2026.09.15
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「管理職になりたくない」人の本音は?打診への対処法と回答例
「そろそろ管理職への昇格打診がありそうだけれど、受けるべきかわからない……」
「上司を見ていると大変そうで、正直なりたくない」
このような不安や葛藤を抱えていませんか?
かつては「出世=キャリアの成功」という価値観が一般的でしたが、現在ははたらく価値観の多様化に伴い、「管理職になりたくない」と考える人が増えています。
本記事では、Job総研の調査データをもとに、「管理職になりたくない」と感じる本音やその背景を紐解いていきます。もし打診された場合に角を立てずに伝える回答例や、後悔しないキャリアの選び方も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ今「管理職になりたくない」人が増えているのか?
働き方の多様化に伴い、管理職を目指さない選択は珍しいことではなくなっています。調査データから見えてくる社会人の意識の変化や、職場環境の背景について分かりやすく解説します。
管理職を希望する人は●割!?
Job総研が実施した『2024年 社内政治の実態調査』によると、約4割(42.2%)が「出世意欲がない」と回答しています。

さらに、女性に焦点を当てたJob総研『2023年 女性管理職の実態調査』では、管理職未経験の女性のうち、管理職に「就きたいと思わない(希望なし)」と回答した人が63.7%にのぼりました。

かつてのように「誰もが昇進を目指す」時代は終わり、現在は「管理職にならないはたらき方」を模索する人が多数派になりつつあります。
出世=幸福ではない?若手・中堅が直面する価値観のシフト
かつては役職に就くことが給与アップや社会的地位に直結し、「幸せや成功の象徴」とされていました。しかし現代の若手・中堅社員は、仕事以外のプライベートやワークライフバランスを重視する傾向が強くなっています。また、管理職にならず、専門スキルを習得して専門性を極めることをキャリアアップだと捉える人も少なくありません。
「昇進して責任を背負い込むこと」よりも、「自分らしく心身ともに健康にはたらくこと」に幸福を見出す価値観へシフトしているのです。
プレイングマネージャーの増加に伴う「管理職の罰ゲーム化」
もう一つの大きな要因は、プレイングマネージャーの増加です。
多くの企業で人手不足やコスト削減が進んだ結果、現在の管理職は「プレイヤーとしての個人の目標達成」と「チームのマネジメント」を同時にこなさなければなりません。
職場で疲弊する上司の姿を間近で見ている部下たちが、「あんな風になりたくない」「責任と仕事量ばかり増えて報われない」と感じてしまうのは必然とも言える現象です。
「管理職になりたくない」6つの本音
現場の社員が「管理職になりたくない」と強く感じる裏にある、主な本音を6つ紹介します。
責任と負担増に対して給与が見合わない
Job総研『2023年 女性管理職の実態調査』において、管理職を経験して「続けたくない」と思った理由を尋ねたところ、「責任が重いから(80.0%)」に次いで、「年収の増加幅が期待値以下だったから(50.0%)」が上位を占めました。

責任と業務量に対し、割に合わないという冷めた視点が、管理職を避ける背景にあることがわかります。
人間関係の負担が大きいと感じる
管理職になると、経営陣からの要求と現場の部下からの不満の「板挟み」になりがちです。
チームのモチベーション管理やメンタルケア、他部署との調整など、対人関係で発生するストレスはプレイヤー時代とは比較になりません。
加えて、ハラスメントへの配慮も含め、周囲への気遣いにエネルギーを割く場面が急増。
こうした人間関係に伴う心理的な負担やストレスを避け、落ち着いて仕事に取り組みたいというのが管理職になりたくない本音です。
プレイヤーとして専門スキルを磨き続けたい
仕事そのものが好きで、「現場で手を動かしていたい」というタイプの人は、管理職を避けがちです。管理職になるとマネジメント業務に時間を奪われ、専門的なスキルを磨く時間が減ります。
特にエンジニアやデザイナーなど、技術の変化が激しい職種ではコードを書く、現場から離れると急速に技術や感覚がアップデートしにくくなります。自分の市場価値が下がることに不安を覚える人は少なくありません。
マネジメントに適性があるのか不安
「人をまとめるのが苦手」「リーダーシップをとるタイプではない」と自覚している場合、管理職になること自体が大きなプレッシャーとなります。
