2026.05.25
NEW
部下の指導方法を最新調査でチェック!“叱らない”だけではない育成術
かつてのような「背中を見て覚えろ」といった指導や、厳しい叱咤激励が通用しにくい令和の職場。〇〇ハラに対する意識が高まる一方で、上司と部下の間でコミュニケーションの溝が深まっているという声も聞かれます。今回はJob総研の調査をもとに、部下との上手なコミュニケーションの取り方や、明日から使える指導のヒントを探っていきましょう。
なぜ、あなたの部下指導はうまくいかないのか?
部下の指導方法で悩むとき、つい「自分の伝え方が悪いのか」「もっと厳しく言うべきか」とテクニック論に終始してしまいがちです。しかし、根本的な原因はテクニック以前の「世代間による心理的距離」にあるかもしれません。
Job総研の「2025年 上司と部下の意識調査」では、世代間で価値観に明確な差があることが浮き彫りになっています。上司から見ても、部下から見ても、お互いの価値観で「課題を感じる」と回答した割合は半数を超えています。

さらに同調査では、上司の約6割が部下に対して「嫉妬」を感じた経験があるという事実も明らかになりました。自身の若手時代と現在の部下の環境を比較し、複雑な思いを抱える上司の心境が透けて見えます。
指導がうまくいかないと感じているのは、上司の共通の思い。まずはその現状を客観的に捉えることから始めてみましょう。
「忖度」?「尊重」?令和の部下との付き合い方
上司と部下との関係でキーワードとなるのが「忖度」。Job総研の「2024年 上司と部下の意識調査」によると、部下に対して忖度をしている上司は91.4%にものぼります。

忖度することに対する上司のコメントを見ると、距離を縮めたいけれど気を遣っている現状がわかります。
- 部下の方がものを言いやすい時代に変わった。パワハラを恐れ上司としては強く出にくい
- なんでもない一言がハラスメントに該当しないかとても気を遣う時はあるが、部下とは仲良くしたい
- 下に気を遣わない上司の方が信用されない時代な気がする。お互い忖度をしあってなんぼの世の中
ただし、このような忖度が部下との間に「見えない壁」を作っている可能性も。過度な配慮が部下の指導に影響すれば、成長機会を奪うことにもなりかねません。
また、部下のコメントを見ると「お互いリスペクトして組織を良くしていきたい」といったコメントが見られることからも分かる通り、求められているのはお互いの価値観を認め合う「尊重」です。
部下は「何も言わないでほしい」のではなく、「自分をひとりの仕事仲間として認めた上で、適切なフィードバックをほしい」と感じているのだといえるでしょう。ときには叱ることが最善の指導であるケースもあります。
現場で明日から使える「部下指導の3ステップ」
具体的にどのように部下への指導方法を変えていけばよいのでしょうか。現場で実践できる3つのステップを紹介します。
ステップ1:「相互理解」の土台作り
まずは「指導」の前に必要なのは部下との「対話」。1on1を実施しているなら、業務進捗の確認だけでなく、部下のキャリア観や仕事に対する意欲についてヒアリングしてみましょう。まずは「相手を知る」ことが重要です。
挨拶やちょっとした日常会話を通して、日頃からコミュニケーションを取ることで、仕事をする上でのやり取りがスムーズに進みやすくなることも期待できます。
ステップ2:「行動」を具体的に評価する
声を荒げるような感情的な指導は、ハラスメントと捉えられることもあるNG行為。部下の人格を否定しても仕事への理解度は深まりません。
効果的に指導を行うには「どのような行動が、どのような結果をもたらしたか」という事実ベースでのフィードバックがおすすめ。
例えば「昨日の会議での〇〇という発言は、チームの結論を早めるために非常に効果的だった」など、具体的な行動を称賛・修正することで、信頼関係の構築にもつながります。
ステップ3:個人のキャリア観に寄り添う

部下のキャリアに対する姿勢を尊重することも重要です。「2024年 社内政治の実態調査」によると、出世意欲がない人の割合はおよそ半数となっています。
中には、仕事よりもプライベートを大事にしたいという部下も少なからずいるでしょう。しかし、これは意欲の低さに直結するものではありません。
プライベートの充実が仕事のパフォーマンスにつながっていることもありますし、単にキャリアを具体的にイメージできていないだけの可能性もあります。
部下の指導をするときには、出世を前提とするのではなく、部下自身が思い描いているキャリアに寄り添う姿勢を見せることがポイント。「あなたの将来を考えている」というメッセージが伝わることで、部下の反応に変化が表れるでしょう。
部下指導で「ハラスメント」を避けるために意識すべきこと

「2025年 ハラスメント実態調査 〜加害編〜」によると、職場でハラスメントを感じた経験があると回答した人の割合は72.6%でした。
ハラスメントへの意識が高まる中、「指導とパワハラの境界線が分からない」という不安から、必要なときに叱れないといったこともあるかもしれません。適切な指導を行うには、まず指導とハラスメントの違いを知ることが重要です。
指導?ハラスメント?迷ったときのチェックリスト
部下に適切な指導ができるよう、ここではハラスメントかどうかの判断に役立つチェックリストを紹介します。当てはまる項目がある場合には、指導のつもりがハラスメントになっている状況のため、早急な改善が必要です。
- 自分のイライラやストレスを部下に向けて発散している
- 他の同僚がいる前で叱責し、部下のプライドを過度に傷つけている
- 怒鳴る、机を叩く、無視をする、溜め息をつくなど、身体的・精神的に恐怖を感じさせる振る舞いをしている
- 過重なノルマを与え、できないことを理由に責め立てている
- 必要以上に長時間説教をしたり、執拗に謝罪を求めたりしている
- 他の社員と協力関係を築くことを禁止したり、わざと情報共有から外したりしている
- 休日や業務時間外の連絡を執拗に行ったり、プライベートの予定を強引に聞き出そうとしている
- 気分によって指示の内容や許容範囲が変わり、部下が何を基準に動けばいいか分からない状態になっている
- 部下が質問や相談をしやすい雰囲気や環境がない
指導のつもりがハラスメントになっていた、といった事態を避けるには、会社が定めているガイドラインの順守を心がけましょう。会社にガイドラインが存在しない場合には、厚生労働省のサイトが参考になります。
参考
:厚生労働省|パワーハラスメントとは
:厚生労働省|管理職の方
部下の指導は“尊重”がポイント
ハラスメントへの意識が高まりから、上司も部下も、お互いに「どう接すればいいのか」を模索しています。このような中で効果的に指導を行うには、「相手をひとりの仕事仲間として尊重する」という視点が必要です。
お互いに忖度し合うだけでなく、一歩を踏み出すことで、部下の指導がよりスムーズに進みやすくなることが期待できます。
まずは今日、部下に対して「最近、業務で困っていることはない?」「あなたの意見を聞かせてほしい」と、一言声をかけることから始めてみませんか。歩み寄る姿勢こそが、部下との信頼関係を築き、あなた自身の「はたらきやすさ」にもつながるでしょう。








