ハイブリッド勤務とは出社とテレワークを組み合わせたはたらき方のことです。コロナ禍をきっかけに広がったテレワークを実際に経験して、プラスとマイナスの両面を感じている人もいるのでは?今回は調査をもとに、出社とテレワークの良いとこどりと言われるハイブリッド勤務の実態に加えて、メリットと課題を見ていきます。
ハイブリッド勤務とは、オフィスへの出社とテレワークを組み合わせた勤務形態です。例えば、1週間のうち3日は出社して、2日はテレワークをするというようなはたらき方を指します。
コロナ禍では、感染者やその家族の外出が制限され、出社してはたらくのが難しい状況がありました。そのような環境下で導入する企業が増えた勤務形態です。
国土交通省の「テレワーク人口実態調査結果」によると、テレワークを導入している企業は33.1%で、最も導入企業の割合が高かった2021年の40.0%から年々減少しています。
テレワークを1年間に1日以上実施している人の割合も、2021年の21.4%から2024年には15.6%に減りました。
Job総研の調査でも、2025年に入って出社回帰の傾向が見られます。とはいっても、週5出社の割合は37.6%で、フルリモートとハイブリッド勤務を合わせた57.1%の方が高い割合です。
はたらき方の価値観を聞いた調査でも52.1%が「リモートワークが当たり前」と回答しています。
参照:国土交通省|テレワーカーの割合は下げ止まり傾向~令和6年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~
Job総研の調査によると、55.2%が理想のはたらき方はテレワークと回答しています。
出社に後ろ向きな理由の上位には「通勤時間がかかる」「自由に仕事ができない、休めない」「身だしなみ準備や時間の負担」など。テレワークのメリットはこれらがないことです。加えて「プライベートの事情と両立しやすい」のもメリットのひとつ。
これらテレワークのメリットについて、調査に寄せられたコメントとともに見ていきましょう。
テレワークは自宅で仕事に取り組めるため通勤時間がかからないのがメリット。
通勤時間がかからない分、プライベートに使える時間が増えますし、通勤時間で仕事をする前に疲れてしまうということがなく、生産性向上にもつながります。
▶︎寄せられたコメント
オフィスで仕事をするよりも、リラックスした状態で取り組めるのもテレワークのメリットです。
自分にとって集中して仕事に取り組みやすい環境を整えられるため、人によってはテレワークの方が集中しやすいこともあります。
▶︎寄せられたコメント
オフィスへ出社してはたらくとなると、身だしなみを整えたり、持ち物を用意したり、お弁当を作ったり、準備に時間がかかります。
テレワークなら身だしなみにかかる時間が軽減しますし、持ち物やお弁当などを用意する手間もなくなります。準備の時間が短くなる分、ゆっくり過ごしやすいのもメリットです。
▶︎寄せられたコメント
育児や介護をしている人や、通院が必要な人が、プライベートの事情と仕事を両立しやすくなるのもテレワークのメリットです。
通勤時間がない分プライベートに必要な時間を確保しやすくなりますし、自宅で仕事をしていれば「もしも」の事態にも対応しやすくなります。
▶︎寄せられたコメント
テレワークと出社はどちらがはたらきやすいかを聞いた調査では、63.0%が「テレワーク派」でした。またテレワークをしている人は、84.5%が現在のテレワークに「満足」と回答しています。
はたらきやすく満足度も高いテレワークですが、実は「上司や同僚とのコミュニケーション不足」「雑談ができず相手の心理がわからない」「オンとオフの切り替え」などの課題も。
それぞれの課題に対して、はたらく人はどのように感じているのでしょうか?出社派のコメントをチェックしましょう。
テレワークでは、あいさつや雑談などのコミュニケーションが不足しがち。日常的なやり取りから生まれるアイデアを仕事に活かしにくい、という面を課題に感じている人もいます。
▶︎寄せられたコメント
雑談のしにくさもテレワークの課題のひとつです。対面なら感じ取れる雰囲気が、チャットやオンライン会議ではくみ取りにくいことも。
スムーズな仕事には気軽に雑談しやすい出社の方が向いている、という意見もあります。
▶︎寄せられたコメント
自宅だと仕事モードへの切り替えが難しいと感じている人もいます。出社することでメリハリをつけやすくなるケースもあるようです。
▶︎寄せられたコメント
理想のはたらき方はテレワークが55.2%と多数派ですが、出社を前向きに考えている人も55.2%と同じ割合で過半数となっています。
さらに「質問や意見交換のしやすさ」「意思疎通の取りやすさ」「テレワークでのやり取りに限界を感じた」などの理由で、出社が「必要だと思う」と考えている人の割合が65.2%です。
世代ごとの意見に違いはあるのでしょうか?部下と上司の出社に対する調査結果をチェックしましょう。
「上司に出社してほしい」と思っている部下は66.2%と多数派です。
テレワークにおける上司の印象について聞いた調査では、38.0%がコミュニケーション不足を感じており、24.5%がフィードバックのタイミングが適切でないと感じています。
同じオフィスではたらいて、必要なタイミングで相談したり意見をもらったりしたい、と考えている部下が多いのかもしれません。
「部下に出社してほしい」と考えている上司は71.4%と過半数となっています。
テレワークは「マネジメントの課題がある」と感じている上司は68.0%です。48.1%がメンバーの業務進捗の把握に、39.8%がメンバーの理解度や成長度に課題を感じています。
このようなマネジメントの課題を解消するために、部下に出社してほしいと考える上司が多数派のようです。
▶︎マネジメントの課題に関するコメント
コロナ禍でテレワークを実施する企業が増えましたが、実施割合が減少傾向です。
自社の仕事内容や職場の状況に応じて、テレワーク・ハイブリッド勤務・出社の使い分けが求められている状況とも考えられます。
調査でも、テレワークが向いているか出社が向いているかは状況によって違う、というコメントが多く見られました。
それまでは一部に限られていたテレワークが、コロナ禍をきっかけに広まりました。
出社回帰の動きはあるものの、フル出社のみの割合37.6%と比べると、テレワークのみではたらく人+テレワークと出社を組み合わせたハイブリッド勤務ではたらく人の割合57.1%の方が高くなっています。
テレワークは課題があるものの、通勤時間がない、プライベートの事情に合わせてはたらきやすい、などのメリットのあるはたらき方です。
テレワークのみ+ハイブリッド勤務の割合が過半数となっているのは、チームや個々の事情に合わせて、多様なはたらき方で仕事に取り組むのがスタンダードになってきているからかもしれません。