2025.08.29

やってはいけない退職時の行動は?引き止めへの対処と円満退職の手順を紹介

会社を辞めたいと考えている人のなかには、「会社に迷惑をかけずに円満に退職したい」「退職時のNG行為が知りたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、円満退職のために、やってはいけない退職時の行動や正しい退職手続きの手順について解説します。

やってはいけない退職時のNG行動7選

Job総研の「2022年 退職に関する実態調査」によると、転職が当たり前とされている昨今でも、約4割の人が退職未経験であることがわかっています。

そこで、退職の経験がなく、どのように行動すれば円満退職ができるのかわからない人に向けて、以下では退職時にやってはいけない7つのNG行動を解説します。

対応を誤るとこれまで築いた信頼や評価を一気に失う可能性があるため、これらの行動を理解し、円満退職を目指す参考にしてください。

周囲に何も伝えずバックれる

退職時に避けるべきNG行動のひとつが、周囲に何も伝えずに突然会社に来なくなる、いわゆる「バックれる」行為です。バックれる行為は、会社に多大な迷惑をかけるだけでなく、法的なリスクも伴う可能性があります。

実際に、必要な手続きをしないまま音信不通になった従業員がいたことで、「手紙や電話、特定記録等、余計な仕事がいつまでも続いた」という周りからの不満の声もあります。

また、正規の手続きを踏まないことで、最終給与の支払いや、失業保険の給付に必要な離職票の発行に影響を及ぼす可能性もあります。

どのような理由があっても、無責任な形で退職することは避けるべきです。退職の意思を伝えるのが怖くても、必ず上司と対面して、適切な手続きを踏むようにしましょう。

直属の上司以外に先に伝える

退職を決意した際、直属の上司よりも先に会社の同僚や他部署の人に伝えてしまうのはマナー違反です。これはビジネスマナーに反する行為であり、無用なトラブルを引き起こす原因となります。

万が一、人づてに上司の耳に入ってしまった場合「なぜ自分に最初に報告しないんだ」と不信感を抱かせることにもつながります。その後の退職交渉が感情的なものになり、円満退職から遠ざかってしまうでしょう。

退職を決意したら、まずは直属の上司に「個人的なご相談があり、お時間をいただけますでしょうか」と声をかけ、1対1で落ち着いて話せる場を設けてもらう必要があります。上司と対面で話して納得してもらうことが、円満な退職につながる一歩です。

会社への不平不満を退職理由にする

退職理由として、会社や上司への不満をそのまま伝えるのは避けたほうが賢明です。Job総研の「2022年 退職に関する実態調査」によると、退職経験のある人のうち4割以上が、上司へ嘘の退職理由を伝えたと回答しています。

たとえ本音であってもネガティブな理由を強く主張すると、「給与を上げるから」「部署を異動させるから」などと条件交渉や引き止めに遭い、話をこじらせてしまうケースも少なくありません。

また、実際に「退職者が送別会で不満をぶちまけ、退職しない人までも不満をぶちまけ 続々と退職者が出るのではないかという送別会となった」という声もあり、退職者が不満を漏らしてしまうことで、退職をしない人にまで悪影響を及ぼす可能性もあります。

円満退職を実現するためには、「新しい分野に挑戦したい」「将来のために専門性を高めたい」などのキャリアプランに関することや家庭の事情を理由にすることで、快く送り出してくれる可能性が高まります。

繁忙期やプロジェクトの途中で辞める

会社が忙しい時期やプロジェクトの真っ最中に退職を申し出るのは、周囲への迷惑が大きく、非難の対象になりやすい行動です。業務の引き継ぎが困難になり、職場全体の士気や信頼関係にも悪影響を及ぼします。

とくにチームで動いている場合、自分の抜けた穴を他のメンバーがカバーすることになり、業務の質や進捗状況にも影響を与えかねません。

実際に、区切りの悪いタイミングで退職者が出る場合には人員補填がされないため、残った人で業務を分担することになるという不満の声もあります。

そのため、会社の年間スケジュールやプロジェクトの進行状況を把握したうえで、可能な限り繁忙期を避けた退職タイミングを検討しましょう

退職希望日ギリギリに退職を伝える

退職希望日の直前に退職を申し出ると、業務の引き継ぎや後任の準備が間に合わず、同僚や上司に過度な負担をかけることになります。

実際に「突然辞めることが発表されて、引き継ぎ期間があまりなかった」という現場の声もあるため、自分の都合だけでなく周りへの影響を考えることも重要です。

法律上は、退職日の2週間前に申し出れば退職できる(民法627条)とされていますが、あくまで法律上の最低ラインであり、円満退職を目指すうえでのマナーとは異なります。

