2026.07.14

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生理休暇で毎月休むのはアリ?当事者が抱える葛藤と職場の本音

生理休暇を毎月取得することに、後ろめたさを感じる人は少なくありません。一方で、表立って言うことこそないものの、毎月休む同僚にモヤモヤする気持ちを抱えている人も。この記事では、生理休暇の法的なルールと、当事者・職場それぞれの本音、キャリアへの影響など、気になる情報を網羅的に解説します。

そもそも「生理休暇」とは

生理休暇は、労働基準法で定められた法定休暇です。まずは、取得の条件や給与の扱い、違反時の罰則など、基本的なルールから整理していきましょう。

労働基準法で定められた権利

労働基準法第68条には、次のように明記されています。

使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

つまり、生理休暇は法律で認められた権利。対象は正社員に限らず、パートやアルバイト、派遣社員など雇用形態を問いません

取得にあたっては、申請時に医師の診断書を求められることもなく、日数の上限も法律上は設けられていません。症状の程度に応じて必要な日数を取得できます。

取得の判断基準は、あくまで本人が感じる困難さ。性別特有の体調不良に正面から対応した、数少ない法定休暇のひとつです。

参照:e-Gov 法令検索|労働基準法|第68条

有給か無給かは会社によって異なる

生理休暇を有給とするか無給とするかについて、法的なルールはありません。各企業の就業規則に委ねられているのが実情です。

厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所はわずか29.0%。残りの約7割は無給扱いとなっており、欠勤扱いにはならないものの、給与は発生しません。

一方、有給とする事業所のうち65.6%は、休暇期間中の賃金を全額支給しています。給与面の対応は会社ごとに差があるため、事前に就業規則を確認しておくと安心です。

参照:厚生労働省|令和2年度雇用均等基本調査

取得を拒否した会社には罰則がある

企業が生理休暇の申請を拒否した場合、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、取得を理由とした不利益な取扱いも禁止されています※。

不利益な取扱いの具体例としては、解雇や降格、契約更新の見送り、一律での皆勤手当の不支給や賞与査定でのマイナス評価などが挙げられます。

生理休暇は会社の好意で認められる制度ではなく、企業の義務。法律で保護された権利だと知っておくことが、申請時の心理的なハードルを下げる材料になるかもしれません。

勤務先の対応について疑問を感じたら、社内の相談窓口に確認してみましょう。

※休んだ日数分を賞与や手当の計算から差し引く(客観的に案分して減額する)ことは、直ちに違法とはならないとされています。

参照:e-Gov 法令検索|労働基準法|第120条

毎月の生理休暇取得。アリ?ナシ?

生理休暇を毎月取得することは、法律上まったく問題ありません。とはいえ、毎月休まなければならないほどの症状とはどんなものなのか、また実際の取得率がどの程度なのか、気になる人も多いはず。ここでは、法律と実態の両面から解説します。

法律上、取得回数に上限はない

労働基準法には、生理休暇の取得日数や回数に関する上限規定がありません。そのため、企業が独自に「月1回まで」「年間〇日まで」といった制限を設けることは認められていません。

これは、生理にともなう体調不良の程度や期間には大きな個人差があるから。腹痛が軽い人もいれば、毎月仕事を続けられないほどの不調に悩む人もいます。

毎月の取得が必要になるのは、症状の重さゆえのこと。法律もその実情を前提に設計されています。

重い症状の背景には疾患が潜んでいることも

生理休暇が必要になる症状は、単純な腹痛だけではありません。貧血や吐き気、頭痛、立っていられないほどの腰痛、下着や衣服を汚してしまう過多月経など、就業が物理的に困難になるケースもあります。

これらの症状の背景には、月経困難症や子宮内膜症といった婦人科系の疾患が関係していることも。

毎月強い症状に悩まされている場合は、婦人科を受診し、治療やコントロールを検討することもひとつの選択肢です。

ただし、体質や持病によってピルを服用できない人や、治療で完全に症状を取り除くことが難しい人も少なくありません。毎月の取得が必要になる背景には、こうした「個人の努力だけではどうにもならない事情」があることも理解しておく必要があります。