向いていないと感じる業務を引き受けることで、思うように成果を出せず評価を落としてしまうリスクを心配する人も。自身の適性に合わない役割を任されることへの不安が、昇格をためらわせる理由になっています。
プライベートを犠牲にしたくない
現在の管理職は、自分の実務をこなしたまま部下の育成やトラブル対応を行う「プレイングマネージャー」が主流であり、必然的に残業や休日出勤が急増します。
「他人の都合」でスケジュールが動くため、勤務時間を自分でコントロールしにくく、育児や介護、趣味といった私生活の時間が激しく削られます。
増える責任や時間的負担に対して給与が見合わない現実もあり、ワークライフバランスを重視する人にとって、管理職への昇進は「大切な私生活を諦めること」と捉えられがちです。
評価・指導する側に立つことの心理的抵抗感
現代特有の背景として、「ハラスメントリスク」への恐怖があります。
Job総研『2025年 ハラスメント実態調査 〜加害編〜』によると、全体の75.3%が「ハラスメント意識が管理職意欲に影響する」と回答しており、特に指導者となる40代でその傾向が顕著でした。

「良かれと思ってしたアドバイスや注意が、ハラスメントと捉えられかねない」という時代的背景が、部下の指導や評価を任されることへの、大きな心理的ハードルとなっています。
【年代・属性別】「なりたくない理由」の傾向
「管理職になりたくない」という感情の裏にある背景は、年代やキャリアの属性によって微妙に異なります。
20代:ワークライフバランスとスキル獲得の優先
今の20代の若手社員は、「どこでも通用する実務スキルを身につけること」と「プライベートを楽しむこと」を何より大切にしています。
「若いうちから管理職の仕事に追われるよりも、まずは現場でしっかりとした実力をつけたい」という、現実的な考え方を持つ人は管理職になることを避ける傾向があります。
プライベートの充実を大切にしつつ、着実に個人の市場価値を高めたいという現実的なキャリア観が、管理職への昇進を急がない理由となっています。
30代:家庭や育児との両立の難しさ
30代の中堅社員は、結婚・出産・育児などのライフイベントが重なりやすい時期です。
家庭での責任が重くなるタイミングで、仕事上の責任(管理職)まで重くなると、生活が回らなくなるという不安から、管理職を避ける人が少なくありません。
仕事も大切にしつつ、家族との時間や自分自身の生活を守りたいという切実な思いが、管理職の打診を躊躇させる大きな背景になっています。
専門職・技術職:「マネジメント」より「プロ」でありたい
エンジニアや専門職の場合、「出世=管理職(マネージャー)」という昔ながらの出世コースに憧れを抱く人が少ない傾向があります。
管理職になると、現場の実務から離れ、予算管理や社内調整に追われます。彼らはそうした組織管理ではなく、「最先端の技術をトコトン深掘りしたい」「誰にも負けない専門性を極めたい」といった思いを持っています。
管理職になるメリットとは?
ここまで「なりたくない理由」を解説してきましたが、管理職になるメリットもあります。管理職になるかどうかをフラットに検討するため、管理職になるメリットも見ておきましょう。
会社や事業を動かす裁量権変えられる
プレイヤーのときは「会社の指示や決定」に従う場面が多いですが、管理職になると自分で決められることが増えます。
チームの方針決定や予算の使い方だけでなく、現場の無駄なルールを自分の手で改修することも可能です。「もっとこうすれば働きやすいのに」と以前から思っていた課題を、自らの力で解決・実現できるようになるのは大きな魅力。
自分の主導で組織や事業を動かしていく手応えは、管理職だからこそ味わえる醍醐味です。
人を育て、組織を動かす経験が得られる
個人の力だけで達成できる成果にはどうしても限界がありますが、チームを動かすことで大きな成果を生み出すことができます。仲間と協力し、1人では到達できない大きなプロジェクトを成し遂げたときの達成感は格別。
指導した部下が成長し、職場で生き生きと活躍する姿を一番近くで支えられることも、マネジメントならではのやりがいです。誰かの成長に関わり、組織全体の成果に寄与する経験は、仕事への深い満足感につながります。
キャリアの選択肢が広がる
特に30代後半から40代以降の転職市場では、プレイヤーとしての実務力以上に「チームをまとめて成果を出したマネジメント経験」が強く評価されます。
若いうちに組織管理や人脈づくりの経験を積んでおくことは、自身の市場価値を高める強固な武器になります。将来どんな業界や環境に身を置いたとしても、「どこでも必要とされる人材」として選択肢を広く持ち続けられる点は、長期的なキャリア設計において大きなメリットです。
