2026.06.15
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さとり世代の仕事への向き合い方|特徴・強み・上司としての接し方を解説
「さとり世代」と聞くと「欲がない」「すぐ辞める」——そんな印象を持っている人も多いかもしれません。実は、さとり世代には独自の価値観があり、現代のはたらき方とむしろ相性が良い面もたくさんあります。この記事では、さとり世代の仕事への向き合い方や強みを整理しながら、上司としての接し方のヒントもお伝えします。
そもそもさとり世代って、どんな世代なの?
「さとり世代」という言葉は耳にしたことがあっても、実際どんな世代なのかはあいまいな人も多いのではないでしょうか。まずは基本的な特徴と、ほかの世代との違いを整理してみましょう。
さとり世代の年齢・生まれ年
さとり世代の定義には諸説ありますが、一般的には1987〜2004年ごろに生まれた世代を指し、2026年時点では22〜39歳前後にあたります。
ゆとり教育を受けた「ゆとり世代」と年代が重なる部分も多く、共通する価値観も少なくありません。なお、2013年の「新語・流行語大賞」にノミネートされたことで広く知られるようになった言葉です。
さとり世代の基本的な特徴と価値観
さとり世代は、物欲や出世欲が少なく、「安定した生活」を大切にする価値観を持っていると評されます。車やブランド品、マイホームへの憧れが薄く、恋愛や結婚にも積極的ではないと分析されることもしばしば。
こうした価値観の背景には、物心がついた頃からインターネットが当たり前にあった環境と、長引く不景気の影響があるといわれています。情報があふれる環境で育ち、「わざわざお金を使わなくても、情報や体験で満足できる」という感覚が自然と身についているのかもしれません。
また、ゆとり教育によって自由な時間が多く、自分のペースで物事を考える習慣が根づいていることも、この世代ならではの特徴。
「欲がない」と見られがちですが、それは悲観的な諦めではなく、「必要なものだけを手に入れ、無理なく生きる」という、ある意味とても合理的な選択といえるかもしれません。
ゆとり世代・Z世代との違い
ゆとり世代(1987〜2004年生まれ)とさとり世代は年代がほぼ重なっており、「ゆとり世代の中でも特に欲が少ない層」をさとり世代と呼ぶこともあります。
一方、Z世代(1990年代後半〜2010年代生まれ)はデジタルネイティブとして育ち、SNSや多様な価値観への適応力が高い点が特徴。
さとり世代が「割り切り」に近い静けさを持つのに対し、Z世代は「自分らしさを積極的に表現する」傾向が強く、似ているようで少し異なる世代観を持っているといえそうです。
仕事におけるさとり世代の特徴
さとり世代は、上の世代から見ると「やる気がない」「淡白」と映ることもあるようです。しかし、その背景には一貫した価値観があります。ここでは、仕事面における特徴を3つに整理してみましょう。
仕事を「生きる手段」と捉える合理的なはたらき方
さとり世代にとって、仕事は「生きるための手段のひとつ」。会社に人生を捧げるようなはたらき方よりも、就業時間内にきちんと成果を出し、プライベートの時間もしっかり確保する——そんなメリハリのあるはたらき方を自然と選ぶ傾向があります。
「仕事への熱量が低い」と受け取られることもありますが、決してやる気がないわけではありません。むしろ、仕事とプライベートのスイッチをオンオフできる、ある意味で合理的な世代といえるかもしれません。
プライベートと仕事を明確に分けるオンオフの切り替え

さとり世代は、仕事とプライベートをはっきり分けたいという価値観が上の世代よりも強め。
就業時間外の連絡には返信しない、飲み会には参加しない——そんな姿を「協調性がない」と感じる上の世代も少なくないかもしれません。しかしこれは、仕事への無関心からくるものではなく、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」という価値観がそもそも根づいているからといえそうです。
