Job総研

社会人の常識とは?調査から見る令和の新常識まとめ

社会人の常識は、変わらないものもあれば、時代とともに変わっていくものもあります。令和の新常識を、調査を元にチェックしていきましょう。上司世代では常識だったことも、令和の今では非常識になっているかも。上司世代と若い世代の、常識のギャップをひも解いていきます。

社会人の常識とは?

部下のビジネスマナーが気になるかを質問した調査では、「気になる」との回答が57.8%でした。一方、上司からビジネスマナーについて指摘を受けたことのある部下は17.4%のみで、82.6%は指摘を受けたことがありません

何も言われていないけれど、実は上司から「常識がなってないな」と思われている可能性も。まずは昔から変わらない、社会人として基本的な常識を押さえておきましょう。

身だしなみを整える

社会人として好印象を持ってもらいたいなら、まずは身だしなみを整えることが重要。シワが取れていないシャツや、ヨレヨレのジャケット、寝ぐせだらけの髪型では、相手に不快に思われてしまうかもしれません。

以前は社会人と言えばスーツが当たり前でしたが、近年は私服に近いカジュアルなファッションが認められる職場も増えてきました。

とはいえ、清潔感が大切なのは現在も変わりません。訪れる場所やシーンによっても、ふさわしい身だしなみは違うものです。職場のルールやTPOにあった服装や髪型を意識しましょう。

時間を守る

時間を守ることも、変わることのない常識のひとつ。出社時間はもちろん、ミーティングの開始時間、取引先への訪問時間など、守らなければいけない時間はたくさんあります。

決まっている時間に遅れそうになったときには、事前に連絡しましょう。遅れてしまうことに対する謝罪とともに、何時ごろに着くのかを明確に伝えます。

報告・連絡・相談をする

仕事に必要な情報を共有する、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を欠かさず行うことも、社会人の常識です。

話しやすい相手には小まめにホウレンソウができているけれど、苦手な上司だと話しかけにくく情報共有が滞りがち、というのはNG。相手が誰であっても、必要な情報を必要なタイミングで共有することが大切です。

ビジネスマナーを実践する

名刺交換の仕方・座席の座り方・訪問先での振る舞いなど、ビジネスマナーを身につけて実践することも社会人の常識のひとつ。

例えばエレベーターに乗るときには、入口で「開」ボタンを押して、取引先や上司が乗ってから最後に乗ります。降りるときには「開」ボタンを押して、全員が降りてから最後に自分が降ります。

また電話応対をするときには、自分が初めて話す相手でも「いつもお世話になっております」と言うこと、必要に応じてメモを取るときにはわかりやすく要点をまとめること、などを意識するとよいでしょう。

ビジネスマナーは、相手に敬意を持っていることを態度で示せる方法です。

調査から見えてきた令和の新常識

社会人の常識は一般的なビジネスマナー以外にもさまざまです。Job総研の調査から見えてきた令和の社会人の新常識を紹介します。

花粉症で休むのは「あり」が66.7%

スギやヒノキなどの花粉に反応する花粉症は、症状がひどくなると発熱することも。国民病ともいわれている花粉症で休むことに対して、調査では「あり」と回答した人が多数派の66.7%でした。

▶︎あり派の意見

  • 重症の人もいるので、何日か休む、在宅に切り替えるなど、対応できるといい
  • 仕事にならないくらい症状がひどいときもあると思う。花粉症で気兼ねなく休める会社ではたらきたい
  • 人によって症状の重さやつらさは違うため、休んでも問題ないと思う

▶︎なし派の意見

  • 今年発症したなら仕方がない気もするが、毎年同じようにつらい症状が出るなら、花粉の飛散が始まる前に点鼻薬や点眼薬を処方してもらうべき
  • 花粉症で休まなければいけないとなると、数カ月は休まなければいけなくなってしまう

▶︎その他の意見

  • 毎年のことなので社内の理解を求める必要はあると思う
  • 有給休暇ならどのような理由で休んでも問題ないと思うが、欠勤扱いだとすると疑問に感じる

グレー行為の指示を断るのは71.2%

明確に違法ではないけれど、適切とはいえないグレー行為を行うよう上司から指示されたとき、「断る」と回答したのは71.2%でした。

▶︎断る派の意見

  • グレー行為は長期的には組織にとってもマイナスとなるので断ります
  • 都合が悪くなったらトカゲのしっぽ切りになるのでやりません
  • 引き受けたらずっと後悔し続けてしまうから断ります