取得率はわずか0.9% 権利と現実のギャップ

厚生労働省の調査によると、女性労働者のうち、生理休暇を請求した人の割合は0.9%にとどまります。Job総研の「2023年 生理休暇の実態調査」でも、生理休暇を利用したことがあると答えた女性は12.8%でした。

また、生理休暇の請求者がいた事業所も3.3%とごくわずか。権利として認められているにもかかわらず、実際の取得率は極めて低い水準にあることがわかります。

この背景には、人員不足で休める雰囲気ではないこと、恥ずかしさから知られたくないこと、申請先が男性上司だと言いづらいことなどが挙げられます。

Job総研がおこなった「2023年 生理休暇の実態調査」では、利用経験者のうち76.2%が男性上司に申請しており、そのうち61.9%が異性への申請に取得しづらさを感じているという結果も。

毎月休む同僚にモヤモヤするとき知っておきたいこと

毎月のように休む同僚を見て、複雑な気持ちになることもあるはずです。その感情自体は否定されるものではありません。一方で、生理による不調には大きな個人差があり、知っておくことで受け止め方が変わることもあります。詳しくみていきましょう。

不公平に感じるのは自然な感情

同僚が休むと、その分の業務を引き受ける人が必要です。

毎月のように負担が増えれば、「ずるい」「自分ばかり大変」と感じるのも無理はありません。これは特別な感情ではなく、誰にでも起こりうる自然な反応です。

大切なのは、その感情を否定したり押し込めたりすることではなく、まず自分の中にある不満として認めること。感情を認めたうえで、なぜそうなっているのかという背景を知ることが、次のステップにつながります。

一方的に相手を責めても状況は改善しません。背景を理解することが、モヤモヤを解消する出発点になります。

「生理が重い」という感覚には大きな個人差がある

生理痛の症状は人によってさまざま。軽い不快感で済む人もいれば、立っていられないほどの激痛に襲われる人もいます。なかには、鎮痛剤を飲んでも痛みが治まらず、横にならざるを得ないという人も。

Job総研の調査で「生理休暇を使うレベル」について尋ねたところ、最も多い53.7%が「鎮痛剤を飲んでも痛みがあり、時々休憩する」を選択しました。

同時にこの調査からは、男性が女性に比べてより軽い症状を「生理休暇を使うレベル」と認識していることも明らかに。

体験が異なる者同士、認識のズレが起こるのは当然のこと。この差を知っておくだけで、見方は変わってくるはずです。

職場理解はあっても取得は少ない、という現実

同じくJob総研の調査では、生理による体調不良について、「職場の理解がある」と回答した人は75.0%にのぼります。

それにもかかわらず、実際に生理休暇を取得した経験のある人はわずか12.8%。理解はあっても、実際の行動には結びついていないのが現状です。

多くの当事者は、引け目を感じながら休暇を取得しているか、あるいは取得そのものを諦めて働き続けているケースも少なくありません。理解と実際の取得状況の間には、まだ大きなギャップが存在しています。

「生理休暇」という名称自体が高いハードルに

同調査では、女性回答者の77.1%が、「生理休暇」という名称そのものが取得のしづらさにつながっていると回答しています。

一方で、生理とわからない名称であれば利用したいと答えた人は97.2%にのぼりました。

この差は、生理の症状の重さではなく、名称によって心理的なハードルが生まれていることを示すもの。

実際に近年、「ウェルネス休暇」や「エフ休」「体調管理休暇」など、名称を変更して生理休暇の取得を促す企業も増えてきました。これらの事実は、呼び方を工夫するだけで、取得への意識が大きく変わる可能性を示唆しています。

生理休暇と出世・キャリアへの影響

「生理休暇を取得すると、出世やキャリアに影響するのでは……」そんな不安を抱く人も少なくありません。法律上の建前と、職場で実際に感じられている空気感にはズレが生じやすいもの。ここでは、両方の視点から解説していきます。