Job総研が実施した「2023年 ワークライフの実態調査」でも、20代・30代の7割以上が「プライベート重視」を理想として挙げており、上の世代と比べてその傾向が強いことがわかっています。
オンオフを切り替えるのが得意というよりも、そもそも混ざることに違和感を覚える——それがさとり世代の自然な感覚なのかもしれません。
向上心はある一方で、非合理的なコミュニケーションは苦手な傾向
さとり世代は、一見クールで淡白に見えるかもしれませんが、向上心や成長への意欲は決して低くありません。自分のスキルを磨くことや、やりがいのある仕事に取り組むことには前向きです。
一方で、上司や先輩との縦のコミュニケーションや根性論、就業時間外の飲み会・懇親会といった場は苦手とする傾向があります。
これは人間関係を嫌っているというよりも、仕事はあくまで効率よくこなすもの、会社への帰属意識よりも自分の時間や生活を大切にしたいという価値観の表れといえるかもしれません。
さとり世代の仕事への向き合い方
「仕事よりもプライベート」という価値観を持つさとり世代は、実際に仕事とどう向き合っているのでしょうか。ここでは、さとり世代ならではの仕事との距離感や、キャリアに対する考え方を見ていきます。
安定志向だからこそ、堅実に・着実にこなす仕事スタイル
さとり世代は、仕事に過度な意味や生きがいを求めない分、目の前の業務に対して堅実に、着実に取り組む傾向があります。感情的になったり、無駄にこだわったりせず、求められたことをきちんとこなす——そんな安定感のあるはたらき方が自然と身についているのかもしれません。
また、指示に対して素直に従う姿勢も、この世代の特徴のひとつ。上司からの指示に反発したり、自己流にアレンジしたりするよりも、まずはきちんとやり切ることを大切にする傾向があります。
出世よりも「自分のライフスタイル」を優先する価値観
出世や昇給よりも、家族との時間や趣味、自分らしいライフスタイルを大切にしたい——そんな価値観がさとり世代には根づいています。自分をすり減らしてまで会社に尽くすよりも、今の生活を充実させることを優先する傾向があります。
上の世代からは「向上心がない」と映ることもありますが、仕事だけに人生を捧げるのではなく、はたらくことと生活することのバランスを自分なりに保とうとする姿勢は、現代のはたらき方にむしろ合っているといえるかもしれません。
転職や副業も選択肢に入れながら、自分のペースではたらく姿勢
さとり世代は、ひとつの会社に尽くすという感覚が薄く、転職や副業も「自分らしくはたらくための手段」として自然に捉えています。会社への帰属意識よりも、自分のペースや価値観を大切にしながらキャリアを積んでいくスタイルを好む傾向があります。
「石の上にも三年」という考え方よりも、自分に合わない環境であれば早めに動く方が合理的——そんな判断ができるのも、さとり世代らしい特徴といえるでしょう。
さとり世代が職場で発揮する強み
「欲がない」「淡白」と見られがちなさとり世代ですが、職場においては独自の強みを持っています。上司としてその強みを正しく理解することが、良い関係を築く第一歩になるでしょう。
効率よく成果を出す、コスパ重視のはたらき方
さとり世代は、無駄なことに時間やエネルギーを使うことを好みません。「なぜこの作業が必要なのか」を自然と考え、より効率的なやり方を模索する傾向があります。
「やる気がない」と映ることもありますが、実は限られた時間の中で最大限の成果を出そうとしているだけというケースも多く、その視点を活かせる環境を整えることが大切です。
現代の働き方改革・テレワークとの高い親和性
仕事とプライベートを分けたい、効率よくはたらきたいというさとり世代の価値観は、テレワークや働き方改革が進む現代の職場環境とよく合っています。成果で評価される環境やフレックスタイム制など、柔軟なはたらき方ができる職場では特に力を発揮します。
さとり世代の価値観を「わがまま」と捉えるのではなく、現代のはたらき方と親和性が高いものとして前向きに受け止めることが、良い関係づくりのヒントになるでしょう。
さとり世代が転職を考えるワケ