▶︎実行する派の意見

  • 組織のためになるなら実行します。目的がとにかく稼ぐためで社会的に意義がない場合には実行しません
  • 断ると会社に行きにくくなるので実行します
  • 可能な範囲で代案を出しつつ実行しますが、グレー行為の指示が続くなら辞めます

▶︎その他の意見

  • 法的にグレーな行為は断るが、社内ルールに対してのグレー行為であれば臨機応変に対応する
  • どうしても断れずグレー行為をしたことがあるが後悔しか残っていない

根性は成長につながりやすいと考えているのは71.8%

20代を対象に「根性は成長につながりやすいと思うか」を聞くと、「つながりやすいと思う」が71.8%と多数派でした。

上司世代からすると、若者世代はタイパ・コスパ重視でコツコツ取り組むような仕事はやりたくなさそうというイメージが強いかもしれません。しかし、成長につながる粘り強さや下積みであれば、必要と考える若い世代は多いようです。

▶︎根性論は成長につながる派の意見

  • 根性がある人は困難に直面しても諦めずに挑戦し続けるため、結果的に大きな成果や成長につながることが多いと思う
  • 粘り強くやり抜く姿勢は上司の評価につながりやすいと思う
  • 上司の信頼を得て希望の仕事を回してもらうには、ある程度の下積みを経験する必要があると思うから

▶︎根性論は成長につながらない派の意見

  • 根性論よりもスキルや経験の方が成長につながりやすいと思う
  • 理不尽な根性論は不正の温床にもなるため気をつけるべき
  • 根性論よりもロジカルに考えることが大切だと思う

▶︎その他の意見

  • 根性があることをアピールするのが大事だと思う
  • 根性が必要なときもあるがテクニックが必要なときもある
  • 根性とコスパを両方考える人が結果を出していると思う

意見が分かれるのは「ノルマ未達での帰宅を怒られる」

「ノルマ未達で帰宅しようとしたときに上司に怒られた」というエピソードについて、ハラスメントだと感じるか感じないかを聞いた質問の結果は、「ハラスメントだと思う」が50.3%「ハラスメントではないと思う」が49.7%で半々でした。

コメントを見ると、シーンやタイミングによって、ハラスメントかどうかの判断は左右されるようです。

▶︎ハラスメントだと思う派の意見

  • 定時に帰らせない、つまり業務時間外に仕事を「強制」していたらハラスメントだと思う
  • 追い詰められて私生活に影響してしまうのであればそれはハラスメント
  • 言い方や伝えるタイミングを見分けないとハラスメントと言われてしまうと思う

▶︎ハラスメントだと思わない派の意見

  • 若手が成長するには上司の厳しい姿勢も大切。成果を約束する場合上司として必要な声かけだと思う
  • 普段の態度にもよるが、会社に貢献する一員として仕事を成してないため指摘されるのも無理はない
  • 上司も目標達成させるために色々考えていると思う。最低限の会話は必要だと思う

上司世代が若いころは怖い上司が当たり前

社会人としての常識の土台ができる若手時代に、上司世代はどのような経験をしてきたのでしょうか?

30〜50代の上司世代に「今では考えられない怖い上司がいたか」を聞くと、全員が「いた」と回答しました。

▶︎今では考えられない怖い上司のエピソード

  • 毎日のように朝まで飲みに付き合わされ、昔の武勇伝を聞かされていた
  • 私の得意先のお客さまと偶然飲みの席で会い怒らせてしまった経緯を、金曜の深夜に電話で報告された
  • 「キャリアはあなたが考えるのではなく会社が考えるもの」と言われた
  • 会社の福利厚生制度を使うなと言われた

怖い経験をした上司世代は88.0%

昭和あるあるのような、他の世代からすると怖い経験をしている上司は、実は多数派。なんと30〜50代の88.0%が怖い経験をしています。

▶︎上司世代が経験した本当にあった怖い経験エピソード

  • 体調不良で2日間休んだら「気合いが足りない」と言われて始末書を書かされた
  • 新人は定時より30分以上早く出社して早朝に掃除をするのが当たり前だった
  • 女性がお茶くみをする会社で、一人ひとりの好みを把握して用意するのが当たり前だった
  • 24時間眠らせない新人研修があった
  • 社内規定に「風邪は土日にひくように」と書いてあった

上司世代の怖い経験、令和にはあり?なし?

