「Z世代の価値観がいまいちよくわからない…」「どう接していけばいいのか悩んでいる」こんな思いを抱くのは、Z世代とコミュニケーションを取る機会が少なかったからかも。それならまずは知ることが大切!世代ごとの育った環境をチェックしながら、それぞれの考え方の特徴をひも解いていきましょう。
Z世代という名称は、アメリカで1960〜1970年に生まれた人のことを「ジェネレーションX」とよんでいたことに由来します。
X世代の次世代をY世代、その次の世代をZ世代と、アルファベットで世代を表すようになりました。
Z世代は1990年代後半〜2000年代に生まれた世代。インターネットやSNSのさらなる発展など、さまざまな物事が目まぐるしく変化した時代に育っています。
先が見えない社会情勢の中で、Z世代の行動や考え方にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
タイパを大切にした行動をするのはZ世代の特徴。まずはショート動画をチェックして、気になるものだけフル視聴するというように、時間を無駄にしません。
もちろんはたらき方もタイパ重視。デジタルツールやAIを活用して、短時間で効率的に仕事に取り組みます。
サステナビリティとは持続可能性のこと。Z世代は他の世代と比べて、サステナビリティへの関心が高い世代です。
長く使えるマイボトルやマイバッグを愛用して資源の無駄を減らす、食べられる量だけ購入してフードロスに配慮するなど、自然と持続可能な行動を行います。
「◯◯としてこうあるべき」という固定観念には縛られないのもZ世代の価値観。自分らしさは何かを、模索しながら自分自身を作り上げていきます。
自分自身が何を心地よく感じるかも、Z世代にとって重要なポイントです。自然体で頑張りすぎずに楽しく過ごせることを重視しています。
Z世代の上司は1960〜1980年ごろに生まれたX世代や、1980〜1990年代前半に生まれたY世代が中心。それぞれの世代には、受けた教育や就職活動の時期によって、他にも以下の名称があります。
X世代は高度経済成長期やバブル期に生まれて、経済が大きく発展していく時期を経験しています。家電、家、車など、物質的な豊かさを重視する傾向があるのが特徴です。
個人的に成功することを重視しますが、仕事一辺倒ではなく、家族とのつながりや地域での活動とのバランスを取ろうとする人が多い世代でもあります。
Y世代が就職してはたらき始めた時期は、デフレなどの影響から経済的な不安が大きくありました。
はたらき続けていれば給与が自然と上がっていく年功序列から、成果で評価される実力主義に切り替わり始めた時代でもあります。
給与や安定性だけで仕事を選ぶのではなく、その仕事で何を成し遂げられるのか、という点を重視する傾向があるのもY世代の特徴です。
育ってきた環境や、就職活動時の社会情勢の違いから、Z世代と上司世代の価値観が違うのは当然のこと。それぞれの世代が何を大切にしているのかを、Job総研の調査結果から読み解いていきます。
社会人になった今、改めて就活するなら、賃金とスキルアップのどちらを優先する?という質問は、世代によって差が出る結果に。
Z世代を含む20・30・50代は賃金派が過半数であるのに対して、40代のみはスキルアップ派が過半数でした。
Z世代である20代は賃金派が60.6%と、他の世代と比べて最も多い結果に。
▶︎賃金派の声
上司世代も50代は賃金派が50.5%と約半数。40代はスキルアップ派が62.3%で、20代のZ世代と反転する結果でした。
40代は就職氷河期世代ともいわれているY世代。大手企業による大規模なリストラを目の当たりにしたり、長い期間昇給がない経験をしたりした結果、スキルを重視する人の割合が高いのかもしれません。
もう1度就活するなら、安定か挑戦か?という質問への回答も、Z世代を含む20・30・50代では安定派が半数を超える中、40代は挑戦派が過半数でした。
Z世代の20代は、もう1度就活をするとしたら、61.7%が安定を選ぶと回答しました。
先行きが不透明な時代だからこそ、基盤となる仕事選びでは「安定を重視したい」と考える人が多いのかもしれません。
上司世代のうち、50代は安定派が57.4%と20代に次いで高い割合に。一方40代は安定派が44.6%と少数派でした。
経済が不安定な時期に社会人になった40代は「安定を目指すより、挑戦してスキルアップにつなげた方がいい」という気持ちを持ちやすいという見方もできます。
もう1度就活をするときに、仕事を優先するか、プライベートを優先するかの質問は、Z世代の20代でプライベート派が最も多く、他の世代では意見が二分される結果でした。
Z世代でもある20代はプライベート派が57.7%と60%に迫る数字です。
仕事はタイパを重視して効率よく終わらせて、自分らしくプライベートを楽しむのがZ世代流といえます。
上司世代は仕事派とプライベート派が半々の結果になりました。50代は53.4%、40代は48.7%がプライベート派です。
家庭を持っている人も多い上司世代だからこそ、就活をやり直すならプライベートを重視したいと考えている人もいるかもしれません。
もう1度就活するとしたら今の会社を選ぶか?という質問では、Z世代の20代の方が「選ぶ」が多い結果に。上司世代は「選ばない」が多数派でした。
Z世代の20代では、もう1度就活をする場合に、今の会社を「選ぶ」が53.2%と半数を超えています。
新卒初任給の賃上げや、働き方改革により制度が整い始めてから入社した世代は、待遇やはたらき方などに満足しているケースが多いと考えられます。
上司世代は今の会社を「選ばない」が多数派。50代は62.4%が、40代は63.0%が「選ばない」と回答しています。
▶︎選ばない派の声
プライベートに重きを置く傾向のあるZ世代に対して、上司世代の中には仕事への意欲が低いと感じる人もいるかもしれません。意欲的に取り組めることの違いから、上司世代からは「意欲がない」というように見えているのかも。
仕事選びのときに、プライベートの時間の確保を重視する割合は、Z世代の20代が96.5%と最多です。
だからといって、仕事を軽視しているわけではありません。転職時の学び直しには89.7%が「意欲がある」と回答していることから、明確な目的がある場合には意欲をもって取り組みます。
意欲がないように見えるなら、目的や必要性が伝わっていない可能性があります。
調査からは、お互いの価値観や考え方の違いから、上司と部下が接し方を模索している様子も伺えます。
「部下の理想像と関わり方」についての調査では、上司が考える部下の理想像と、部下が考える部下の理想像に違いがあることがわかります。
コミュニケーションを重視しているのは上司・部下ともに同じですが、上司が積極的な提案や能力の向上を期待しているのに大して、部下は指示に従うことや敬意を払うことを重視している点が違いです。
部下へ忖度したことのある上司は91.4%、上司に忖度したことのある部下は71.8%で、上司と部下が忖度し合っている状況も見られます。
▶︎上司からの声
▶︎部下からの声
世代が違えば異なる価値観を持っていることは当たり前。そんな中、上司も部下も、コミュニケーションの必要性を意識していることがわかります。
Z世代と上司世代には、価値観や考え方に違いがあって当たり前。「どう接すればいいんだろう」と感じているのはお互いに同じはずです。
大切なのはコミュニケーションを取ること。まずはお互いに何を考えているのかを知ることから始めていくとよいでしょう。