さとり世代は「すぐ辞める」というイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、その背景には彼らなりの理由があります。上司として理解しておくことで、早期離職を防ぐヒントが見えてくるでしょう。
世代間の価値観ギャップから生まれる孤立感
さとり世代が退職を考えるきっかけとして多いのが、上の世代との価値観のズレから生まれる孤立感です。「残業は当たり前」「会社の飲み会には参加すべき」といった上の世代の常識が、さとり世代にはなかなか受け入れられません。
自分だけが職場で浮いているように感じてしまうと、居心地の悪さからじわじわと離職意欲が高まっていきます。
会社への帰属意識の低さと、転職へのハードルの低さ

Job総研が実施した「2026年 退職に関する意識調査」によると、現在退職を検討していると答えた割合は、30代が38.5%で最多となり、次いで20代が27.9%という結果になりました。さとり世代にあたる20〜30代の転職意識は、上の世代と比べて高い傾向があるといえます。
もともと会社への帰属意識が薄く、転職をキャリアの選択肢のひとつと考えているさとり世代にとって、退職のハードルは決して高くありません。不満が積み重なったとき、「辞める」、よりよい環境やキャリアを求めて「退職する」という選択肢を自然に持っているのがこの世代の特徴といえるでしょう。
さとり世代の部下とは、どう接して、どう指導すればいい?
さとり世代の部下を持つ上司にとって、「どう接すればいいのかわからない」というのはよくある悩み。ここでは、さとり世代との良い関係を築くための具体的なヒントを3つお伝えします。
承認欲求と自己肯定感を刺激する褒め方・伝え方

さとり世代は、承認欲求が低いように見えて、実は「認められたい」という気持ちをしっかり持っています。ただし、大げさな褒め言葉よりも、具体的な行動や成果に対してきちんと言葉にして伝えることが大切。

Job総研の「2024年 人材育成の意識調査」によると、上司からのフィードバックとして「ハッキリ言われたい」と答えた割合は全体の76.0%にのぼり、20代の満足度が最も高い結果となりました。曖昧な褒め方よりも、「この部分が良かった」と具体的に伝えることが、さとり世代の自己肯定感を高めるうえで効果的といえるでしょう。
やりがいを感じさせる目標設定と仕事の任せ方
さとり世代は、仕事に過度な意味を求めない一方で、自分の成長やスキルアップには前向きです。「なんとなくこなす仕事」よりも、「自分がやる意味がある仕事」と感じられるかどうかが、モチベーションに大きく影響します。
目標を設定する際は、会社の都合だけでなく「あなたのキャリアにとってどう役立つか」という視点を添えてみましょう。小さな成功体験を積み重ねられるよう、達成可能なステップで仕事を任せることも効果的です。
就業時間内に完結するコミュニケーション環境づくり
さとり世代は、就業時間外のコミュニケーションを好みません。飲み会や休日のやり取りで関係を深めようとするよりも、就業時間内にしっかりコミュニケーションをとれる環境をつくることが大切です。
「何かあれば気軽に相談して」という雰囲気をつくりつつ、必要以上にプライベートに踏み込まない距離感を保つことが、さとり世代の部下との良い関係づくりにつながるでしょう。
まとめ|さとり世代との向き合い方は、「理解」から始まる
「欲がない」「すぐ辞める」——そんなイメージで語られることの多いさとり世代ですが、その背景には一貫した価値観があります。仕事とプライベートを分けたい、効率よくはたらきたい、自分らしい生活を大切にしたい——これらはけっして「わがまま」ではなく、現代のはたらき方とむしろ親和性の高い考え方といえます。
上司として大切なのは、自分たちの世代の常識を押しつけるのではなく、まずさとり世代の価値観を「理解する」ことから始めることではないでしょうか。理解があってはじめて、適切な声のかけ方や仕事の任せ方が見えてきます。
世代が違えば、仕事への向き合い方も当然違います。その違いを「問題」と捉えるのではなく、「強み」として受け止められたとき、さとり世代の部下との関係はきっと大きく変わるはずです。