まずは自社の就業規則を確認したうえで、一般的には退職希望日の1〜2ヶ月前には上司に伝えるのが理想です。

早めに相談することで、有給休暇の消化を含めた退職日までのスケジュール調整がしやすくなり、会社側も余裕を持って後任の採用や引き継ぎの準備を進められます。

出典:民法 | e-Gov 法令検索|第六百二十七条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

周囲に転職先を漏らす

退職日を迎えるまでは、転職先を具体的に公表するのは控えるのが賢明です。とくに、同業他社や競合企業への転職の場合、引き抜きにあったと誤解されたり、会社の機密情報を持ち出すのではないかと勘繰られたりするリスクがあります。

万が一、職場の人間関係がこじれている場合、腹いせに転職先へ根も葉もない噂を流されるといった嫌がらせの可能性もゼロではありません。

また、転職先によっては情報管理の観点から公表を控えるよう指示されるケースもあります。退職までは必要以上に情報を開示しないことが、周囲と良好な関係を保つポイントです。

退職の相談をメールで行う

退職の意思を伝える際は、原則、対面で行うのがビジネスマナーです。メールでは、こちらの誠意が伝わらず、相手に不信感を与える可能性があります。

とくに直属の上司には、表情や態度が伝わる対話のなかで丁寧に説明することが重要です。事情があってすぐに対面できない場合も、まずは面談の場を設けたい旨を伝え、正式な相談は直接行いましょう。

しかし、連絡手段としてメールを利用することは、証拠として残せるという点でメリットにもなります。

有給消化に関する内容や退職日決定などのやり取りを時系列に沿って管理できることで、言った言わないによるトラブルを避けられる可能性があるため、状況に応じて使い分けましょう。

社会人としての礼儀を守ることは、退職後の評価にもつながります。円満に退職するためには、最後まで誠実な姿勢を貫くことが大切です。

円満退職に向けて!正しい退職手続きの手順6ステップ

円満退職に向けて、退職を決意してから最終出社日までに踏むべき具体的な手順を、6つのステップに分けて解説します。

  1. 退職意思を上司に伝える
  2. 上司と一緒に退職までのスケジュールを組む
  3. 退職届を提出する
  4. 業務の引き継ぎを行う
  5. 備品や貸与物を返却する
  6. お世話になった人への挨拶回りを行う

はじめて退職を経験する人でも、この流れに沿って一つひとつ丁寧に進めることで、不安を解消しながらスムーズに手続きを完了させられるでしょう。

退職意思を上司に伝える

退職を決意したら、まず直属の上司に直接退職の意思を伝えましょう。

お世話になった職場への配慮として、退職希望日の1〜2ヶ月前を目安に、早めに相談することが重要です。早めに伝えることで、会社側も余裕を持って対応でき、結果的に退職がスムーズに進む可能性が高まります。

伝える際は、感情的に話すのではなく、個室や会議室など落ち着いた場所で話す時間を設けてもらいましょう。退職理由は「一身上の都合により退職させていただきたく存じます」というように、冷静かつ丁寧な言葉遣いを意識してください。

これまでの感謝の気持ちを添えることで、誠実な態度が伝わり、その後の交渉も円滑に進められるはずです。

上司と一緒に退職までのスケジュールを組む

退職の意思を伝えた後は、上司と相談して退職までのスケジュールを立てましょう。退職希望日や有給消化のタイミング、引き継ぎ期間などを話し合い、お互いが納得できる内容で合意することが重要です。

スケジュールが決まったら、書面に残すかメールで確認し合うなどして、認識のズレがないようにしておくことも大切です。

このステップを丁寧に進めることで、周囲の理解や協力も得やすくなり、会社に与える影響を最小限に抑えられます。

退職届を提出する

上司との話し合いで退職日までのスケジュールが正式に決まったら、会社の規定に従って退職届を提出します。

退職届は、退職の意思を会社に対して正式に表明するための重要な書類です。提出先や様式は会社によって異なるため、まずは自社の就業規則を確認するか、人事部に問い合わせるのが確実な手段です。

また、一般的には、直属の上司に手渡しで提出しますが、会社によっては人事部へ直接提出するケースもあります。会社のルールをしっかりと確認し、不備のないように提出することで、事務手続きを滞りなく進められます。

業務の引き継ぎを行う

退職が決まった後は、在職中に行なっていた業務を後任者に引き継ぐ作業が必要です。引き継ぎが不十分だと、後任者や取引先に迷惑をかけてしまい、会社の信用を損ねる可能性があります。

引き継ぎ時には、業務の流れや担当顧客、使用している資料やシステムの使い方などを資料としてまとめておくのが効率的です。

後任担当者に直接説明する時間を設けて、質問に答えたり実際に作業を見せたりすることで、安心して業務を引き継げるようにサポートしましょう。

備品や貸与物を返却する

退職日が近づいたら、会社から借りていた備品や貸与物をすべて返却しましょう。返却対象となるのは、以下の用品です。

  • 健康保険証
  • 社員証
  • 入館証
  • 名刺
  • 社章
  • 制服
  • パソコン・スマートフォンなどのデジタル機器

とくに、デジタル機器には、社内の機密情報が含まれている可能性が高いため、自己判断でデータを消去したり初期化したりしないよう注意が必要です。

また、返却漏れや貸与物の破損などがあると、退職後に会社とやり取りが発生するだけでなく、トラブルにつながるリスクがあります。返却物のチェックリストを作成して、抜け漏れなく返却を完了させましょう。

