2025.08.15

出世したくない人が増えている?調査から見る出世の実情や満足できるはたらき方

「昇進の話があったけれど、正直なところ出世したくない」「管理職になるメリットが見えない」などと感じている人は、あなただけではありません。近年、出世を望まない人が増加している傾向にあります。出世を取り巻く現状と、出世しない選択をした場合のキャリアの築き方について見ていきましょう。

「出世したくない」と考える人の実態

現代のはたらく人々の出世に対する意識は、これまでの常識とは大きく変わってきています。Job総研が2024年に社内政治について調査した結果を通して、出世への意識の変化を見てみましょう。

全体の4割以上が「出世したくない」と回答している現実

Job総研の調査によると、回答者である社会人の男女446人のうち、「出世意欲がとてもある」と回答したのは9.1%、「ある」「どちらかといえばある」と答えた人を合わせると57.8%という結果になりました。反対に、出世意欲について「どちらかといえばない」「ない」「全くない」と回答した人の割合は合わせて42.2%という結果です。

つまり、4割以上の人が「出世に対して興味を持っていない」ということが調査結果から明らかになりました。この数字は、従来の「出世こそ成功」という価値観が大きく変化していることを示しています。

20代から30代では約3割が「出世したくない」と回答

年代別に見ると、20代では28.8%、30代では31.3%の人が「出世したくない」と回答しています。

興味深いのは、年齢が上がるにつれて出世意欲が低下していく傾向が見られることです。20代では7割近くが出世を望んでいるのに対し、30代は34.6%、40代では54.6%、50代では34.2%の人が出世を望んでいません

これは、管理職として実際にはたらく姿を見て、出世のメリットよりもデメリットを感じる人が増えていることが影響しているのかもしれません。

社会的な価値観の多様化が背景にある

従来の「出世して成功する」という画一的な価値観から、「自分らしくはたらく」ことを重視する価値観へと社会全体が変化しています。この変化により、出世以外の選択肢も認められるようになっています

ワークライフバランスという言葉が一般的になり、仕事だけでなく家族との時間や趣味、自己実現など、人生における価値観が多様化しました。出世によって得られる地位や収入よりも、精神的な充実や時間の自由を重視する人が増えているのです。

また、終身雇用制度の変化やテレワークの普及など、はたらき方そのものが大きく変わったことも影響しています。組織の中でのキャリアアップだけでなく、専門性を活かしたフリーランスや転職による環境変化など、選択肢が広がったことで出世への依存度が下がっているといえるでしょう。

「出世したくない」と考える理由

出世を敬遠する背景には、具体的にどのような理由があるのでしょうか。多くの人が抱える懸念を詳しく見ていきます。

責任の重さに対する不安

出世したくない理由として最も多く挙げられるのが、「責任が増える」ことに対する懸念です。

今までは自分の仕事だけを考えていればよかったのに、管理職になると部下の行動や成果まで責任を負わなければなりません。

  • 「部下がミスをしたときに上司に怒られるのは自分」
  • 「チームの目標が達成できなかったら査定に響く」

そう考えると、気が重くなってしまいます。

特に真面目で責任感の強い人ほど、「自分にそんな重い責任を背負えるだろうか」と不安になります。

先輩や上司が夜遅くまで残って問題対応をしている姿を見ると、「あんな大変な思いをしたくない」と感じるのも無理はありません。

仕事量増加とワークライフバランスへの影響

出世すると、今までの仕事に加えて会議や報告業務、部下の相談対応など、やることが格段に増えてしまいます。

  • 「金曜日の夜は家族と過ごしたい」
  • 「土日は趣味の時間を確保したい」
  • 「子どもの習い事の送迎をしたい」

そんな当たり前の願いが叶わなくなってしまうかもしれません。

管理職になった先輩から「最近家族との時間が取れなくて」という愚痴を聞いたことがある人も多いでしょう。

今の時代、お金よりも時間の価値を重視する人が増えています。出世によって収入が増えても、大切な人との時間や自分の時間を犠牲にしてまで得たいものなのか、疑問に感じる人が多いのです。

給与上昇と業務負荷のバランスが見合わない

管理職になったことで管理職手当が月3万円増えたとしても、残業代がなくなって実質的には収入が下がってしまうケースも珍しくありません。

  • 「毎日2時間残業して、土日も呼び出されることがあるのに、時給計算したら前より安くなった」

そんな話を聞くと、出世することのメリットを感じられなくなってしまいます。

特に物価上昇が続く中で昇給幅が小さいと「リスクを取って出世する意味があるのだろうか」と疑問に思うのも無理はありません。

安定した生活を送れる今の状況で十分だと感じる人が増えているのです。

専門職としてスキル向上を重視したい

マネジメントよりも専門技術や専門知識を深めることに価値を感じる人も増えています。

せっかく身につけたスキルや知識を活かして現場で活躍したいのに、管理職になると会議や書類作成ばかりで、本来やりたい仕事ができなくなってしまうのではないかと心配になります。

特に技術職やクリエイティブ職の場合、管理業務に時間を取られることで、本来の専門性を磨く時間が減ってしまうことを危惧する人が多くいます。「技術者として成長したい」「専門家として認められたい」という思いが強い人にとって、出世は必ずしも魅力的な選択肢ではありません。

また、専門性の高い分野では、管理職よりもスペシャリストの方が市場価値が高い場合もあります。転職市場での需要を考えても、専門性を極めることの方がメリットが大きいと判断する人が増えているのです。

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出世しない選択をする前に考えておきたいポイント

出世にはこれまで紹介してきたデメリットだけではなく、多くのメリットも存在します。これから長いキャリアの中で、本当に出世しないことが最良なのかを、以下に紹介するポイントに従ってぜひ考えてみてください。

