定申告や国民健康保険への切替を忘れずにおこないましょう。案件の獲得は、前職で培った人脈や専門サイト、紹介サービスを活用できます。

自律的にはたらきたい人には、検討する価値のある選択肢です。

商売をはじめる

中には自分の店を持つ、オンライン販売を始めるなど、起業や副業として商売に挑戦する人もいます。

やりがいや自由度の高さが魅力ですが、初期費用や固定費の負担が大きいとリスクも高まる傾向に。成功のためには「小さく始める」ことが鉄則です。

たとえば在庫や設備投資を最小限に抑え、売れ行きを見ながら徐々に拡大する方法であれば、万が一のリスクも最小限。また「どの時点で撤退するか」というラインを先に決めておくことで、失敗時のダメージを減らせます。

家族の同意を得られるか、健康上のリスクを考慮できるかも重要な判断基準。リスク管理を前提に挑戦できるなら、定年後の新しい生き方として大きな可能性を秘めています。

再雇用は選択肢のひとつ|自分らしい老後を実現しよう

定年後のはたらき方は「再雇用」がもっとも一般的ですが、それが唯一の答えではありません。

無理なくはたらき続けるには、制度や収入の変化を理解し、自分の希望と健康、家庭事情に照らして検討することが大切。別の会社や業務委託、起業といった道も含めて比較しながら納得できる形を選ぶ必要があります。

定年後の再雇用は、人生後半をどう過ごすかを考える出発点のひとつ。準備と情報整理を重ね、自分らしい老後を実現しましょう。

参照:『2024年 定年に関する意識調査』を実施しました – Job総研プラス
【Job総研/公式】82%が老後資金に不安!?皆さんの不安有無や理由は? | JobQ[ジョブキュー]
高年齢者の雇用 |厚生労働省
高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~|厚生労働省
在職老齢年金制度の見直しについて|厚生労働省
在職老齢年金の計算方法|日本年金機構
令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します|厚生労働省
年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整|日本年金機構
70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き|日本年金機構
高齢者医療制度 |厚生労働省
在職中の年金(在職老齢年金制度)|日本年金機構
後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい? | 政府広報オンライン
従業員が70歳になったとき|日本年金機構
同一労働同一賃金ガイドライン|厚生労働省

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