取得は不利益取扱いの対象にならない

生理休暇の取得を理由に、昇給や賞与の査定でマイナス評価をすることは、労働基準法によって禁止されています。

皆勤手当の減額や、欠勤としての扱いも同様。法律上、生理休暇の取得は評価に響かない仕組みになっています。

とはいえ、制度上の保護と、実際の職場での評価が一致しているとは限らないのもまた事実。「休むと印象が悪くなるかもしれない」という不安は、そう簡単に拭い去れるものではありません

まずは法律の建前を知っておくことが、不安と向き合う際の安心材料になるはずです。

56.9%が「生理の重さが出世に影響する」と回答

Job総研の「2023年 生理休暇の実態調査」では、生理の重さが出世に関係していると思うと回答した人が56.9%にのぼりました。回答者を女性に限ると、62.6%とさらに高くなっています

関連があると考える理由としては、「休む印象がつくと任せてもらう仕事が変わる」が62.8%、「仕事の進捗などパフォーマンスが下がる」が62.0%と続きます。

この結果から分かるのは、多くの当事者がキャリアへの影響を懸念しながら取得している実態。建前と実感のズレが、生理休暇を取りづらくしている一因になっていることがうかがえます。

体調とキャリアの両立に限界を感じたら、自分の市場価値を客観的に確認してみるのがおすすめ。

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毎月休むことへの罪悪感や不安…どう向き合えばいい?

毎月のように生理休暇を取得していると、申し訳なさや不安を感じてしまいがち。ここでは、その気持ちとのじょうずな向き合い方について解説します。

罪悪感や不安は責任感の裏返し

毎月生理休暇を取得することに罪悪感を抱く人の多くは、仕事への責任感が強い人。周囲に迷惑をかけたくない、自分の評価が下がるのではないかという思いが、過度なプレッシャーにつながっているケースも少なくありません。

しかし生理休暇は、労働基準法によって認められた正当な権利です。罪悪感を必要以上に抱え込む前に、まず自分が法律で守られた立場にあることを再確認しましょう。

権利として認識し直すことが、心理的な負担を軽くする第一歩。完璧であろうとしすぎなくても、何も問題はありません。

症状が重い場合は婦人科への相談を

毎月休まざるを得ないほどの症状が続く場合、月経困難症などの婦人科系疾患が関係している可能性があります。

市販の鎮痛剤で対応できない痛みや、日常生活に支障が出るほどの不調は、我慢し続けることが唯一の選択肢ではありません。婦人科を受診し、ピルなどによる治療やコントロールを検討することで、症状そのものが軽減される可能性も。

生理休暇の取得頻度を下げることよりも先に、まず自分の体調と向き合う時間をつくることが、長期的には負担を減らす近道になるかもしれません。

職場の環境そのものを見直すことも選択肢のひとつ

制度として生理休暇が認められていても、実際には取得しづらい職場や、体調不良を我慢してはたらき続けなければならない環境も存在します。

そうした状況が長く続くと、心身の負担だけでなく、キャリア形成にも影響が出かねません。今の職場に違和感を感じているなら、自分に向いているはたらき方や環境を客観的に知ることから始めてみるのも一つの選択肢です。

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生理休暇への理解は、誰もがはたらきやすい職場への第一歩

生理休暇は、労働基準法によって認められた法定休暇であり、毎月の取得も法律上は問題ありません。それでも取得率は1%にも届かず、職場の理解と行動の間には大きなギャップが存在するのが実情です。

一方、毎月休む同僚に対してモヤモヤを感じるのも、自然な感情で、否定されるべきものではありません。

大切なのは、どちらかを正しいと決めつけることではなく、それぞれの立場にある事情を知ること。正しい理解の積み重ねが、誰もがはたらきやすい職場をつくる第一歩になります。

参照:2023年 生理休暇の実態調査を実施しました – Job総研プラス
参照:Job総研 「2023年 生理休暇の実態調査」を実施 | JobQ[ジョブキュー]

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