「管理職になりたくない」と感じたときに考えること
もし今、管理職への打診が近づいていると感じたり、将来への漠然とした不安があるなら、以下の3つのステップで思考を整理してみてください。
何が嫌なのか理由を分解・言語化する
管理職になるのがなぜ「嫌だ」と感じるのか、その正体を分解してみましょう。
<例>
- 「残業が増えて育児と両立できないこと」が嫌
- 「部下を指導・評価すること」が嫌
- 「責任に対して給料が見合わないこと」が嫌
理由を具体的に言語化することで、会社への交渉材料や自分なりの代替案が見えてきます。
社内に「スペシャリスト(専門職)制度」があるか確認する
社内の人事制度を確認し、「管理職にならなくても給料や評価が上がるルート(スペシャリストコース)」が存在するか調べましょう。制度があれば、管理職を断ってもキャリアアップを目指すことができます。
管理職を引き受けられる条件を探る
「完全な拒絶」ではなく、「この条件ならやってもいい」というラインを探るのも手です。
例えば、「プレイヤー業務の担当量を半分に減らしてもらえるなら」「副管理職的なサポートをつけてもらえるなら」といった受諾可能な条件を模索してみましょう。
管理職を打診された時の回答例
実際に会社から管理職への打診が来た場合、感情的に断るのではなく、ビジネスパーソンとして納得感のある伝え方をすることが大切です。状況に応じた3つのパターンと回答例を紹介します。
条件交渉のうえで「お試し」として引き受ける
一度も経験せずに断るのが不安な場合や、柔軟なはたらき方を条件に引き受ける場合の伝え方です。
<回答例>
「打診いただき大変光栄に思います。ぜひチームに貢献したい気持ちはあるのですが、現在はプレイング業務の割合が多く、マネジメントに十分な時間を割けない不安があります。
もし『担当案件を◯割削っていただける』『まずは半年間のお試し(試行期間)としてチャレンジさせていただく』といった条件をご調整いただけるのであれば、ぜひお引き受けしたいです。」
角を立てずに「プレイヤー専念」の意思を会社へ伝える
会社への感謝を伝えつつ、専門スキルで成果を出す道を選びたい場合の回答例です。
<回答例>
「評価していただき、心から感謝申し上げます。ただ、自分の適性や今後のキャリアを熟考した結果、私はマネジメントよりも現場で専門スキルを磨き、個人の成果でチームに貢献することに最もモチベーションと適性を感じております。
期待に応えられず大変心苦しいのですが、現在のプレイヤーとしての役割を極め、業績に貢献させてください。」
希望のはたらき方が叶う「異動・転職」を視野に入れる
制度上、管理職にならないと給料が頭打ちになる会社や、過度な昇進プレッシャーがある場合は、無理に留まらずに環境を変えるのも一つの選択肢です。
まずは社内にスペシャリスト制度がある部署や、過度なプレッシャーの少ない部署がないか、異動の可能性はあるか探って見ましょう。
社内異動が難しい場合は、ジョブ型雇用(職務明確型)を採用している企業や、専門職評価制度が確立している企業を選択肢に入れるのも手です。
もし、自分にどんな環境があっているかわからない場合は、dodaの「転職タイプ診断」もおすすめです。
60問の質問に答えることで、職場環境・仕事内容・給与・労働条件の4つの視点から満足度をチャート化。どこに不満があり、何を改善したいのかが一目でわかります。
所要時間は約7分。年収アップも含め、キャリアを見直すひとつの機会にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
「管理職になりたくない」と感じる人が増えている背景には、仕事に対する考え方の変化や、プレイングマネージャーの増加、キャリアパスの広がりなど、さまざまな理由があります。
また管理職になりたくない理由は、人によって異なります。まずは自分が嫌だと感じる本当の理由や、人生で何を一番大切にしたいのかを整理してみましょう。もし昇進の打診を受けても、すぐに断るだけでなく、仕事量を減らしてもらう交渉や「お試し」での引き受け、専門職としての道や転職など、選べる道はたくさんあります。
管理職の良いところと自分の本音を冷静に見比べながら、自分が一番納得できるはたらき方を自分で選んでいきましょう。
※参照:Job総研『2024年 社内政治の実態調査』、『2023年 女性管理職の実態調査』、『2025年 ハラスメント実態調査 〜加害編〜』