10年後、20年後の自分をイメージしてみる

現在の価値観や生活状況と、10年後20年後では大きく変わっている可能性があります。今は自分の時間を重視していても、将来的には収入の安定性や社会的な責任を求めるようになるかもしれません。

たとえば結婚して子どもができたとき、親の介護が必要になったとき、住宅ローンを組むときなど、人生の節目でより高い収入や安定した立場が必要になることがあります。

そのようなタイミングで昇進の機会がすでに失われていると、選択肢が限られてしまう可能性があります

また、昇進のチャンスは頻繁にあるものではありません。今回断った場合、次の機会がいつ訪れるかは分からないことも考慮しておく必要があります。

出世しない場合のリスクとデメリットを理解する

出世しない選択にも、いくつかのリスクが伴います。まず昇給のペースが遅くなったり、会社の業績悪化時にリストラの対象になりやすくなったりする可能性があります。

また、同期や後輩が昇進していく中で、相対的に取り残されたような感覚を抱くことがあります。社会的地位や収入面での格差が広がることで、精神的な負担を感じることもあるでしょう。

転職を考える際も、特に40代以降ではマネジメント経験の有無が重要な評価ポイントとなることが多く、管理職経験がないことで選択肢が狭まる場合があります。

このような「出世しないこと」によるデメリットについても考えた上で、選択することが重要です。

会社側の期待と自分の気持ちのバランスを取る

会社から期待されている場合、出世を断ることで今後の評価や人間関係に影響する可能性があります。しかし、自分の気持ちを大切にしながらも円満な関係を維持する方法はあります。

具体的には、上司や人事部門に相談することです。出世しない理由を正直に伝え、理解を求めることで、意外にも受け入れてもらえることが多いものです。

完全に断るのではなく、時期や条件について相談するという姿勢も効果的です。今は難しいが将来的には検討したい、もう少し経験を積んでからチャレンジしたいといった伝え方で、可能性を残しつつ現在の気持ちを表現できます。

また、管理職にはならなくても、新人研修の講師や新プロジェクトへの参加など、出世以外の方法で会社に貢献する姿勢を示すことで、評価を維持することも可能です。

出世しないはたらき方で満足できるキャリアを築く方法

「出世しないと決めたけれど、このままで本当に大丈夫だろうか」そんな不安を感じていませんか。

実は出世以外にも、充実したキャリアを築く方法はたくさんあります。あなたらしいはたらき方を見つけてみましょう。

専門性を極めるスペシャリストとしての道

管理職にならなくても、「◯◯のことなら、あの人に聞けば間違いない」と言われる存在になれれば、それだけで十分価値のある人材です。

たとえば、営業なら「新規開拓のプロ」、エンジニアなら「セキュリティの専門家」、経理なら「税務のエキスパート」といった具合に、自分だけの得意分野を持つことが大切です。

専門性を高めるためには、まず業界の最新情報をチェックする習慣をつけてみましょう。関連する資格を取得したり、勉強会に参加したりするのもおすすめです。最初は大変に感じるかもしれませんが、続けていくうちに「この分野なら誰にも負けない」という自信がついてくるはずです。

専門家として認められるようになると、社外からも声がかかるようになります。「セミナーで話してもらえませんか?」「記事を書いてもらえませんか?」そんな依頼が来るようになれば、あなたの市場価値はぐんと上がります。

実力主義の会社への転職を検討する

出世以外に昇給する方法として、実力で評価してくれる会社への転職を考えてみてはいかがでしょうか。

外資系企業やベンチャー企業、IT企業などでは、役職よりも成果を重視する傾向があります。「管理職じゃないから給料が上がらない」ということがなく、結果を出せば相応の報酬がもらえる環境が整っています。

ただし、そういった会社では、成果が出なければ報酬は下がります。今の自分の実力で飛び込んでうまくやっていけるかは、真剣に検討しなければなりません。

フリーランスとして独立する選択肢

自分のペースではたらきたいなら、フリーランスという選択肢もあります。組織のしがらみから解放されて、本当に自分らしくはたらけるかもしれません。

スキルが高ければ会社員時代より稼げることも珍しくありません。実際に、「フリーランスになってから年収が2倍になった」という人もいます。

一方で、フリーランスには営業活動も必要です。「仕事を取ってくるのが苦手」という人には向いていないかもしれません。また、社会保険や退職金などの保障がないことも考慮が必要です。何より、安定した報酬がないため、一定期間生活していけるだけの貯蓄は必要になるでしょう。

自分なりのキャリアプランを描けているかが重要

出世するかしないかに関わらず、最も大切なのは自分なりの明確なキャリアビジョンを持つことです。

「なぜ出世したくないのか」「どのようなはたらき方を理想とするのか」「10年後にどうなっていたいのか」これらの問いに対する答えを明確にすることで、後悔のない選択ができるでしょう。

出世しない選択をする場合は、その分他の分野での成長や貢献を意識することが大切です。専門性の向上、チームへの貢献、後輩の育成など、役職以外の方法で価値を提供し続けることで、充実したキャリアを築くことができます。

また、状況や価値観の変化に応じて、柔軟にキャリアプランを見直すことも重要です。出世しない選択をした今でも、将来的には考えが変わる可能性があることを念頭に置き、常に複数の選択肢を持っておくことをおすすめします。

大切なのは、周囲の期待や一般的な成功像に惑わされることなく、自分らしいはたらき方を見つけることです。出世するもしないも、どちらも立派な選択肢の一つなのです。

出典:Job総研「2024年 社内政治の実態調査」を実施 | JobQ[ジョブキュー]

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