上司世代にとって、若手時代の怖い経験は当たり前。当時の当たり前は、令和で通用するのでしょうか?20代の意見を見ていきましょう。

体調不良が評価に影響するは「あり」「なし」が半々

上司世代のエピソードには「体調不良で休んだら始末所を書かされた」「社内規定に風邪は土日にひくよう書いてあった」など、体調不良が評価に影響するエピソードが寄せられました。

20代は体調不良が評価に影響する場合、「評価優先ではたらく」が51.0%、「体調優先で休む」が49.0%です。

▶︎評価優先ではたらく派の意見

  • 「体調管理ができない人」という評価をされたくないので、無理してはたらく
  • 新人なのでなるべく頑張っている姿勢を見せなければと思うし、評価が下がるのが怖い
  • 上司が仕事をしているのに休むことに罪悪感がある。評価に影響があるなら頑張ると思う

▶︎体調優先で休む派の意見

  • 今の時代、体調不良で怒っていたら、会社も上司もおかしいと思われる
  • 体調不良なのに休ませない上司がいるなら転職を考える
  • 自分の生活の方が大切なので体調を優先して休む

新人が朝早く準備や雑用をするのは「なし」

「新人は定時より早く出社して掃除していた」という上司世代のエピソードがありました。

20代に「新人が朝早く準備や雑務を担当する」ことについて質問すると、「当たり前だと思わない」が93.0%と多数派です。

▶︎朝早くの準備や雑務は当たり前ではない派の意見

  • 担当することはあるかもしれないが、時間外の早朝に新人だけが行うのはおかしいと感じる
  • 必要があれば早く出社するべきだが「新人だから」は理由にならない
  • 「昔は自分もやった」という圧力や無理強いの慣例・伝統は無くしてほしい
  • 早朝業務は気づいた人が自発的に行うか、当番制で行うべきものだと思う
  • 「新人が朝早くから〇〇をする」というのはインターネット上だけの話だと思っていたので、本当にあったのが信じられない

「最近の若者は…」の歴史は長い

「最近の若者は…」から始まるお説教の言い回しは、古典にも出てくるくらい、昔から繰り返し言われてきています。

今の上司世代や先輩世代も、若手時代には「新人類」「宇宙人」「ゆとり世代」などと呼ばれて、当時の上司世代から「最近の若者は…」と言われていたのではないでしょうか。

だからこそ上司世代は言い回しに要注意。よかれと思った一言が、皮肉と捉えられていることもあるかもしれません。

上司世代の「令和だね」は皮肉と取られているかも

常識・考え方・行動などは、令和的なものとそうでないものが入り混じっているのが現状。上司世代は20代の新しい考え方や行動などに触れて、令和を感じることもあるのでは?

このようなときの「令和だね」というコメントに、全体では48.0%が、20代では83.3%が「皮肉だと思う」と回答しています。

▶︎皮肉だと思う派の意見

  • 会話の流れにもよりますが、馬鹿にされてるようなマイナスな意味で捉えると思います
  • 令和だねという言い方をする時点で皮肉としか思えません。変わりきらない考えをもっていて、どこかで今の考えを認めたくないのでは
  • 小馬鹿にされているように思う

▶︎皮肉だと思わない派の意見

  • 「自分が古い考え方だった」と感じて直そうとしているのかな、と前向きに捉えている
  • 感じ方は相手との関係性による
  • 単純に新しい視点で新鮮だったのだと思うようにしている

▶︎その他の意見

  • 発言した人のニュアンス次第でどちらにも受け取れる
  • 言い方や話題次第で皮肉にも皮肉ではないようにも受け取れる

まとめ

常識は世代によって変わります。怖い上司が当たり前の時代には、指示に従ってグレー行為をする人は、紹介した調査の28.8%より多かったかもしれません。

若手時代を過ごした環境が違えば、当たり前に思っている常識も違うもの。「最近の若者は…」「これだから上司世代は…」とひとくくりにせず、まずはどのようなギャップがあるのかを知ることが、最初の一歩になるでしょう。

参照:
Job総研『ココだけの本音』 3月の社会人のリアルを調査しました
Job総研 ココだけの本音で「本当にいた怖い上司の実体験」を募集しました