お世話になった人への挨拶回りを行う

退職日には、これまでお世話になった上司や同僚に挨拶回りを行いましょう。退職の挨拶は、これまでの感謝の気持ちを伝えるための大切な機会です。退職後も良好な人間関係を保つためにも、丁寧な挨拶を心がけてください。

直接挨拶できる場合は、相手の仕事の邪魔にならないタイミングを見計らい、笑顔で感謝の意を伝えることが大切です。

また、今後も良好な関係を維持したい相手とは、個別に連絡先を交換したり、SNSを通じてつながったりしておくのもひとつの方法です。会社の不満などは口にせず、最後の最後まで誠意を持って対応することで、円満な退職につながります。

退職を引き止められた時の上手な対処法4選

退職の意思を伝えた際、会社から引き止められるケースは少なくありません。しかし、事前に上手な対処法を知っておくことで、冷静に対応し、円満な退職を実現できます。以下では、引き止めにあった際の上手な対処法について4つ紹介します。

  • 退職の意思や理由ははっきり伝える
  • すでに転職先が決まっていることを伝える
  • 法律上の退職ルールを主張する
  • 人事部に相談する

引き止めに流されて、自分のキャリアプランが崩れてしまわないように、事前に確認しておきましょう。

退職の意思や理由ははっきり伝える

会社側から引き止められた際は、退職の意思や理由を曖昧にせず、はっきりと伝えましょう。曖昧な態度をとってしまうと、会社は「まだ説得の余地がある」と判断して、引き止めが長引く原因となります。

「新たなキャリアに挑戦したい」「家庭の事情で転居する」など、退職理由が一貫していれば、退職の意思が固いことが相手にも伝わります。

何度か引き止められたとしても、その都度、感謝と揺るがない意思を冷静に伝え続けることで、いずれ上司も「本人の意思は固いようだ」と理解し、受け入れてくれるはずです。

誠実でありながらも毅然とした態度こそが、円満な退職交渉の成功のポイントです。

すでに転職先が決まっていることを伝える

引き止めを断る際に有効な方法のひとつが、すでに転職先が決まっていることを伝えることです。入社日が決まっていることもあわせて伝えることで、会社はこれ以上の引き止めが難しいと判断しやすくなります。

とはいえ、転職先の企業名や具体的な業務内容を詳細に伝える必要はありません。会社側も、他社との新たな雇用契約が結ばれている社員を強引に引き止めることは、法的なトラブルに発展するリスクがあると理解しているはずです。

万が一、転職先が決まっていないにもかかわらず「転職先が決まった」と嘘の報告をすると、トラブルを招く可能性もあるため、本当に転職先が決まっている場合にのみ事実として伝えるように心がけましょう。

法律上の退職ルールを主張する

会社からの強引な引き止めに対しては、法律に基づいた退職の権利を冷静に主張することも重要です。民法第627条では、期間の定めがない雇用契約の場合、退職の意思を伝えてから2週間経てば退職できるとされています

会社の就業規則では1ヶ月前の申告が求められていることが多いため、基本的にはルールに従うべきです。しかし、どうしても話が進まない場合は、法律的な根拠を理解したうえで、自分の退職の意思を明確に伝えることが、無用なトラブルを避けるうえで有効な対処法です。

ただし、法律を盾に一方的に話を進めるのではなく、あくまで最終手段として活用するようにしましょう。

出典:民法 | e-Gov 法令検索|第六百二十七条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

人事部に相談する

直属の上司に退職の意思を伝えたものの、何度も引き止められたり話が進まなかったりする場合は、自分だけで抱え込まずに人事部に相談しましょう。人事部は社員の手続き全般を管理する部署であり、退職に関するルールや必要な対応を熟知しています。

上司を飛び越えた他部署に相談することに抵抗があるかもしれませんが、「退職手続きについてご相談したい」という形で丁寧にアプローチすれば問題ありません。

これまでの経緯を客観的に説明して協力を求めることで、人事部から上司へ適切な指導が入ったり、手続きを代行してくれたりするなど、事態が好転する可能性があります。

人事部が間に入ってくれることで、上司も無理な引き止めを諦めざるを得なくなるでしょう。

まとめ

退職までの手続きを滞りなくスムーズに進めるためには、感情的にならず、会社の状況へ配慮する姿勢と、計画的に正しいステップを踏むことが重要です。

退職は、決してネガティブなことではありません。これまでお世話になった会社や同僚に感謝の気持ちを伝え、社会人としてのマナーを守りながら手続きを進めることで、気持ちよく次のキャリアをスタートさせられるでしょう。

出典:
Job総研 「2022年 退職に関する実態調査」実施報告 | JobQ[ジョブキュー]
【JobweeQ】『退職』に関するモヤッと、ありましたか?

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